今回のインタビューは、株式会社ウェブライダー代表取締役・松尾 茂起氏に、「コンテンツマーケティングの極意」についてお話を伺いました。
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コンテンツマーケティングの極意とは
コンテンツマーケティングを考える上で一番大切なことは、「コンテンツマーケティング」という言葉の本質にある「マーケティング」についてきちんと理解しておくことです。
例えば企業のブランドをより多くの人に知ってもらったり、商品の価値をより多くの人に知ってもらう一連の行動のことをマーケティングといいますが、コンテンツマーケティングというのは、あくまでもコンテンツを使ってマーケティングを実現するものです。
私の持論ですが、究極的なマーケティングというのは、顧客との信頼関係、つまり「この会社の売ってるものであれば、信頼して購入できる」とか「この人が言うことなら信頼できる」など、そういう信頼関係をつくっていくことだと思います。
大企業の商品が、なぜあんなに売れるかというと、大きな会社で社会的な信用があるから、誰もが安心して購入するわけです。名もないベンチャー企業には、そもそも信頼がないので、どんなにいいものをつくっても、お客様からすれば「この会社の商品、買っていいのかな」「この会社に個人情報送っていいのかな」と不安になります。
そこを打開するためにはどうすればいいのでしょうか?まずはやはり、信頼してもらうことが必要です。ではどうやって信用してもらえばいいかというと、そこではじめて「コンテンツを間に入れる」という話になります。
例えば、ある企業が自分たちの持っているノウハウを無料で出すとします。無料で出すのは、セミナーでも本でもなんでもいいと思いますが、一番簡単なのがウェブのコンテンツで、ウェブ上に自分たちのノウハウを無料で出します。
そうすると、いろいろな人がそれを見たときに、「この会社、こんなノウハウを無料で出してくれる。すごく役立つな」と思い、「この会社は信用できるかもしれないから、一度商品を買ってみよう」という意思決定を行います。結局のところ、コンテンツマーケティングで意識すべきことは、そのコンテンツを出すことによって、企業・商品が信頼されるかどうかということです。
我々がおふざけなコンテンツを出さない、というのはそういう考え方が背景にあり、そのコンテンツを出して、すごく盛り上がったとしても、「果たしてその企業のブランドや商品が信用されるに値するのか」と思うわけです。
コンテンツマーケティングの成功事例
もちろんゆるいコンテンツ、楽しいコンテンツを出すことによって、その企業が信頼される場合もあります。しかし、そういうことを何も考えずに、単純にページビューが集まればいいとか、ソーシャルメディアでいっぱいバズればいいとか、そういうふうに考えている人はたくさんいて、結局失敗してしまいます。
1つ事例を紹介すると、ある会社のコンテンツマーケティングを依頼されたとき、「記事は2記事でいいです」と言いました。「もうすでにたくさんページがあるので、これ以上のページは要らないです。ただあなたたちが言えてないメッセージがあります、それをコンテンツにしましょう」と。
「2記事だけ作って、その記事さえ見てもらえれば、あとは勝手にお客様が御社のことを信用してくれて、商品が売れていきますよ」と提案したことがあって、それが大成功となったことがあります。
「このコンテンツさえ見てくれたら、自分たちのことを信用してもらえる」レベルのコンテンツを出そう
たくさんコンテンツを作るということは、自分のリソースをどんどん安売りして、細分化してしまいことです。それでは熱量もないですし、そういうものをたくさん出しても、お客様はいつまでたっても信用してくれません。
100個のコンテンツを作るのであれば、それを1個にして「このコンテンツさえ見てくれたら、自分たちのことを信用してもらえる」、そういうレベルのものを市場に出したほうが、はるかに信用してもらえると思っています。
コンテンツを介して信用してもらうという視点を、最初にきちんと持っておかないと絶対に成功しません。世の中の会社が現れては消えているのは、信用・信頼に値するコンテンツを作るというところが抜け落ちているからだと思います。
