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成長できる環境には決まったパターンがある
あなたが新しく何かを始める時、例えばあなたが新しく事業を起こそうと決意したとしましょう。
どのタイプであれば成長するスピードが速いでしょうか?
この上記の3タイプの中からでは、おそらく②か➂でしょう。
➀のタイプであれば自我流に偏ってしまうために効率の良い手段を選べない可能性があります。
また②のタイプでは、お金が必要になるかもしれませんし、相手の時間を消費させてしまうことになるために必ずしも常に行えるとは限りません。
そのため、この場合では③が最も現実的な手段になるでしょう。
③のタイプの人が行う、「模倣する」ということを業界では「ベンチマーク」を行うと言います。
時代の移り変わりが速い現代においてはベンチマークは必須とされるほど大切です。
今回は他社の良い事例を学び真似して取り入れる「ベンチマーク」について理解しましょう。
ベンチマークとは
ベンチマークとは企業が他社の成功事例を学び模倣して、自社に合った形で導入するというものです。
ベンチマーク先の企業や事例はあなたを成功へと導く模範です。
元々は物事の基準や指標という単なる物差しの意味しかなかったベンチマークでしたが、1970年代にアメリカの企業がマネジメントの手法として取り入れられたことによってその意味合いは少しずつ変わっていきました。
現在では新規事業を起こす時だけでなく、マーケティングを行う時や事業の立て直しを行う時などもベンチマークを用いるようになっています。
さらにベンチマークの意味合いも業界業種によって多用されてきています。
ベンチマークを実際に行う時には大きく分けて3つのステップが存在します。
ベンチマークを行うための黄金ステップ
ベンチマークを行う時には必ず通らなければいけない3つの段階があります。
新規事業を起こす時、事業プランを見直す時、広くマーケティングを行う人にとっては必要最低限の知識になるでしょう。
時系列順に3つのステップを理解しておくことであなたがベンチマークを行うことも以前より容易になるはずです。
①ポイントを絞る
まずはベンチマークをする前に、何をベンチマークしたいのかを決める必要があります。
そのために改善すべきポイントを絞らなければいけません。
自社の状況を客観的に分析して”弱みと強み”を明確にしておくことが重要となるでしょう。
そこで役に立つのが”バリューチェーン”です。
どの過程に弱みがあり、そして強みがあるのかをフェーズ毎に考えることが出来ます。
バリューチェーンに関してはこちらの記事が参考になるでしょう。
自社を分析して見つかった弱みのどこを強化したいのか、ベンチマークを行って改善したいポイントはどこかを絞ることが大切になります。
ポイントを絞る際には、「理想の状況と今おかれている現状」を比較して何が足りていないのかを考えると気付きやすいでしょう。
②ターゲットを定める
改善したいポイントを絞ることが出来たので、次のステップへと進みます。
次は先ほど行った「理想の状況と今おかれている現状」を比較する際に用いた理想の状況に近いターゲットを探します。
ここで大切なのは同業種だけにこだわる必要は一切ないということです。
むしろ異業種に着目することによって目から鱗の優良事例が見つかるかもしれません。
また、ターゲットを定める際にはそのターゲットを模倣することによって自社が理想の状況へと変わっていく想像をすることも大切になってきます。
もし模倣したとしてもあまり具体的な図が思い浮かばないなんてことがあれば、それは理想的なターゲットではないかもしれません。
ベンチマーク先の事例を選定するときは一人で決めずに複数人で話し合って決めるほど重要なことと認識しても良いでしょう。
③取り入れ方を模索する
改善したいポイントを絞り、ベンチマーク事例を定めました。
最終ステップとして、ここではどのようにして優良事例を自社に取り入れるかを考えていく必要があります。
例えばトヨタの生産システムで有名なJIT(ジャスト・イン・タイム制)などは優れた方法であると皆言わずとも知っています。
しかしその優秀な仕組みをそのまま自社で取り入れることが出来るかといえば、それは必ずしも上手くいくとは限りません。
むしろ優れた方法であるがゆえに導入することは難しいでしょう。
そのため、自社で上手く取り入れる方法を模索する必要が出てきます。
この際、理想の状況から逆算して取り入れるのではなく、現状から積み上げて理想へと辿り着く方法を一つ一つ導入する方法も時には良いでしょう。
身の丈に合ったやり方をその時々に応じて活用することは大切です。
以上の3ステップをきっちり理解することでベンチマークを行うことは出来るようになるでしょう。
ベンチマークの弱点
一見何の問題もない便利なベンチマークですが、ベンチマークにも弱点が2つあります。
この弱点を意識しながらベンチマークを用いることによって想定外の問題が起きるのを防ぐことができます。
①ベンチマーク企業に追いつくことは可能だが追い抜くことは出来ない
優良事例の良いところを自社に応用して取っていくわけですからベンチマーク企業の限界をいつか自社も迎えてしまうでしょう。
その時には次のベンチマーク先を選定し直す、もしくは自社独自のやり方に集中するなどの選択を下さなければなりません。
②試行錯誤なく簡単に行いやすいが、オリジナリティを生み出すことが難しい
良い例を見つけて真似するだけなので試行錯誤する必要はありません。
しかしそれと同時に自社オリジナルを作り出すことも出来ません。
そこで重要になってくる考え方が「守・破・離」です。
型を守り、型を破って、型を離れて新しい型を構築するというのが「守破離」になります。
ここでは「守」でベンチマーク先を模倣をして、「破」で独自性のある一色を付け加え、最後に「離」でオリジナルなものを成り立たせることが大切になります。
ベンチマークを行う時もずっと模倣をしていれば万事うまくいくという保証はどこにもありません。
自らどこまでベンチマークするのか、いつ切り替えるのか、ということを見定めながら意思決定をしていくことが大切なフェーズになっていくでしょう。
総評:現代の流れとベンチマークの今後
ベンチマークとは良い事例をターゲティングし自社に当てはまるように模倣することです。
時代の流れが速く、すぐに状況が移り変わってしまう現代だからこそ「ベンチマーク」はその存在意義を強く発揮しています。
状況を客観的に俯瞰することができ、最短距離でゴールへと導いてくれる「ベンチマーク」という方法は現代に求められている知識だと考えられます。
今後もベンチマークが有効な手段として用いられることは多々あるでしょう。
一度自社の置かれている現状を分析しベンチマーク事例を探してみてはいかがでしょうか?
新しい風を自社へ吹き入れる新たな一歩となるかもしれません。