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ファイブフォース分析は役に立つ?ポーターが作った業界分析フレームワークを学ぼう

ポーターが提唱した業界分析フレームワーク「ファイブフォース分析」

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出典:sharedvalue.org

経営学やビジネスに興味のある人なら、マイケル・ポーターを知っている人も多いでしょう。彼は多くの理論を編み出しました。彼が編み出したフレームークの中の1つ、業界分析を目的とした「ファイブフォース分析」を知っていますか?

 

業界、産業の構造を簡潔に表現するのは簡単なことではありません。それを助けてくれるのが「ファイブフォース分析」というフレームワークです。しかし、長い歴史をもつファイブフォース分析ですが、現代のビジネス環境には適していないという意見もあります。

 

今回はファイブフォース分析がどのようなフレームワークなのか、どのような弱点があるのか、そしてその活用法を考えていきます。

 

ファイブフォース分析とは

2017-06-05

ファイブフォース分析は、5つの競争要因(脅威)を分析することで、その業界の収益性、魅力度を考えるフレームワークです。5つの競争要因とは、「業界内の競合」「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」「新規参入者」「代替品」の5つを指します。

 

ファイブフォース分析の目的は、まずその業界の競争構造・収益構造を知り、自社の競争優位を保つためにはどのような脅威に備えなければならないかを知ることです。

 

この性質上、ファイブフォース分析は「防衛」の戦略に使いやすいものとなっていますが、その業界構造を知ることで「攻撃」の戦略にも使うことができます。

 

5つの競争要因

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出典:pakutaso.com

では、ファイブフォース分析の5つの競争要因それぞれの意味と例を見ていきましょう。まず、この5つの競争要因は、3つの業界内要因2つの業界外要因に分けることができます。上の図で横に並んでいる3つが業界内要因で、縦の2つが業界外要因となります。

 

業界内の競合

最初に思い浮かぶ脅威はやはり直接の競合企業でしょう。同じような製品・サービスを扱い、同じような顧客セグメントを狙う企業がどれほどいるのか、どれくらい強いのかを考える必要があります。

 

また、どのような競争構造を持つのかも重要です。コスト競争が中心なのか、差別化戦略で戦っているのかなどを分析します。

 

売り手の交渉力

売り手、つまりその業界にとってのサプライヤーの交渉力を表すものです。その業界におけるコストに大きな影響を持っています。希少な資源や特許などの要素が売り手の交渉力を高め、売り手の交渉力が高いほど自社のコストも高くなるのです。

 

例えば、マイクロソフトは自社製のOSによる高い交渉力を持っています。逆に、代替が容易でサプライヤーの数が多い場合は売り手の交渉力は下がることになります。

 

買い手の交渉力

買い手、すなわち顧客の交渉力を表しています。買い手が少ない、つまり需要が少なかったり、供給が多かったりする場合に書いての交渉力が高まります。また、スイッチング・コストが低いときにも交渉力が高まることになります。この脅威は自社の売上・収益に影響が出るのです。

 

新規参入者の脅威

現在業界にいない企業が新たに参入してくる可能性もあります。新規参入企業の増加は供給量の増加を意味しますが、それに伴い需要も増えるわけではありません。そのため、既存の企業の売上、収益に影響が出ることになります。

 

新規参入の脅威が発生する可能性は参入障壁の高さによって変わってきます。

 

例えば、先行企業が規模の経済性を発揮している場合では、参入企業はコスト競争で不利になるため、参入する可能性が下がります。または、顧客のスイッチング・コストが高い場合も参入企業にとっては不利な業界ということになります。

 

代替品の脅威

その業界の製品と同じような機能・価値を持つ製品を代替品と呼びます。代替品はその業界の製品の需要に著しい影響を及ぼすことがあるのです。

 

例えば、かつては日々の情報収集の中心であった新聞ですが、インターネットの発達により売り上げが減少してしまっています。この例のように、代替品の脅威は技術革新を契機として現れることが多いです。

 

代替品の脅威を防ぐためには、やはりスイッチング・コストを高める必要があります。機能や利便性、デザインなどの差別化が成功しているほど、代替品の脅威は小さくなります。

 

以上の項目を順番に分析していくのがファイブフォース分析です。

 

ファイブフォース分析の弱点を知る-現代でも使えるの?

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出典:publicdomainq.net

さて、このファイブフォース分析の何が弱点とされているのでしょうか?

