”CVC”って何?

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出典:www.pakutaso.com
入社して間もないあなたは、偶然同期の会話を耳にしました。
 
「どうやらわが社もCVCを設立するらしいぞ」
「時代の流れってやつだな……」
 
”CVC”?
 
CVCとは、一体何なのでしょうか。
 
その疑問にお答えします。
今回の記事ではCVCの意味とその事例、そしてメリットをまとめてみました。

CVCとは

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CVCとは、Corporate Venture Capitalコーポレートべンチャーキャピタル)の略で、事業会社が社外のベンチャー企業等に投資すること、その投資活動を行う組織のことを指します。
 
ファンド(資金を集めて得たリターンを配分する仕組み)を組成し、子会社設立での自社運営する体制やVCに運営委託を依頼する体制をとる企業もあります。
 
投資家から資金を集め、ベンチャーに投資し、大きなキャピタルゲインを得ようとする通常のベンチャーキャピタルとは違い、CVCでは協業や本業とのシナジー効果を狙って設立されるケースがほとんどです。

国内CVCまとめと投資事例5選

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出典:phalco-web.net
次に、国内の主なCVCを投資事例と共にまとめてみました。
多くの企業が、自社の領域でシナジー効果を見込めそうな企業に出資もしくは協業契約を結んでいることがわかります。
 

①KDDI Open Innovation Fund

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出典:technode.com
ファンド総額:50億円
投資事例:2016年11月10日、スポーツインターネットメディア「SPORTS BULL」を運営する株式会社運動通信社への出資と協業契約を提携したことを発表しました。
通信とメディアによる高いシナジー効果が狙いなのでしょう。
KDDIのニュースリリースより引用
 

②YJキャピタル

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出典:labs.skyland.vc
ファンド総額:265億円
投資事例:国内料理動画トップシェアを誇るkurashiru(クラシル)を運営するdely株式会社に出資しました。
お知らせより引用
 

③オムロンベンチャーズ

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出典:www.omron.co.jp
ファンド総額:30億円
投資事例:ものづくりベンチャーへ出資をすることを目的としたオムロンベンチャーズ株式会社。2016年10月15日、高速ビジョン技術やジャスチャーユーザーインターフェースの開発、販売を行う株式会社エクスビジョンに出資したことを発表しています。
ニュース&イベントより引用
 

④ABC ドリームベンチャーズ

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出典:adventures.co.jp
ファンド総額:12億円
投資事例:2015年7月10日に朝日放送が設立したCVCであるABCドリームベンチャーズ。第1号案件として、空き駐車場のシェアリングエコノミーサービスを提供するakippa株式会社へ出資しています。スポーツ・音楽・文化事業など様々なイベントを実施する朝日放送としては、来場者の駐車場不足での機会損失をakippa社と共に解消する施策を実施していく予定です。
新着情報より引用
 

⑤資生堂ベンチャーパートナーズ

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出典:www.shiseidoventurepartners.jp/news1.html
ファンド総額:不明
投資事例:2016年12月9日に設立されたばかりの資生堂のCVC「資生堂ベンチャーパートナーズ(通称SVP)」。第1号の投資案件として、必要な栄養素をオーダーメイドで提供するサプリメントサーバーの開発展開を事業とする株式会社ドリコスへの出資を発表しています。
ニュースより引用
 

CVCの設立の背景とメリット

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出典:http://uta-movie.com/
ここまで国内の主なCVCを見てきましたが、いずれもここ5年以内に作られたものです。
なぜ近年CVCの設立ラッシュが続いているのでしょうか。
そこにはある1つの時代背景と、設立によるメリットが関わっています。

①CVCを作る背景

CVCは2000年初めにに起こったベンチャーブームの時期に盛んに設立されていましたが、当時のCVCは金融系のVCに運営委託するケースがほとんどで、ベンチャーとの協業のノウハウがなかったため衰退の一途をたどりました。
 
そして約10年後の2011年ごろから、再びCVC設立が相次いできました。投資運営自体を大企業が行うようになるケースが増え、徐々にシナジー効果を狙った投資や最終的にM&Aで成功するようになったのです。

②CVCのメリット(大企業側)

CVCの設立には、企業にとって3つのメリットがあります。それぞれご紹介します。

1.シナジー効果

シナジー効果が見込めるベンチャー企業に投資することで、自社の事業がより良い影響を与えることができます。

2.コスト削減

外部のベンチャー企業の技術を活用することで、自社で研究開発するよりコストがかからず、効率よく新規事業などに挑戦することができます。

3.オープンイノベーション

大企業の潤沢な資金や人脈、技術などのリソースとベンチャー企業の革新的なビジネスモデルを組み合わせることにより、誰も想像しなかった新しい価値が誕生する、オープンイノベーションの可能性があります。

CVCによる投資、そしてその先のシナジー効果の発揮へ

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出典:amanaimages.com
いかがでしょうか。
CVCはこのように大企業がオープンイノベーションを図るために戦略的に設立するケースが多いのです。
 
アメリカのシリコンバレー、インドのスタートアップ界隈では、CVCによる事業支援や投資などがより良いベンチャーエコシステムへの1つの要因となっているのです。
 
現在CVCによる出資案件が増加していますが、その後のシナジー効果の発揮による大きな成功事例の報道はありません。
日本は、このCVC設立ラッシュを皮切りに、スタートアップにとって環境がさらに良くなる土壌へと進化していくのでしょうか。
 
今後の大企業の動向に注目が集まります。
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