今回のインタビューは、株式会社ウェブライダー代表取締役・松尾 茂起氏に、校閲・推敲支援ツール「文賢」についてお話を伺いました。

「文賢」開発の背景

もともと我々は、コンテンツマーケティング事業として様々なコンテンツを作ってきました。コンテンツには色々ありますが、記事を作る中で、「こういうふうな書き方をしたほうが人に伝わりやすい」といったライティングノウハウが蓄積されていきました。

 

あるとき、「そのノウハウを、もしツールとして提供できれば、世の中にあるコンテンツがもっと見やすく分かりやすくなるのではないか」と考え、「文賢」というツールを開発しようと思いました。

 

ツールを作ることのメリットとして、我々がライターに対して記事を発注する中で、これまでやってきた修正のお願いを整理していくと、毎回同じことを言ってることが分かりました。言われる側も、毎回同じことを言われるとお互いの関係がぎくしゃくしてしまいます。

 

この「言わなくていいことを言うし、言われなくていいことを言われる」これをなくせるのが「文賢」というツールではないかと思いました。「文賢」によってもっと読みやすくて分かりやすいコンテンツが増え、さらに世の中のライター・編集者との仲もよくなります。そういった背景から、このツールを作りたいという考えに至りました。

 

開発時の苦労

「文賢」は文章の中にある特定のフレーズをチェックしてアドバイスするという仕様になっていますが、どのフレーズをチェックするかという、データベース設計の部分に一番苦労しました。日本語はすごく複雑で、一つの意味に対しても、たくさんの言い回しがあります。

 

そのたくさんの言い回しのデータベースをまず自社で作ること。それを作らないと、どこが駄目で、どういうふうにアドバイスすればいいかという判別ができないため、そこに一番苦労しました。

 

あとは、「文賢」というサービスは、いわゆるウェブサービスで、専用の窓の中にテキストを入力してチェックします。その窓の中でどこが駄目かを示すハイライト機能があり、この開発にもとても苦労しました。一般的なツールでは、窓にテキストを入れたら、その横に「ここを改善してください」というメッセージが表示されます。

 

しかし、「文賢」はそういうつくりではなく、実際にその窓の中で文章を編集しながら、改善点を教えてくれます。この機能の実装に、とても苦労しましたね。

 

「文賢」を使ってほしい人

「文賢」は、今文章を書いているすべてのライターにお使いいただけるツールです。「文賢」を通すと、自分が気付いていないところも確実にチェックしてくれます。人間は脳のメモリに限界があるので、言われると分かることも、作業してる中では気付かなかったりします。

 

そういう部分をツールでチェックしてもらうことで、空いた時間に記事の内容を考えたり、編集するなど、クリエイティブな時間に回せます。よって、ライターだけではなく、編集者の方々にも役立てていただけると思います。

 

特に編集者がライターとの細かなやりとりが不要になるので、お互いぎくしゃくせず、いいコンテンツが作れるようになります。さらには、今、社員教育の一環として「文賢」を入れていただく方が増えています。なぜかというと、「文賢」は敬語のチェックもできるからです。

 

例えば、初めて取引する相手に「お世話になります…」と書いてしまいがちですが、そもそもまだ取引が始まっていないのに、「お世話になります」はおかしいです。そういうところもツールがチェックしてくれます。

 

あとは「返信させていただきます」「伺わせていただきます」など、「させていただきます」をよく使いがちですが、そこも使い過ぎるとまどろっこしくなったり、そもそも使い方を間違っていると、恥をかくこともあります。いわゆるメールの作法を学ぶための新人教育のツールとしても入れていただいてます。

 

「文賢」を文章で生計を立てているすべての人に使ってもらえば、みんなが幸せになると思っています。

 

「文賢」が目指す姿

「文賢」は読みやすい文章を書くために作ったツールではなく、最終的には「人と人とのコミュニケーションを円滑にするツール」を目指しています。

 

人に対して何か言葉を投げ掛けるとき、言葉というのは強力な武器になるので、ちょっとした言い回しが原因で、お互いの仲が険悪になることもあります。そこでお客さま、あるいは相手に対して言葉を送るときに、過ちがないよう先にチェックすることはとても大事な作業だと思います。

 

それをすることが、相手に対する思いやりにつながるので、「文賢」を通すことが、相手を傷つけない、相手にもっといい気持ちになってもらうことの1つのきっかけになればと思っています。

 

「文賢」をずっと使っていると、「人に対してどういう言葉を使うのがいいのか」、そういうことをどんどん勉強できるので、ウェブで文章を書くときだけではなく、ウェブを飛び越えてリアルな現場で役に立つような言葉の使い方を学ぶことができます。それを目指して開発しているツールが「文賢」です。

 

「文賢」について、もっと詳しく知る

松尾 茂起氏の経歴

関西学院大学 経済学部を卒業後、音楽系の制作会社に勤務し、大手舞台音楽などの制作に携わる。 その後、2005年にフリーランスとして独立し、2010年に株式会社ウェブライダーを設立。 検索集客を意識したWebマーケティングのコンサルティングやコンテンツ制作を多数手がける。

 

過去にプロデュースした主なコンテンツは「沈黙のWebマーケティング」「沈黙のWebライティング」「ナースが教える仕事術」など。 沈黙シリーズは書籍化され、 それぞれAmazonランキングのベストセラーに。 最近ではワインの楽しみ方をわかりやすく学ぶ「美味しいワイン」も運営。

 

セミナー講師としても、 「CSS Nite」や「ad:tech」、宣伝会議「編集・ライター養成講座」等で登壇。 CSS Niteでは年間ベスト・スピーカー賞を3度獲り、殿堂入りを果たす。 2017年10月には、自社のライティングのノウハウをWebサービス化した「推敲支援ツール『文賢』をリリース。

 

また、音楽家としても活動しており、アーティストのライブサポートや、各種テーマソング制作、「国民文化祭」などのイベントや京都の貴船神社などに楽曲を提供。 「恋のSEO!」「私の心の中の関数」「Eternal Writing」などの楽曲はネットで話題に。   1978年生まれのAB型。現在、京都と東京に在住。 猫をこよなく愛する38歳。

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