ある日上司がこんな一言

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出典:www.photo-ac.com
ある日上司がお昼休みにこんな一言。
「先週の経営戦略会議で、今後我が社は多角化戦略をとっていくことが決定したそうだ」

...多角化戦略?

あなたは聞いたことがないその言葉の意味を訪ねます。「なんだ、そんなことも知らないのか。多角化戦略はアンゾフの成長マトリックスの1つだ。気になるなら調べてみるといい」

...アンゾフの成長マトリックス?

またもや聞いたことがないフレーズが現れました。 今回の記事では、企業の経営戦略における基礎知識、アンゾフの成長マトリックスの解説とその成長戦略の1つ、多角化に焦点を当てています。

この記事を通して、企業がとる戦略に意図が見えるようになりましょう。

アンゾフの成長マトリックスとは?多角化戦略って何?

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アンゾフの成長マトリックスとは、経営学者イゴール・アンゾフが提唱した、企業の事業ドメインを「製品が既存か新規か」「市場が既存か新規か」の二軸で分けた四つの象限のことです。

アンゾフは1965年に出版した『戦略経営論』において、企業が経営戦略を立てる際に狙う市場と扱う製品を軸に事業を成長させる4つの戦略を提唱しています。

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起業tv編集部作成

上図がアンゾフの成長マトリックスです。では、それぞれの象限の戦略を順に見ていきましょう。

第1象限:市場浸透戦略

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市場と製品の両方が既存のものを販売し、事業拡大を目指す企業は、第1象限の市場浸透戦略が有効です。市場浸透では、商品の購入頻度購入量に対してアプローチしていく戦略になっていきます。

例えば、普通のアイスをテレビCMを活用して、「部活後に食べるアイス」というイメージを訴求し、消費者に定着させていく手法などが戦略として考えられるでしょう。

第2象限:新製品開発戦略

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既存の市場で新しい製品を販売し、事業拡大を目指す企業は、第2象限の製品開発戦略が有効です。第2象限の新製品開発では、新製品を既存のものとどう差別化するか、どう付加価値をつけるかなど製品自体やその周辺に対する戦略を練ることになります。

定期的に新しい味が登場するお菓子やカップヌードルなどのインスタント食品などがこれに当たりますね。

第3象限:新市場開拓戦略

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既存の製品で新しい市場に参入しようとする企業は、第3象限の市場開拓戦略が有効です。第3象限の新市場開拓では、参入しようとしている市場の見極めが戦略決定に欠かせません。

アンゾフはこの新市場には2つの種類があり、1つは地理的に新しい市場、もう1つは地理的には同じであってもターゲットとする顧客が違う、というものです。例えば、前者は、日系企業の家電製品を海外で販売すること、後者は、女性用化粧水を男性用化粧水として売り出していくようなことが挙げられます。

参入しようとしている市場を見極めてから、どのように商品を打ち出していくのかを決めていきましょう。



第4象限:多角化戦略

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新しい市場で、新しい製品を販売していく企業は、第4象限の多角化戦略をとりましょう。第4象限の多角化は、水平型多角化、垂直型多角化、集中型多角化、集成型多角化の4つの種類があり、自社の状況に応じてどの多角化戦略が適当か考察する必要があります。

そして多角化戦略は、既存事業をベースにした他の3つの戦略よりも事業間の関連性が低いため、リスクがより高くなる戦略となっています。

そのリスクを乗り越え多角化に成功した場合、事業規模はより大きく広がり、新しい軸の事業が増えたことにより会社全体のリスクが減るなどメリットが魅力であり、自社の存続のため積極的に多角化していく姿勢をみせる企業も見受けられます。

では、多角化戦略の4つの種類について見ていきましょう。

①水平型多角化(関連製品ライン多角化)

水平型多角化は、同じ分野で事業拡大を目指す多角化です。例えば、冷蔵庫メーカーが、同じ顧客層に対して、電子レンジを製造販売していく戦略などが挙げられます。既存事業と同じ分野で多角化を図る分、成功しやすく、他の3つの多角化に比べ安全な戦略です。

②垂直型多角化(関連機能多角化)

垂直型多角化は、既存製品に対する川上(製造)や川下(販売)まで事業規模を拡大する戦略です。具体的には、食品メーカーが飲食店を出店する等が挙げられます。川上や川下、もしくはその両方の多角化に成功すると、既存事業の市場シェアを拡大できる他、安定した収益を見込むことができるでしょう。

反面、川上から川下も抑えていく戦略のため、市場へ悪影響があると大きく打撃を受けるリスクがあることに注意が必要です。

③集中型多角化(同心円的多角化)

集中型多角化は、既存製品やサービス、そしてチャネルなどに経営資源を集中させることで、新製品・サービスを開発し、新しい市場へ参入していく戦略のことです。既存製品・サービスとの関連づけにより、顧客の心理的ハードルを下げる効果を狙うことができます。

例えば、Amazon musicやAmazon Freshなど様々なサービスを打ち出しているAmazon.comがわかりやすいでしょうか。

④集成型多角化(コングロマリット型多角化)

集成型多角化は、コングロマリット型多角化とも言われ、既存事業と全く関係のない市場に参入していく多角化戦略です。4つの多角化の中でも既存事業との関連性を持たせない分リスクが高いですが、その分成功した際に企業として新たな事業誕生によるリスク分散を図ることができます。



多角化戦略で自社成長を目指そう

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いかがでしょうか。アンゾフの成長マトリックスとそのうちの1つ多角化戦略について解説してきました。企業の事業戦略を分析する際は、アンゾフの成長マトリックスに当てはめると考えやすいでしょう。

あなたの会社は今どのような事業方針をとっているのでしょうか?

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