上場を目指す際に必要なものは?
スタッフに対して上場前後で差をつけない
社員の変化はあまりなかったと思います。ただ、今までお客さんだけ見ていればよかったのが、株主も見て行かなければならない、不特定多数の人たちを見て行かなければならなくなったというところで、「自分たちは上場企業の社員なんだ」という自覚が出てきて、以前よりはピシッとした部分は多くなったというふうに思います。
当社としても、上場前に入ったスタッフと上場後に入ったスタッフにできる限り差をつけないというような努力はしてきました。
上場前に入ったスタッフは、やはりいろいろ苦労して会社を上場まで導いています。上場後から入ったスタッフというのはどちらかというとそれにのっかるスタッフが多く、そこが派閥化してしまい会社の組織が乱れてしまったという話はよく聞いていました。
単純に長くいるから偉いとかいうわけではなくて、その能力に見合ったものを用意することで差をなくしていくことをしています。
また、社外の部分では、営業的なメリットというのは非常に大きかったです。
当社はBtoBをしていますので、企業の信用が重要になってきます。どんなに良いサービスを提供したとしても、私どもの会社の信用力がないという理由で取引してもらえないということは、少なからずありました。
それが、上場することによって、ある程度の資本力ができ、世間から認められる存在になったということがあり、以前断られた企業から断られなくなりました。
意識しないことを意識
できる限り、「自分が上場企業の役員であるということは意識しない」ということを逆に意識したというところです。
やはり、上場は決してゴールではないですし、ブランドを付けるためにやっているというものではないんです。上場したということで、人に認められて偉くなったとして感じてしまうと、そこに固執することにモチベーションが向いてしまって、逆に企業の成長にとってはマイナスになりうると考えています。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉あったりしますけども、やはり大きくなって上場するにつれて、むしろそういうことは逆に意識しないということを意識していました。
上場を目指す人へ向けて
「IPOはゴールじゃない」というのは、よく言われることだとは思います。私自身も、IPO自体がゴールだとは思っていません。
IPOを目指す時には何が必要かというと、「修正力」だと思っています。
最初に出したビジネスプランがそのままうまくいくケースは非常に稀です。私も3つの事業を担当していますが、最初からうまくいったケースはゼロです。
ですので、ビジネスモデルというのは最初に出したものがうまくいくわけではなく、いろいろな紆余曲折の中からお客さんの声を聞いて、それに基づいて修正をして成長に導いていくというものだと思っています。
修正力というと、お客さんの声のとおりに改良していくと思われがちなんですけれども、お客さん自身もその答えを持っているわけではありません。
そのお客さんの声から最終的にその声にある課題を見つけ出して、その真の課題をいかに解決していくのかが修正力だと思っています。
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