今回は、生きがいラボ株式会社 代表取締役の福留幸輔氏に、ティール組織・ホラクラシーとノーレイティングの関係性についてお話を伺いました。
(聞き手:株式会社アントレプレナーファクトリー 代表 嶋内 秀之)
ティール組織・ホラクラシーとノーレイティングの関係性
嶋内:皆さんこんにちは。今回はティール組織やホラクラシーについて福留さんにお話をお伺いしたいと思います。
これって今までの話題のノーレイティングとの関係性とか、一体そのティールとかホラクラシーっていうのは一言で言うとどんな話なのか、この辺お伺いしてもよろしいでしょうか。
福留:まずティール組織とは、一言で言うと、自律分散型の組織ですね。中央集権的な社員さんをコントロールする部署や経営陣がいて、そのコントロールする人とコントロールされる人に分かれるような組織形態ではなく、一人一人が自分で考えて自分で決めていく、そういった組織イメージをフレデリック・ラルーさんがティールという色で表したのでティール組織と呼ばれています。
組織開発や人材開発の世界では新たな目標というか、目指すべき組織形態として注目されてるということですね。
ホラクラシーというのは、概念的なティール組織を具体的にフレームワークに落とし込んだもので、組織運営のテクニックですね。
ノーレイティングの根本的な思想は、飴と鞭を使って社員さんをコントロールしなくても一人一人がきちんと自分がやるべきこと、やりたいことを決めて、それを自分で目標設定したならばやはり最後まで頑張れるし、生きがいややりがいにつながるという人間観、仕事観がノーレイティングの根本にあるので、非常にティールやホラクラシーと根本の価値観が共通してる部分があります。
私はティール組織の人間観や組織観を人事制度に当てはめるとノーレイティングになるのかなという風に考えています。
嶋内:その前提とする人材観や組織観がそれぞれ似てるということですね。古典的な経営学でいうとX理論とY理論のY型。飴と鞭がないと動かない人と任せられれば自分で自律的に動く人と、それぞれどういう人材観に立つかみたいな話を学んだことがあるんですが、よりY論的な前提で。
福留:そうですね。おっしゃる通りですね。
嶋内:そうすると、真面目に働かない人って一定数いるなとか、世の中バリバリ働く人とやっぱりそうでない人っていうのはもしかしたら「2:6:2」じゃないかみたいなこともよく耳にします。その辺はどう扱っていけばいいんでしょう。
福留:やっぱりノーレイティングの根本の思想を経営者の方々にお話しすると、「怠ける人出ないですか?」というご質問は多いですね。私の経験上ですけれども、放っておいたら怠ける人っていうのはやっぱり一定数いらっしゃるとは思います。
ただ放っといたら怠ける方に焦点を当てて、怠けないようなマネジメントをするよりも、自分で決めてもらったらやりがい感じてイキイキと働けるということに焦点を当てて組織運営を考えていったほうが、私は健全かなと思っています。
もうちょっと深いところを言うと、仕事を放っといたら怠けるような方も怠ける理由があるわけですね。
なので、その怠ける理由を否定するんではなくて、それもその方が持ってる何か特別の事情として、組織側が理解する姿勢が私は大事だと思ってますし、ノーレイティングっていうのはまさにそういう根本思想があります。
組織側と社員さん側が腹を割って話をして、もし社員さんがどうしてもこの組織では頑張れないということ、結論に至ったらそれはもう関係解消すればいい話だと思いますし、何か共通の目指すものがあったらそれに向かって頑張っていけばいいと思います。
やはり怠ける方っていうのは一定数いらっしゃるとは思いますが、それを否定するんではなくて理解する。そういう思想も必要になってくるのかなと思っています。
嶋内:じゃあ誰にフォーカスするかという問題と、ちょっと期待ほどは機能しないという感じでいいんでしょうかね。
福留:そうですね。
嶋内:そこには何らかのおそらくは理由があると。期待があるからお互いに入社したわけで、それがうまく行動が見られないことに理由があるのではという前提に立ってみるということですね。
福留:私の経験上ですね、やはり仕事を怠けたいと心から思ってる人っていうのはあまりいらっしゃらなくて、その組織の中で彼、彼女はちょっと問題だねと言われてる方もそれなりの理由があるかなと。
例えばよく私が聞くのは、「実はこの仕事ではなくて、こちらの部署の仕事がしたいんです」ということが理由で、今の仕事に一生懸命になれないとか。
あるいはプライベートで問題抱えておられて、ちょっとプライベートのほうに軸足を置きたいのに、決められた時間いないといけないっていうことに何か乗り切れない疑問を感じてたりとかですね。
そういった形で、何かしら事情があると思うので、そこをしっかりと理解して、お互いに相互理解を深めていくような対話をしていくことが大事なのかなという風に思ってます。
嶋内:なるほど、分かりました。今回ティール組織とかホラクラシーということですね。
それが一体どういうものなのかということと、それとノーレイティングとの関係性というお話しをお伺いしたんですけれども、それらに共通するものとしては前提となる人材観がある程度同じようであるということ。
それからそういう人材観を持つことによって一定の不安というものはある程度持たれるケースも少なくはないということ。
そこの不安はあるという前提で、それでもやっぱりどこにフォーカスするのかとか、じゃあ出てない人に対する事情ですね。
そういうのもある程度お話し聞いてみますと一定の枠である程度のパターンがありそうな気もして、そんなのが解消できたらすごく組織の今いるメンバーでパフォーマンスが上がりそうなイメージが湧いてきました。
福留さん今回もありがとうございました。