会社にとっての「前」を示すことが大事

会社にとっての「前」を示すことが大事

一番エキサイティングな苦労話は、苦労を乗り越えていい方向に転換し、それが成功のきっかけになったということだと思います。そういう意味で、「組織の統制・構築」が一番印象に残っています。
ベンチャー企業は前向きな人しか採用しないですし、そもそも前向きな人しか採用面接に来ません。みんな前向きで、誰ひとり「会社の足を引っ張ろう」とか「社長の言うこと聞くのをやめよう」という人はいないわけです。
ところが「前向き」というものの「前」って人によって違うんですね。
私にとってはあっちが前だけど、彼女にとってはあっちが前となるわけで、放っておけば方向がばらばらになってしまいます。でも、みんな悪気はなくて、誰も足を引っ張ってないつもりなのです。反対の方向を向いている人からすると「あいつが足を引っ張っている」となってしまいますが。
 
これは完全に社長である私の責任で、要するに「前がどっちか」を指し示してなかったのです。
当時の僕が何をしたかというと「我々は売上を追求する。利益は2の次3の次4の次。赤字はもう知らん」という形で売上追求の指標を出しました。まずはお客様の数を増やすことが第一ステップという形の指針を出したところ、みんなが「お客様を増やすことが前方向」と認識し、そうすると面白いぐらい売上が一気に増えました。
現在、売上が9期連続で増収で、おそらく10期で増収となる見込みです。
ひとえにこれは従業員のおかげだと思いますし、その昔そこで苦労したのはなぜかというと、従業員がバカだったからではなく、僕がダメだったということです。みんな前向きな人を集めていたのに、前がどこだかわからないという感じで。
 
一時期は「何でこいつは言うことを聞かないのか」と思っていた時期もありましたが、実は私に責任があり、そういう旗を立てることをしてなかったからだったのです。旗を立てたところ、一気に風向きが変わり、利益が後ろからついてくる、という状態になりました。

上場に重要なのは人事統制の経験・知識

大きな失敗、本当に会社が飛ぶような失敗というのは、結果的にはしていません。
大きな失敗はないにせよ、やはり先ほどの人事統制の部分を最初から知っていれば、しかるべきタイミングでそれをやっていれば、あと2年は早く上場できたのではないかと思います。
“たら・れば”はないですけど、もし今の僕の脳みそであの時代に戻れたら、会社の組織運営等をもっと上手にやって、場合によっては離脱した人も離脱しなくて済んだかもしれないですね。

達成感があったのは上場承認が出た2日間だけ

上場の達成感を実感することは、本気でないですね。
世の中、ベンチャー企業が株価を下げると「上場ゴール」といって怒られます。しかし、ゴールする気はさらさらないし、「住みついてやろうか」と思っているぐらいです。
 
もっと言えば、上場準備期間に新しいことはほとんどできないんですよ。新しいことをやると業務フローが変わり、審査上影響が起きてしまうます。
上場準備期間中でも、新たなこと、新規事業とかをやりたいわけです。しかし、実質的には1年間ぐらいそれができてないのです。
上場して嬉しかったことは「これで(自分たちのやりたいタイミングで)好きなことができる」と感じたことですね(笑)。
 
だから、本当に達成感を味わったのは、上場の承認が出たという連絡を東京証券取引所から頂いたその日と翌日ぐらい。あとは上場するまで、上場セレモニーの日、今日に至るまで全くないです。

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