今回のインタビューでは、『ビジネスモデル全史』の著者である三谷宏治氏に、「ビジネスモデルとは何か」「イノベーション時代の経営・個人とは」について菅野(起業tvディレクター)が伺いました。
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アイデアだけでは売れない、正しいモノの売り方とは
経歴
1964年大阪生まれ、福井で育つ。永平寺町立吉野小学校、松岡中学校、藤島高校、駿台予備校を経て東京大学理科Ⅰ類へ。同 理学部物理学科卒業後、ボストン コンサルティング グループ(BCG)、アクセンチュアで19年半、経営コンサルタントとして働く。92年 INSEAD MBA修了。2003年から06年 アクセンチュア 戦略グループ統括 エグゼクティブ・パートナー。2006年からは特に子どもたちを対象にした教育活動に専念。現在は大学教授、著述家、講義・講演者として全国をとびまわる。妻、3人娘と東京・世田谷区在住。K.I.T.虎ノ門大学院 主任教授、早稲田大学ビジネススクール 客員教授、グロービス経営大学院 客員教授。放課後NPO アフタースクール 理事、NPO法人 3keys 理事。永平寺ふるさと大使
❚ビジネスモデルとは何か(1:28~)
「モデル化」という言葉があります。
例えば、人を「モデル化」し、「人が速く走る」という目的を単純化して考えます。走るという動作を分解すると、「10個の剛体と7つの回転ピン」のように単純化でき、それにより、走るというメカニズムを解明することができます。
ビジネスモデルはそのビジネス版です。ビジネスの目的は収益を上げることで、この本の中では、ターゲット、バリュー、プロフィット、オペレーション/リソースの4つの考え方に沿っています。これがビジネスモデルと言われます。
❚替え刃モデルの元祖 キング・ジレット(3:33~)
どうやって儲けるか、つまりビジネスモデルの革命と呼ばれるものが、「替え刃モデル」です。剃刀の世界的なシェアを誇る会社(ジレット社)を興したキング・ジレットがいました。発明一家の家系に生まれたジレットは「自分も起業したい、発明したい」と思うようになりました。王冠メーカーで働いていたジレットは社長のペインターにこう言われました。
「使い捨て品を考えないといけないんだよ」
その後、彼は一生懸命考え続け、40歳のある日、替え刃式の剃刀を考案するのです。それまで剃刀は丈夫な物で、刃を家で研いで使っていました。それに対してジレットが考案した剃刀は、「耐久性は2〜3週間だが、切れ味が非常にいい」という特徴がありました。素晴らしいアイデアがここで生まれました。
❚アイデアだけではダメだった(5:57~)
ところが残念ながら、アイデアだけでは上手くいきませんでした。当時の製造技術では、剃刀の薄い刃を製造できなかったのです。ジレットが求めた、薄くて、安くて、切れ味が良くて研ぎ直す必要のない刃を作るのに6年もかかりました。その製造技術を誰も持っていなかったので、彼は探しに探してマサチューセッツ州工科大学のエンジニアと出会い、6年がかりで完成にこぎつけました。
しかし、理想とする刃は作れたのですが、新しい物を導入するということは大変なことで、初年度は500個しか売れませんでした。
そこで、彼は新聞広告といった、当時普及し始めていたマス広告に自ら出演し始めました。マス広告を上手く利用し、女性に対して贈物として訴求しました。こうしてようやく売れる体制が整いました。
次に、彼は「模倣品や特許訴訟」に立ち向かわねばなりませんでした。特許部隊を作り、和解や買収によって知的財産を守りました。こういった努力が実り、ビジネスモデルを創り出すことに成功しました。
ビジネスモデルは、何か1つの要素を変えれば良いというわけではなく、従来のビジネスモデルを分析し、全てを変える必要があるのです。
ビジネスモデル全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)
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