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ビジネスプラン、上手く説明できますか?
出典:gahag.net
苦労して考え出したビジネスプラン、いざ他の人に説明しようとすると上手く伝えられないことはよくあります。伝えられた場合も、自分では考えていなかった観点のツッコミを受けて、もっと練っておけばよかったと後悔することもあるでしょう。
これらを初歩的なミスを予防するのがフレームワークと呼ばれるものです。フレームワークを使うことで、決められた枠組みの中で、迅速に、効率よくアイデアを出したり整理したりすることが可能になります。
SWOT分析、3C分析などは有名なフレームワークの例ですね。その中でも、今回紹介するフレームワークは「ビジネスモデルキャンバス」です。ビジネスモデルキャンバスはビジネスモデル全体の把握に役立つフレームワークとなっています。
では、見ていきましょう。
ビジネスモデルキャンバスとは? 使うメリットは?
ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスモデルを9つの要素に分類し、それぞれが相互にどのように関わっているのかを図示したものです。ビジネスモデルキャンバスのメリットは、A4用紙1枚で視覚的にビジネスモデルを把握できることです。
また、ビジネスモデルを強制的に9つの要素に分解していくので、今まで見ていなかった観点から自分のプランを考えることもできます。さらに言うと、9つの要素はそれぞれ独立して存在しているのではありません。あなたのビジネスモデルの中で、相互に影響し合って存在しているのです。
ビジネスモデルキャンバスは、その様子を見ることも可能にします。では、次は具体的な9つの要素を見ていきましょう。
ビジネスモデルキャンバス-各項目の意味
ビジネスモデルキャンバスの要素は、顧客セグメント(CS)、顧客との関係(CR)、チャネル(CH)、提供価値(VP)、キーアクティビティ(KA)、キーリソース(KR)、キーパートナー(KP)、コスト構造(CS)、収入の流れ(RS)の9つです。
上記写真の左側にあるものが自社に近い要素、右側にあるものが顧客・市場に近い要素という構造になっています。では、まず顧客側の要素から見ていきましょう。
顧客セグメント(Customer Segment)
言わずもがな、ビジネスモデルを考えるうえで欠かせないのが「誰に売るか」という観点です。どんなニーズを持った人に売るのか、地域は、性別は、年齢は、など様々要素によるセグメンテーションが可能です。
また、このとき活用できるSTP分析も他の記事で解説しているので、是非参考にしてください。
STP分析とは、Segmentation、Targeting、Positioningの3つの頭文字をとった分析法のことです。この記事では自社が生き残っていくためにはどの市場で、どのような価値を提供していくかを決める際に必要なSTP分析の基本をおさえていきます。
顧客との関係(Customer Relationships)
顧客とどんな関係性をもつのかも重要な要素です。直接体験して接客するのか、セルフサービスなのか。継続的な関係なのか、一度ずつの関係なのか。
例えば、Facebookはセルフサービスで継続的な関係性を築いていると考えられます。Amazonなどは顧客自身が積極的に参加していく形のビジネスですね。
チャネル(Channels)
どんな優れたビジネスプランでも、顧客に届かなければ意味がありません。チャネルは、顧客にビジネスの価値を提供する経路、またはその価値を宣伝する経路のことを言います。小売店で売るのか、オンライン上のサービスなのか、などを考えます。
収入の流れ(Revenue Streams)
誰から、いくら、どのようにお金を払ってもらうのかも説明できなければなりません。顧客にも、無料のユーザー、有料のユーザーがいます。料金にも、登録料、仲介料など様々な種類があります。
さらに、メインの収入以外で期待できる収入源も記載できると良いでしょう。
次に、顧客と自社の中間にあるのは、ビジネスモデルの最大の特徴となり得る提供価値です。
提供価値(Value Propositions)
そのビジネスプランが「顧客に対してどのような価値を与えるのか」は、その事業の存在価値といってもよいでしょう。顧客の生活を便利にするのか、快楽を与えるのか、もしくはコストの削減などに寄与するのか、新たな可能性を提供するのか。
顧客との関係・チャネルと合わせて、UX(ユーザーエクスペリエンス)を考える場所でもあります。
あなたのビジネスプランが存在する意味を説明してみましょう。最後に自社側の要素です。
キーアクティビティ(Key Activities)
