今回のインタビューは、株式会社ビジョン代表取締役社長の佐野健一さんに、「今の事業内容を決めたきっかけ」「事業が軌道に乗った瞬間」「起業したい方へのメッセージ」についてお話を伺いました。
【経歴】
佐野 健一 (さの けんいち)
株式会社ビジョン 代表取締役社長
1969年鹿児島生まれ。1995年富士宮市で起業し、ビジョン設立。 経営理念『世の中の情報通信産業革命に貢献します』を掲げ、法人携帯事業、電話回線、電話加入権、コピー機などの情報通信サービス事業で業界トップクラスの販売実績を誇る。 2012年より、『世界中いつでも・どこでも・安心・安全・快適なモバイルインターネット』環境を提供すべく、世界各国へ渡航される方に対して各地域で利用できるモバイルWiFiルーターのレンタルサービス「グローバルWiFi®」を開始し、現在200以上の国と地域で提供。2015年より訪日客に特化した「NINJA WiFi®」を展開。
株式会社ビジョン・佐野健一代表取締役社長:海外旅行の強い味方「グローバルWiFi®」を展開【前編】はこちら
 

ブラジル人たちとの出会い

久しぶりにサッカーをやりたいなと思い、夜な夜な行った小学校のグラウンドでプレーしていた人たちがブラジル人でした。
静岡はサッカーどころですが、ブラジルは世界一のサッカー大国です。ブラジル人とサッカーをしたくて、そのまま飛び込んで仲間に入りました。日本人は私一人だけでしたが、チームで一緒にプレーしたことは、ものすごく良い経験だったと思います。
 
また、彼らと出会ったことによって、彼らが「国際電話が高い」ということに悩んでいることに気付きます。それをひとつの生業にするのですから、その出会いがなければ、今の結果には繋がらなかったと思います。
 
ボールが一つあれば、目指すべきゴールは一つです。そのため、それほど違和感もなく、彼らと仲良くなりました。彼らの影響で、国際電話のビジネスを始めようと思い立ったことが、私の中で一つの大きな分岐点だったと思います。

会社に訪れた3つのターニングポイント

サービスというのは、その時代によりどんどん変わっていくものだと思います。
国際電話の時代は、2000年頃に終焉を迎え、インターネットに置き換わりました。つまり、彼らが出稼ぎに来ている期間、インターネットに置き換わっていく期間、この間に我々は事業転換しなければなりません。事業転換をしたことが、1つのターニングポイントだったと思います。
 
その次は、2004年頃から、インターネットを活用したビジネスモデルを本格的に作り上げたことです
光通信出身だということも影響していたと思いますが、一人で「0から1」を作り出す営業にとてもこだわっていました。ただ、私を1万人作るのは不可能だと思っていましたし、それには興味がありませんでした。やはり、お客様のニーズにしっかり応えていくこと、お客様に「ありがとう」と沢山言ってもらえることは、会社を長くやっていく上で大事なことだと分かっていました。ユーザーとリレーションシップをしっかりとれるような手法、チャネルを増やしていきたいと思い、インターネットを活用したモデルを取り入れたことが、2つ目の大きな転換期です。
 
最後は、人が辞めなくなったことです。
ベンチャーはどうしても人が無理をしてしまうことがあります。それは労働時間だけではなく、一人に与える負荷が非常に大きいためです。そこについていけず辞める人も、過去には多くいました。しかし、負荷を軽くしつつも生産性は上がる仕組みを作れば、人が辞めるリスクは減ります。仕事が楽しくなりますし、もっとやりたいという意識に変わっていきます。そう変えてくれたのは、インターネットのチャネルを導入したことです。これが、我々の3つ目の大きな転換点です。人が残ると知識が溜まります。能力を掛け合わせて、可能性が無限大になっていくのです。

メディアを作ったことで、事業が軌道に乗った

「コピー機ドットコム」というメディアを作りました。それを見た方々から、合見積もりをしたいという声がかかる仕組みでした。それまではテレアポと飛び込み営業が中心でした。テレマーケティングは、需要があるかないかをフィルタリングしているのです。また、飛び込み営業は本当に非効率です。欲しい人たちに提供するのが、ユーザーにとっても満足度が高い上に、営業マンにとってもストレス負荷が低いのです。人が来れば来るだけ契約に至る可能性があるのです。
 
しかし、その当時コピー機は業務用ですから、70万円や100万円、高いものでは200万円という製品があります。それをインターネットでワンクリックで買うかと言ったら、買わないのです。それはもちろん分かっていました。しかし、ニュートラルに物を購買するためには、比較を絶対にするはずです。比較対象との相見積もりが必要になってくるので、我々のメディアは絶対に上手くいく、問い合わせはくると確信していました。
実際、問い合わせが少しずつ入り始めて、契約獲得も少しずつ伸び始めていきました。「これはいける」と思い、電話加入権ドットコムなど、様々な通信系のメディアを作っていきます。
 
今、ビジョングループ全体で約70%のオーダーや問い合わせが、インターネットからの流入です。欲しい人たち、興味がある人たちに来てもらえるということは、その期待に応えなくてはいけません。

ボーダレスWiFiの世界ブランドへ

2010年から、ポケットWiFi自体を国内でもレンタルしています。スポット、マンスリー、ワンイヤーなど、いろいろな形で契約できる形態を作っています。2012年2月に、それの世界版ができないかと考え、日本から世界に行く人たち、そして世界から日本にインバウンドしている方々に向けて、「グローバルWiFi®」というサービスを提供しています。
 
それに加えて、他の国から他の国に行く方々が世界で約12億人おり、これは年々増え続けています。どんどん国境はボーダレス化されているので、我々は日本から世界だけではなく、世界から世界に行く人たちにも世界ブランドになるように、今年も世界展開を積極的にしたいと思っています。
 
日本発のインターネットサービスで、世界で使われているものはなかなかありません。我々はその壁を突破すべく挑戦しています。国を越えたときに、情報をどうやって取得するかで皆さん困っている現実があります。海外に行き、もっと楽しいことができるはずなのに、情報がないがために動く範囲が狭くなってしまう、行けるところが限られてしまうということを無くしたいと考えています。
 
そのために、メディアのサービスを続々と皆さんに出していき、皆さんが海外でもアクティブに動ける、自分の国にいるときと同じように動けるものを提供していきたい。これが我々がこれから目指していくところです。

スタートアップが日本の未来を決める

我々はCVC(コーポレートベンチャーキャピタル) の機能も持っています。我々と事業シナジーがある会社であれば、ベンチャーキャピタルという立場で、アライアンスを結ぶことや出資をするなどの選択肢があります。
既に数社行った実績がありますし、我々には巨大な顧客プラットフォームがあります。このプラットフォームを生かして、我々のお客様にも満足いくものであれば、ぜひ組みたいと思っています。
日本のベンチャー・スタートアップの方々が、今後どれだけ成長をしていくのかが、日本の未来を決めていくと思っています。
 
大企業が今から従業員を倍にするのは不可能です。しかし、スタートアップなら、5人が10人、10人が30人になる変化は起こりえます。それに伴って、雇用も大いに生み出され、ベンチャーで働く人も増えていきます。ベンチャーで働く人が増えれば、自分も起業したいと思う人が増え、良いスパイラルができると思ってます。
ぜひ起業するというシーンがあれば、お声がけいただきたいと思っています。

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