今回のインタビューは、マイクロ波化学株式会社・代表取締役社長である吉野巌さんに「大企業との連携」「起業時の苦労」「今後の成長戦略」について伺いました。
【経歴】
三井物産(株)(化学品本部)、米国にてベンチャーやコンサルティングに従事(Reed Global LLC、Bionol Corp.)。 2007年8月、マイクロ波化学㈱設立、代表取締役就任(現任)。 1990年慶応義塾大学法学部法律学科卒、2002年UCバークレー経営学修士(MBA)、技術経営(MOT)日立フェロー。経済産業省・研究開発型ベンチャーへの投資判断に関する調査研究委員会 委員。

事業内容

我々は電子レンジ等に使われているマイクロ波を化学プロセスに使う、要するに「何を作るか」ではなく「どうやってモノを作るか」を売りにしているベンチャー企業です。
我々がターゲットにしている業界は化学産業あるいはエネルギー産業ですが、化学・エネルギー産業の分野は100年以上前から同じ方法でものを作っていて、間接的に温めて全体を温める、という方法でした。
しかし、マイクロ波を用いれば、分子に直接エネルギーを伝えることができます。これによって分子レベルでものを作り、「省エネ」「高効率」「コンパクト」なものづくりを提案していくというのが我々の事業です。
例えば、化学工場やエネルギー工場は非常に場所をとるものが多いのですが、我々はマイクロ波を使うことで非常にコンパクトなプロセスを作ることができます。

世界初、マイクロ波を使った工場を立ち上げる

実はマイクロ波、電子レンジそのものは70年ぐらい昔からの歴史があります。しかし、なかなか電子レンジを大きくすることが難しくて、我々は会社を創業して以来、そこにチャレンジしてきて成功しました。
実際に大型化に成功するだけではなく、2014年には世界で初めてマイクロ波を使った工場を大阪に立ち上げ、そこで脂肪酸エステルを作って出荷しています。
マイクロ波を発生させる装置そのものは、実は我々は作っていません。既成品のものを買ってきています。これをうまく使うことで、リアクターという反応器を我々が作る、あるいはその反応器を組み込んだプラントの設計そのものを作る、ということです。
ですので、我々自身は研究から工場を作る設計・エンジニアリングまで、一貫して実行できるのが一番の強みです。
技術系ベンチャーで「ラボしかやっていません」というところがよくありますが、我々は「ものづくりの技術を売る」という意味で、単にラボでやるだけではなく、お客様が「工場を建てたい」と言ったとき、それを我々自身が設計、あるいは製造そのものまで一貫したサポートできるチーム体制が整っています。

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