上場までの道のり~時間・費用

起業を目指す皆さんの1つの目標・通過点として、「上場」という手段があります。

そこで今回は、上場までの道のりについて、市場、費用、時間等の基本的な事項を整理していきます。

そもそも上場とは?

まず、上場とは「証券取引所が企業の株式等が一定の基準を満たすものとして、その取引所内での株式等の取引を認めること」を言います。

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出典:ttpoint.info

日本には、このような証券取引所は、東京、名古屋、札幌、福岡の4つがあり、そのなかにさらに目的ごとに細分化された市場があります。例えば、東京証券取引所であれば、東証1部、東証2部、マザーズ、ジャスダックなどです。

今回は、その中でも、新興企業が利用することの多いマザーズを例にとって、上場までの道のりと上場までにかかる費用と時間について説明していきます。

上場スケジュールと時間

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出典:marylanddancesport.com

上場までの最短スケジュールですが、3月決算の場合、下表が参考になります。上場するには、上場企業としてふさわしいかという上場審査という手続きが必要です。

上場審査の対象となる監査期間はたしかに2期間(X1年3月~X3年3月)分なのですが、監査対象期間前のショートレビューと事前の体制整備で数か月~1年、上場申請書類作成期間(X3年3月~7月)で3か月程度必要なので、それぞれ合計すると最短でも3年前後が必要になるとご理解ください。

上場のための準備

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出典:www.thetaxcollege.com

上場のための準備する事項を事前に確認するための資料として、証券取引所がHPで公開している資料が一番信頼できます。具体的には、以下のような事項に対応できるようにみなさんの会社の経営体制を整備していかねばなりません。

特に予算管理体制、内部統制と業務プロセス、規程集の整備などは最初にショートレビューでも指摘されます。東京証券取引所では、マザーズへの上場申請予定会社が上場準備を円滑に進めるための参考資料として「マザーズ事前チェックリスト」を作成しています(下の表は簡易版です)。ぜひ参考にしてください。

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出典:http://www.jpx.co.jp/equities/listing-on-tse/new/guide/tvdivq0000002gtl-att/mothers_05.pdfより加筆修正

その上で、以下のような上場申請の提出書類の作成と提出が最終的に必要になります。下の写真は一部で、他にも「第三者割当、ストックオプションの付与等に係る提出書類」や「公募売出し等に係る提出書類」などがあります。詳しくはHPを参照してください。

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出典:http://www.jpx.co.jp/equities/listing-on-tse/format/00-02.html

また、記載の手間という意味では、その中でも「新規上場申請者に係る各種説明資料」の作成が一番の負担になります。具体的な記載項目が気になる方は、下記からご確認ください。

新規上場申請者に係る各種説明資料の記載項目について

以上に関しては、筆者のように大手上場企業の本社経営企画や経営管理部門に属していたり、上場準備実務に携わったことのある人間にはイメージが持ちやすいのですが、初めて文章を読んだだけではなかなかイメージできないかと思います。

必要に応じて、経験のある人間を中途で採用するか、外部のコンサルティング会社を利用するとよいでしょう。起業tvでインタビューをしてきたIPO経営者の多くも、上場経験のある人を上場前に採用していたようです。ただし、多額の金銭が動く関係上、有象無象の自称専門家が集まり、売り込みも激しくなりますので、採用、選定は慎重に行ってください。

上場までの費用

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出典:www.autoform.com

上場に係る費用と一口にいっても、一概には言えません。そこで、スタートアップの新興企業での上場であると仮定し、下表のように整理しておきます。その場合、おおむね計4千万円~5千万円の費用が必要になります。

これ以外にも、中途で人材を採用したりするなどの見えないコストがかかりますので、それらを踏まえて上場の計画をする必要があります。

東証の費用の計算事例を利用した場合の概算金額

(単位:万円)

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出典: http://www.jpx.co.jp/equities/listing-on-tse/new/guide/tvdivq0000002gtl-att/tvdivq000000v45a.pdfより加筆修正

最後に

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出典:www.msafirimag.com

上場準備をしている期間は、申請をするまで体力・気力ともに継続して消耗します。新規上場の際には、東京証券取引所のセレモニーで鐘を鳴らすことになるのですが、鐘を鳴らしてほっとするのもつかの間、上場後は継続的な四半期の開示対応など、休まる暇がありません。

上場がゴールではなく、上場はあくまでも企業や自己の成長手段として上場を意識していかなければ、自分自身も社員も疲弊してしまいます。

まとめると、最低3年の準備期間、費用は5千万前後、そして体力・気力があり上場企業を維持するための人材、この辺りがポイントになるでしょうか。

起業を志す皆さんや、すでに起業して上場を目指す皆さんが本稿をお読みいただき、上場についての今一度、強い思いとイメージをもっていただければ幸いです。また、IPOカレッジではより詳細なレクチャー動画を公開中ですので、興味がある方はそちらも参考にしてください。

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