コンテンツマーケティングに悩む方へ
コンテンツマーケティングをやっていて失敗する会社の基本的なパターンは、とにかくコンテンツを量産していたり、理由のないスケジュールがあって「毎週これを出さないといけない」というルールに縛られているとか、そういったことだと思います。
重要なのは、そのサイトに来る人の意図をしっかり分析することです。スケジュールは変えられないにしても、1記事は1カ月かけてじっくり考えてみるとか、みんなで一つの記事を一生懸命考える時間を捻出していただくと、物事を俯瞰的に見ることができます。そういう機会をつくることが重要だと思っています。
理想は、量より質にシフトすることです。今、量ばかりどんどん増えていって、けれども、コンテンツを見る人たちの時間は変わっていません。皆さん、いろいろなサイトを見ていると思いますが、質の高い、突き抜けてるものが増えているので、自社も量より質にいかないと厳しいです。
とは言っても、いきなり移行するのは難しいので、まず1カ月1記事でもいいので、一生懸命ディスカッションして考えれば、おそらくいろいろなことが見えてくると思います。
我々はいろいろな事業をやっていますが、もし可能であれば、我々のコンサルティングを受けていただくといいと思います。コンサルティングにはいろいろなやり方がありますが、我々のコンサルティングの特徴は、みんなが持ってない視点を持ってお話できることです。
例えばコンテンツマーケティングに苦労されている方は、視点が狭くなりがちです。なぜかというと、やるべきことが決まっているので、別の視点を持つことができない、また別の視点に興味を持つこともできないからです。
言い方を換えると、やるべきことが決まっているので、「こういう知識を入れてしまったら現場が混乱してしまう」と思われがちです。しかし、我々のコンサルティングは、その現場のことを理解しつつ、「こういう視点で物事考えたらいいよ」と軌道修正していくことを得意としています。
コンテンツを量産している企業の場合だと、この量産を時間をかけてなくしていきます。例えば月20記事投下している企業でしたら、いつしか4記事になっているけど、トラフィックはすごく増えて、現場もいきいきとして、本当の意味でのコンテンツマーケティングをみんなが理解できた、といった成果を出させていただいてます。
「いきなりコンサルは厳しい」という方は、私自身色々なところでセミナーをしていますし、最近は各社に合わせたセミナーも実施しているので、一度お問い合わせいただき、その悩みを教えていただければと思います。我々ならではの視点で解決策を、例えばプレゼン資料にしてお話することができます。
新しい視点が入るだけでも、ずいぶん仕事のやり方は変わります。視野が狭くなっている会社の方々には、ぜひ一度お声掛けいただければうれしく思います。
松尾 茂起氏の経歴
関西学院大学 経済学部を卒業後、音楽系の制作会社に勤務し、大手舞台音楽などの制作に携わる。 その後、2005年にフリーランスとして独立し、2010年に株式会社ウェブライダーを設立。 検索集客を意識したWebマーケティングのコンサルティングやコンテンツ制作を多数手がける。
過去にプロデュースした主なコンテンツは「沈黙のWebマーケティング」「沈黙のWebライティング」「ナースが教える仕事術」など。 沈黙シリーズは書籍化され、 それぞれAmazonランキングのベストセラーに。 最近ではワインの楽しみ方をわかりやすく学ぶ「美味しいワイン」も運営。
セミナー講師としても、 「CSS Nite」や「ad:tech」、宣伝会議「編集・ライター養成講座」等で登壇。 CSS Niteでは年間ベスト・スピーカー賞を3度獲り、殿堂入りを果たす。 2017年10月には、自社のライティングのノウハウをWebサービス化した「推敲支援ツール『文賢』をリリース。
また、音楽家としても活動しており、アーティストのライブサポートや、各種テーマソング制作、「国民文化祭」などのイベントや京都の貴船神社などに楽曲を提供。 「恋のSEO!」「私の心の中の関数」「Eternal Writing」などの楽曲はネットで話題に。 1978年生まれのAB型。現在、京都と東京に在住。 猫をこよなく愛する38歳。