何かがおかしい印刷業界の実情

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出典:www.shunsokuprint.com
印刷業界の市場規模は約5兆6000億円、事業所数は約28000社あるとされています。
 
しかし、この市場規模のうち50%を上位2社で独占し、残りの50%のパイを約27778社で取り合っているという現状があります。
 
非常に非効率です。そして飽和しています。
 
その問題を解決しようと考えたのが、株式会社ラクスルの松本恭攝(まつもと やすかね)氏です。
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出典: corp.raksul.com
松本氏は、印刷会社の非稼働印刷機を活用することで、印刷会社に収益を発生させるだけでなく、通常の価格よりも安く提供するビジネスモデルを打ち立てました。
 
印刷業界にイノベーションを起こした松本氏は”ジョブズの申し子”とまで呼ばれています。
 
今回はそのようなラクスルの革新的なビジネスモデルをご紹介し、起業成功のヒントを考えてみます。

ラクスルのビジネスモデル

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出典:corp.raksul.com
上の図がラクスルのビジネスモデルです。
 
先ほど説明した通り、飽和状態にある印刷業界では、使われていない印刷機が膨大に存在しています。
 
ラクスルは、その非稼働印刷機を活用することで、印刷会社の「稼働時間上げ」をし、その代わりに価格を安く抑えて顧客に「印刷を安く」という価値を提供しています。
 
印刷会社側からすれば、稼働していない印刷機は負の資産となるので、少し安い価格でも稼働する方が良いという思考になります。
 
顧客からすると、印刷は安ければ良いので、WinWinな関係のビジネスモデルといえるでしょう。
 
そして松本氏は、そのような非稼働印刷機を抱えている印刷会社をまとめ、いつでも印刷を安く注文できるプラットフォームを作り上げました。
 
働く人のネット印刷ラクスルの誕生です。
 
非常に簡単な工夫に見えます。一体松本氏はどのようにこのビジネスモデルを思いついたのでしょうか。

コンサル時代の経験から見た業界

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出典:weekly.ascii.jp
松本恭攝氏は、2008年、AT Kearneyでコスト削減策のアドバイスをするコンサルタントとして働いていました。
 
コスト削減の対策を助言していく中で、松本氏は、印刷代が多くの中小企業のコストを圧迫していることに気付きます。
 
そしてコスト圧迫の原因が、市場において大企業2社がおよそ半分のシェアを独占しており、価格が高騰しているからだと考えたそうです。
 
「大企業ではなく、中小企業がもっと効率的に印刷を頼むことはできないだろうか」
 
そう考えた松本氏は『ラクスル』の始まりとなる、『印刷比較』というウェブサイトを開設します。
 
価格.comの印刷会社バージョンですね。
 
2009年にウェブサイト『印刷比較』を設立し、その後2010年AT Kearneyを退社、本格的に事業に集中する体制を整えていきます。
 
後に、今のラクスルとなるeコマース機能を『印刷比較』に付随させ、松本氏は印刷業界で注目を集めていきます。
 
このようにラクスルは、松本氏の前職からの経験を元に立ち上がりました。
 
松本氏のように会社で働きながら業界の問題点を見つけるということが、起業する際のヒントになるのかもしれません。

ラクスルは次のステージへ

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出典:prtimes.jp
印刷業界に大きな衝撃を与えた『ラクスル』はTVcmなどのメディアを有効に活用し、順調に会員数、売上を伸ばしています。
 
そして次に松本氏が挑戦するのは運送業界です。
 
2015年末に発表したラクスルの新しいサービス『ハコベル』は、運送業者の非稼働時間を利用した、いわば物流版Uberです。
 
こちらも運送業界の非稼働という点が課題となっているようです。
 
『仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる』
という理念のもと印刷業界だけにとどまらず、松本氏は運送業界という歴史のある市場にメスを入れていきます。
 
この『ハコベル』は運送業界をどう変えていくのでしょうか。
 
今後に期待が集まります。

ラクスルから学ぶ起業成功の鍵

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出典:www.monosus.co.jp
『仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる』
松本氏が語るように、業界の仕組みを少し工夫するだけで、イノベーションが起こり、社会がますます良くなります。
 
松本氏はコンサル時代の経験から業界の問題を発見し、起業するに至りました。
 
起業成功の鍵はこの「業界の問題の発見」と考えられるのではないでしょうか。
 
課題は何か。どのようにすれば解決できるのか。
 
その業界の仕組みを変えれば、世界はもっとハッピーになるかもしれません。

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