連結納税とは
連結納税とは、企業グループを一体とみなして法人税を課税する制度です。近年では、会社設立が簡単になったので、事業別に分社化、というケースも珍しくありません。
そのため、連結納税は企業グループとして一体化していると考える、グループ経営を重視するという企業経営の観点から、実態に即した税制として創設されました。
ここでは、連結納税の概要や、適用する場合のメリット・デメリットについて解説していきたいと思います。
連結納税の概要
連結納税制度の一番の特徴は、企業グループの申告や納税を一括して行うことにあります。つまり、連結納税制度を採用すると利益が出ている会社と損失が出ている会社を通算することができます。
例えば、親会社に100の所得、子会社に150の欠損が出ているとした場合を考えてみます。個々に納税をしている場合だと、親会社の100の所得に課税され、欠損が出ている子会社は法人税が発生しないということになります。
しかし、連結納税制度を採用している場合だと、親会社の100の所得と子会社の150の欠損が通算されることによって、連結所得の金額が50の欠損となり、この例の場合は法人税が発生しないことになります。
このように連結納税制度を採用することにより、節税の効果をもたらすことがあります。
連結納税制度を適用できる企業グループの範囲
次に連結納税制度を採用できる企業グループの範囲についてです。連結納税制度を適用できる法人の範囲は、内国法人の親法人とその親法人または連結グループ内で100%保有関係がある内国法人の子法人となります。
また、100%子法人にある場合は、この連結納税制度の範囲に含まれることになり、意図的にこの連結範囲から外すことはできないので注意しましょう。さらに、親法人にあっては他の内国法人によって100%の支配関係がある等の場合には、連結親法人となることができません。
連結納税制度の導入の注意点
出典:www.corporateteambuilding.com
連結納税を導入する場合のメリット・デメリットに下記のようなものが挙げられます。
連結納税のメリット
- 連結グループ内で損益通算をすることができるため、黒字と赤字の会社がある場合には納税額を減少させることができる
- 試験研究費等の税額控除額を増額することができる可能性がある
- 損金算入限度額を大きくすることができる可能性がある
連結納税のデメリット
- 子法人等ですでに繰り越し欠損金が発生している場合は、単体で納税した方が有利になるケースがあります。
- 連結納税開始前の資産は時価評価となるため、資産に含み益がある場合は単体での最終事業年度で課税される可能性があります。
- 100%子法人は範囲の対象に含める必要があるため、意図的に連結納税の範囲から除外することができません。
まとめ
連結納税制度は、上述のように導入すれば必ず節税できるという訳ではありません。最近、よく耳にされる制度の一つかと思いますが、メリットとデメリットがあります。
まずは導入することによりどのように影響するのかを十分に検討し、有利不利を判定する必要があるでしょう。