CFOは経営陣の一人としての意識をもつ

CFOは経営陣の一人としての意識をもつ


-CFOの役割やベンチャーで求められていることを教えていただけますか?
CFOはファイナンスの部分を司っており、エクイティファイナンスや銀行からの融資もCFOの仕事になります。ベンチャーにおいては資金調達が非常に大事で、3~4ヶ月通して投資家へ説明し、条件が合えば契約書に落として着金まで行います。
CFOの仕事として大事なのは、集めることよりもどう使うかだと思います。(特に、投資家の方々は)1回目の使い方を見ています。お金の使い方にセンスがあるかどうかが大事で、投資効率を見られています。
テレビCMやプロモーションがメルカリでは重要ですが、そういうところに責任をもって資金がきちんと使われているのか、CMのクリエイティブが正しいかなど、お金の使い方をしっかり見ています。
ベンチャーだと人数が少ないので、コーポレート部門全体を見るという感じになります。基本的にはCFOも経営陣の一人なので、管掌部門のみならずどんなところでも自分のバリューで会社の価値を上げられるように出て行き、次のファイナンスがスムーズに進むように準備することが大切です。
-どういう人がCFOに向いていますか?
過去のキャリアも重要ですが、会社は事業を前に進めて大きくしないといけないので、そのために事業にコミットできる人であることが大事だと思っています。資金や人を集めたり、広報活動でブランド価値を高めたりなど、経営陣の一人として会社を経営することが大事だと思います。
それが好きな人は向いていると思います。お金を集めるのは1~2年に1回なので、「それ以外の時間は何をしてるの?」と言われることもありますが、その時に初めて、その人の価値が出てくるのかなと思います。
-ベンチャーのCFOとして成長したと思うことなどありますか?
今も私自身、メルカリのCFOという肩書きがついておらず、自分の持ち場を作らずにやっています。事業にも意見を出したりして、ミクシィの頃にも同じようなことがありました。会社が大きくなればなるほど、CFOとして経験できることも多くなります。
ファイナンスに関して言えば、同じスケジュールで同じことをやっていれば成功するということはなく、状況はいつも異なるので、場数を踏んで経験から養われることが多いです。それが自分のノウハウになり、交渉の際に活かされていると思います。
投資家との関係では、信頼されないと全てが始まらないと思っているので、常に自社のことを気にかけてもらうように情報交換を行っています。交渉ごとは多少言いづらいこともあると思いますが、本音で言い合える人間関係を構築してきたのが、自分の強みだと思っています。

1日1%でも成長するべき!負けず嫌いな経営者は、成功率が高い


-CFOと起業家の関係性について、いろんな起業家に会ってきた中で感じることはありますか?
いろんなタイプの起業家がいると思います。ただ成功している起業家に共通しているのは視座が高いことです。そのベースには、チャレンジしようと本気で思っていることと、素直に他者の声に耳を傾けられることがあると思います。
ベンチャーでよくあるケースとして目標がむやみに高いだけで、周りがそれについて来れず結果が出ないことがあります。そこに相手の意見を聞いたり耳を傾けることで、バランスが良くなることが多いと思っています。経営者として聞き入れるものとそうでないものの選択が大切ですが、頑固さと謙虚さのバランスが極めて重要だと思います。
あとは、日々の勝負にきちんと対応して1日1%でも成長しないといけないと思っている、負けず嫌いな経営者は強いです。成長しないことに怖さを感じている経営者ですね。そういう経営者は成功する可能性が高いと思います。

会社を経営する意識を持ったCFOが必要


-良いCFOを獲得したいと思っている経営者に向けてメッセージをお願いします。
会計士や証券会社などの金融機関出身の人を信頼して採用したのに、うまく行かなかったということをよく聞きます。
原因は会社の事業をあまり好きでなかったり、一緒に信じて走れなかったりするケースが多いので、事業をどこまで愛して理解しているかが重要だと思います。
CFOは経営陣の一人なので会社を牽引できる力が必要だと思います。牽引することで次のファイナンスに繋がることもあるので、事業を一緒に伸ばせる関係性の人を見つけるのが大切です。スキルで選ぶこともありますが、事業の観点からCFOに据えるというのはありだと思っています。
-ベンチャーで働きたいと思っている方へメッセージをお願いします。
やはり経験しないと何事も始まらないと思っています。CFOを目指したい人やベンチャーで働きたい人はまずそういう状況へ飛び込んで場数を踏むことが重要だと思うので、チャレンジしてみてください。
当然、地味なこともたくさんあり不安なこともありますが、会社のことをきちんと理解し、成長することに自分でコミットしようと思えば思うほど、自分がやらないといけないと思う健全な気持ちになります。チャレンジする人が増えることはいいことだと思います。
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