王健林氏は中国一の資産家?
「中国」に対して様々なイメージをお持ちかと思いますが、中国にはビジネスで成功している人物が沢山存在しています。単純に人口が多いという問題ではありません。
中国の不動産大手、シネマコンプレックスなどを手掛ける大連万達(ワンダ)グループの総帥、王健林氏もその一人です。
王健林氏は中国国内で「不動産王」と呼ばれています。胡潤(Hurun)」の2015年10月のレポート「胡潤リッチリスト2015」によると、総資産はなんと2200億元(約4兆円)だそうです。彼は世界の億万長者番付でもトップ10に入ります。
今回は中国で注目を集めている大富豪、王健林氏について紹介します。
王健林氏と息子・思聡氏
出典:www.weibo.com
王健林氏は1954年、四川省に生まれました。共産党幹部でもあった父の下、彼は遼寧省の大連陸軍学院・遼寧大学へ進学します。軍隊でも順調に出世し、大学卒業後は一時政府系の仕事に就きました。その後、起業する道を選びます。
成功した親を持つと子供は苦労するようですが、一代で富を築いた王健林氏にも“お騒がせ息子”がいます。1988年生まれの長男である思聡氏は240億元(約800億円)の資産を保有しています。
中国中の女性に羨望の眼差しを向けられるまさに王子様ですが、微博(中国版ツイッター)で過激な発言を投稿することでも有名です。
アジアの歌姫王菲に対して「可笑しい、無知だ」と言ったり、中国の人気コント俳優趙本山に対して「飛行機を購入してもやっぱり農民」等、批判的な発言を繰り返しています。
2015年10月時点で、1660万ものフォロワーがいます。良くも悪くも中国全土から注目を浴びる王一家です。
王健林氏の起業のきっかけ
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王健林氏は軍隊を退役した理由を「退役せずに(そのまま昇進して)、将軍になることが面白くなかった」からだと語っています。
15歳で軍に入隊した彼は、中朝国境の吉林省の部隊に配属され国境警備の偵察兵として軍歴を歩み始めます。
1978年には20~30人の兵士をたばねる小隊長に昇格。軍務に熱心で、気が利き、頭も良かったため、大連陸軍学院で1年間学んだ後は連陸軍学院でさらに1年間学ぶことができました。
この軍隊仕込みの厳格な考え方は、起業した後の習慣にも大きな影響を及ぼしています。
「毎朝6時には起きて、7時には会社に出勤する」と語っているように、60歳を超えた今でも王健林氏の朝は早く、「社員の遅刻は許さず、身なりもしっかりとさせている」ことをモットーとしています。
事業選定の決め手
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王健林氏に大きな転機が訪れました。
西崗区内の老朽化した国有アパートが払い下げになり、その赤字を補填すれば、アパートの経営権を手にすることができるという情報をいち早く入手したのです。これにチャンスを見出した彼は、軍隊時代の仲間から資金を募り、不動産経営に乗り出します。
1989年には西崗区住宅開発会社の総経理(社長)に就任し、アパートを取り壊して高級マンションを建設しました。会社も“大連万達集団”と改組し、この事業は今も王健林氏のビジネスの中枢を担っています。
さらにビジネスを拡大させ、2002年には吉林省長春市にグループで最初のショッピングモールを建設しました。それ以来、中国全土で109か所の大規模ショッピングモール、69の五つ星ホテルを含む71軒のホテル、計6600のスクリーンを持つ複合型映画館(シネマコンプレックス)、99軒のデパートを完成させるなど、事業を中国全土に展開し、中国経済の発展に貢献してきました。
王健林氏の今後の展望
王健林氏の奮闘は現在もまだ継続中です。2016年1月12日、ロイター通信によると、大連万達集団は、米ハリウッドの映画会社「レジェンダリー・エンターテインメント」を35億ドル(約4000億円)で買収すると発表しました。
また、ロンドンの最高級住宅街にある大邸宅を8000万ポンド(約136億円)で購入したことも報告されています。
ますます勢いに乗る王健林氏と万達グループ
ハリウッド映画会社の買収や、大邸宅の購入はパワフル過ぎる中国マネーに嫌気をさしている欧米諸国からは歓迎されないかもしれません。しかしそのような意見も関係なく、王健林氏の勢いはまだまだ留まるところを知らないようです。