今回のインタビューは、株式会社Payke取締役の比嘉良寛さんに、「起業の経緯」「沖縄の起業環境」についてお話を伺いました。
Payke・比嘉良寛取締役:沖縄発ベンチャーが開発、バーコードを使った訪日外国人向けアプリとは【前編】はこちら
【経歴】
沖縄県出身の25歳。琉球大学法文学部経済専攻卒業。同大学卒業後、㈱沖縄銀行入行。沖縄銀行では主に融資業務に従事。Paykeを創業と同時に同社を退職。琉球大学在学時には「沖縄学生ビジネスコンテスト」優勝。2014年11月Paykeにファウンダーとして参画。金融経験を生かしPaykeでは財務担当。

授業で習ったことが、どれだけ社会に通用するか試したくなった

僕と社長は学生の頃から付き合いがありました。
出会ったきっかけは大学の授業でした。スタートアップを育成する講義があり、そこで偶然グループが一緒で意気投合しました。
社長が授業に出られなくなったり、色々ゴタゴタしながら最後は2人でビジネスモデルを作り、プランの発表までこぎつけたということがありましたね。
授業が終わり、僕は一度銀行に就職したのですが、何か悶々としていて。
銀行業務は社会的に凄く意味・価値があると思います。ただ、一方で、スタートアップで色々なアイデアを考え、「ああじゃないか、こうじゃないか」と自分で動くことと比較すると、「ちょっと物足りないな」と感じていたのです。
 
卒業の翌年、お世話になった先生方に挨拶するために大学を訪問しました。「せっかく1期生なんだから、一緒に飲みに行きましょう」という話になり、そこでの会話から「ああ、やはりスタートアップって面白いな」と惹かれましたね。
現社長である古田も同席していて、一緒に「ちょっとこのまま終わるのはもったいないね」という話をしていました。
「今まで授業でやってきたことが、どれくらい社会でも通用するものか」と思い、「ビジネスアイデアを一旦考えてみよう」ということから始めました。
約3ヶ月、沖縄を一緒に回りながら色々な課題を探したり、自分のビジネスアイデアを練りました。そのプロセスの中で、現在のPaykeのベースが出来上がりました。

起業アイデアが生まれた経緯

僕は野球がすごく好きで、学生の頃にイチローがどうしても見に行きたかったので、試合のチケットを取ってそのままアメリカに行きました。
空港についてから、自分が英語がしゃべれないことに気付きました(笑)
空港から出ることもままならず、その場は知り合った日本人に助けてもらってセントラルパークまで行き、何とかホテルまで着きました。
その後、スーパーに行ってみると、商品を見て「この緑色の飲み物ってなんだろう」「ビールが沢山並んでいるけど、どれが美味しいのかよくわからない」と悶々としまして。
僕はただ野球が見たかっただけで、「言葉がしゃべれないと、こんなに不自由な思いをするのか」と痛感しました。今振り返ると、それがずっと心に引っかかっていたと思います。
 
同じ時期に、古田も沖縄で色々やっていて、沖縄県の商材を中国に売り込む事業に取り組もうとしていました。
しかし、泡盛を売り込もうとしてもなかなか理解してもらえず、値段や取引量を確定させたくても、取引が成立しないことが多かったようです。
お互いの不満をぶつけ合い、結局「商品って、ちゃんと伝わらないと価値がないね」という話になりまして。
商品にはすべてバーコードが付いている。読み取れるカメラも付いている。
ということは、2つをうまくつなぎ合わせてスマホでその情報が見れるのであれば、日本に来ている外国人も、日本をもっと楽しんでもらえるのではないかと思ったことがきっかけですね。
 
もっとさかのぼって考えてみると、もともとスーパーでバイトをしていましたことも大きいです。
バーコードの使い勝手はすごく良かったものの、バイト仲間が「外国人が沢山で、超大変なんだよ」と話していたのがずっと引っかかっていたのも事実です。

充実した起業支援環境

このオフィスも那覇市が運営していて、新都心という良い立地なのにすごく格安で借りることができる場所です。
今は沖縄県や沖縄産業振興公社など、そういう支援機関に販路開拓のサポートや、補助金の情報を提供してもらっています。非常に手厚くサポートしてもらっていて、感謝しています。
支援機関との繋がりがきっかけで、先日行われた「九州・山口ベンチャーマーケット」というピッチイベントに沖縄県代表として出場し、優勝することができました。優勝したことで色々なつながりができ、それがまたビジネスに展開しています。

沖縄県が抱える課題を解決することが我々の使命

我々のビジネスの特徴は「課題から始まった」ということです。沖縄県の課題は観光客の増加であり、観光は沖縄県の基幹産業です。地域の課題を見つけ出してビジネスに変えた、ということが周囲に注目してもらえる要因だと思っています。
もともとあった事業や儲かりそうな事業を選択する人も多いと思いますが、我々は違います。
「沖縄県が抱えている課題を我々が解決したい」。そこがマッチングできたのが、大きかったのかなと感じています。

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