そのビジネスモデル実現のために、あなた(の会社)が取り組まなければならない活動のことです。「事業内容」と考えていいでしょう。販売を行うのか、製造を行うのかネットサービスの運営を行うのか。
この項目がはっきり説明できなければ、ビジネスモデルも明確にはなりません。
キーリソース(Key Resources)
ビジネスモデル実現のために必要な資源です。経営における資源は4つ、ヒト、モノ、カネ、情報です。どんな従業員がいるのか、強みとなる原材料があるのか、資金源はどこなのか、特許を持っているのか。
経営資源は企業の強み(コア・コンピタンス)を決める重要な要素でもあります。じっくり考えましょう。
キーパートナー(Key Partners)
1つのビジネスの全てのプロセスを自社のみで行う事は大変難しいことです。そのため、あなたのビジネスモデル実現のためにはパートナーが必要となります。
販売を代替してくれる小売店なのか、製造を委託する製造業なのか、資源を提供してくれるサプライヤーなのか。これらを考えるときに参考ななるのはバリューチェーン分析です。
コスト構造(Cost Structure)
最後の項目はコストについてです。あなたのビジネスモデルでは、どの部分にコストが発生しますか?人件費、広告宣伝費、製造費、開発費などなど、ビジネスにはさまざまなコストがあります。
コストの把握はビジネスの基本です。きっちりと把握しましょう。さて、ビジネスモデルキャンバスの各項目の意味がわかったところで、次は実際の事例を見てみましょう。
ビジネスモデルキャンバスの事例
では、ビジネスモデルキャンバスの例を紹介します。
1つ目は、Apple iPod/iTunesの例です。
もう1つの例は、使い捨て替刃の先駆者、ジレットの例です。
ビジネスモデルキャンバスの例をもっと知りたい方は、「ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書」を読んでみてください。
また、スタートアップ向けに設計されている「リーンキャンバス」というものもあります。
ビジネスモデルキャンバス、書き方のコツ
出典:gahag.net
では、いざビジネスモデルキャンバスを書いてみよう、と思っても、9つも要素があっては、どこから書き始めていいのかわからないかもしれません。基本的にはわかるところ、書きやすいところから始めれば大丈夫です。とりあえず、項目ごとに思いついた語句を、付箋に書いて貼っていくのもいいでしょう。
この項では、それらに加えて、おすすめの考える順番を紹介します。
プロセス①
最初に考えるべき項目は3つ、「提供価値」「顧客セグメント」「キーアクティビティ」です。なぜかというと、この3項目はビジネスモデルの軸となることが多いからです。誰に、どのような製品・サービスによって、どのような価値を与えるのかを知ることができればその事業のイメージがわかります。
その他、すでに決まっている部分も先に書いていくと良いでしょう。強みとしている技術があるなら「キーリソース」が埋まります。活かしたいチャネルを持っているなら「チャネル」、重要な協力相手、サプライヤーを確保しているのなら「キーパートナーを埋めていけるでしょう。
プロセス②
最初の3項目とすでに決定していた項目が埋まったら、残りの項目です。残りは、すでに埋まっている項目との関連で考えていきます。
「顧客との関係」は「顧客セグメント」「提供価値」から利便性、顧客満足度を意識して考えましょう。「チャネル」は「顧客セグメント」「キーパートナー」を参考にします。「キーリソース」は「提供価値」「キーアクティビティ」を満たせるものを探します。
さらにバリューチェーン分析をすることで、必要な「キーパートナー」を導きます。
プロセス③
最後にお金の流れを可視化しましょう。「コスト構造」は自社サイドの項目と「チャネル」、「収益の流れ」は顧客サイドの項目、「キーパートナー」を見て算出していくのが良いでしょう。
以上がおすすめのビジネスモデルキャンバスの書き方ですが、もちろんあなたが考えやすい書き方が一番です。注意点ですが、それぞれの項目の関連性を意識して、説明できるようにしておきましょう。
ビジネスモデルモデルキャンバスで自分のプランを理解しよう
出典:free-photos-ls02.gatag.net
“彼を知り、己を知れば、百戦殆うからず”「孫子」の有名な言葉ですが、ビジネスの世界で生きていくのならば忘れてはならないフレーズです。
今回紹介したビジネスモデルキャンバスは、情報は限られてしまうでしょうが、競合相手のビジネスモデル分析にも使えます。他社のモデルの強みと弱みを知り、自社のモデルはさらなる改善を目指しましょう。
ビジネスモデルキャンバスを使いこなして、ビジネスプランニングを楽しんでください。