 

2つの問題点

1つ目は従来から存在している弱点、「個別の企業が何をすべきかが考えにくい」ことです。ファイブフォース分析はあくまで業界分析に過ぎず、自社の競争戦略の構築に役立ちにくいとされています。

 

もう1つは、産業・業界の存在を前提としているファイブフォース分析は「流動的な現代のビジネス状況に合っていない」というものです。

 

ファイブフォース分析が生まれた時代では、業界というものは現代と比較して固定的なものでした。だからこそ、どの業界が儲かるかということは重要な1つの指標となっていました。

 

一方で、顧客の行動が多様化し、同じニーズに対して複数の業界がアプローチすることも増えた現代の業界構造は流動的なものといえます。この環境の変化がファイブフォース分析の有効性を低減させているのです。

 

問題点の解決

では、もはやファイブフォースは時代遅れの使えないフレームワークなのでしょうか。

 

確かに変化の激しいビジネスの世界でいつまでも有効なフレームワークなんて存在しないのかもしれません。しかし、利用の仕方を工夫すればいくらでも使い道はあるはずです。

 

ファイブフォース分析の目的は「業界の収益・競争構造を知ること」、そしてファイブフォース分析の本質は「ファイブフォース(5つの脅威)に着目すること」です。

 

ファイブフォース分析を利用することで得られるのは自社に降りかかり得る脅威についての情報です。これらの情報が脅威への備えにつながり、自社の堅固な地位を築き上げることになります。

 

また、流動的な環境に対応するためには1種類のファイブフォース分析では足りないかもしません。様々な視点をつかって、自社が複数の業界にまたがっていることを想定しましょう。

 

フレームワークはあくまでツール、そのツールの使い方を考えるのは常に人間なのです。

 

ファイブフォース分析で脅威に備える!

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出典:gahag.net

5つの競争要因(脅威)を分析するファイブフォース分析は、十分に今の時代にも活用できる分析フレームワークです。脅威に備えるのはビジネスの世界では当たり前のことで、脅威に備えるためにはまずどんな脅威があるのか知らなければなりません。

 

ファイブフォース分析だけでは勝てませんが、生き残り戦略の最低条件といえるかもしれません。明日の脅威に備えましょう。

 

 

補論:スタートアップ(事業創造時)のファイブフォース分析

スタートアップ企業や、ビジネスプランづくりにおいてもファイブフォース分析は使えます。スタートアップにとっての5つの脅威はどんなものがあるでしょうか?

 

1.業界内の競合

あなたのプロダクト・サービスの競合となるのは誰でしょうか?おそらくはアイデア創造のときに参考にした企業が中心になると思います。

 

彼らがとっている戦略はあなたの事業の「コスト構造」、「収益の流れ」にも深く関わってくるでしょう。競合企業と戦って勝てる根拠を説明してみてください。

 

2.買い手の交渉力

あなたのビジネスは顧客にどれほどの価値を提供できるでしょうか?

 

設定した顧客セグメントは本当にあなたの製品を購入するのでしょうか。「ペルソナ」を設定して、シミュレーションしてみましょう。

 

3.売り手の交渉力

あなたのビジネスに資源を提供してくれる相手との関係はどのようなものでしょうか?

 

スタートアップにとって、サプライヤーの確保は難しく、自社の交渉力もまだまだ低いでしょう。まずは必要となるサプライヤーの環境を調べ、「キーパートナー」となるような相手を探してみましょう。

 

4.新規参入者の脅威

あなたのビジネスプランはすぐに模倣されませんか?

 

あなたのビジネスプランが優れたものであった場合、他の大手企業が同じモデルで参入してくるかもしれません。もしそうなれば、圧倒的な資源力、チャネル力であっさり敗北してしまう危険性があります。

 

そのような事態を避けるために、どのような参入障壁を構築できるか考えていきましょう。

 

5.代替品の脅威

あなたのビジネスの敵になるのは1で想定した競合だけなのでしょうか?

 

機能や提供価値が類似しているものは競合になる可能性があります。代替品の脅威を想定していなかった場合、予測した売り上げを大幅に下回り、さらにその原因が特定できないという事態が起こります。

 

ここまで5つの脅威について考えてきましたが、ファイブフォース分析は希望も示してくれます。代替品の脅威で逆の視点を使うと、その代替品にとってあなたのビジネスが脅威になることがわかります。当初は想定していなかった市場が見つかるのです。

 

ぜひファイブフォース分析を役立てていきましょう。

株式会社アントレプレナーファクトリー
インターン

Tomoaki Omi

立命館大学経営学部所属。様々なことに興味を持つが、割とすぐに飽きる。最近チームで結果を出すことの嬉しさを知った。

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