ウーバーの新たな試み
ウーバーというサービスをご存知ですか?
出典:mises.org
ウーバーは専用のアプリを用いてタクシーやハイヤーを呼べる配車サービスの事です。
タクシーのようにわざわざ電話して予約する必要がなく、手軽に利用することが出来ます。
つい先日には、車社会のサンフランシスコにある、共同住宅複合施設「パークマーセド」と、ライドシェアによりCar-Free Living(自動車を持たない生活)を実現する取り組みに関する提携を発表しました。
参考:「共同住宅」が「Uber」と提携:サンフランシスコ - WIRED.jp
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コースによっては迎えに来てくれる車がレクサスやBMWなどの高級車にできる点も人気を博し、アメリカ発でありながら瞬く間にヨーロッパ全域に広がりました。
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今回はそんなウーバーの仕組みや問題点などについて考えた後、業界の未来についても見ていきたいと思います。
ウーバーの利用方法をおさらい
では実際にはどんなサービスなのでしょうか。
利用方法はいたって単純です。
まずはアプリをダウンロードし、その中でクレジットカード番号を登録します。
それが完了すれば、タクシーが必要な時にアプリで地図をタップすることで近くにいる契約ドライバーが駆けつけて目的地まで連れて行ってくれます。
降車後にはアプリ上で乗り心地やサービスの評価ができ、次に利用する時はその評価を元に運転手を選ぶことも可能です。
ドライバーが何分で迎えに来れるかもアプリ上に出てくるので、長い間待つことがなくなります。
事前にメールで行き先を送っておくことで、車に乗ってから目的地を告げる手間も省けます。
さらに支払いはアプリ内で済んでいるので、現金なども必要ないのが特徴です。
また、母国の言葉を使ってアプリ内で予約ができるので、言葉が通じなくても行き先まで連れて行ってもらえることから旅行者にも人気です。
ウーバーが起こした問題点
このウーバーの急激な広がりに待ったをかけたのがタクシー業界です。
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その理由はいたってシンプルで、今までタクシーを利用していた人たちが、ウーバーに流れていったからです。
タクシー業界はウーバーがタクシーと同じ業種であるのに、タクシーの営業許可を取っていないことに対して激しく反発しました。
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しかし、その手軽さから利用客は増える一方で、それに怒ったタクシーの運転手たちはパリやロンドン、ベルリンなどの主要都市でタクシーを路上に集合させて、交通をストップし抗議をしました。
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しかし、その便利さゆえにタクシードライバーの意に反して、ウーバーの勢いは止まりません。
自動車メーカーの反応
さて、次は自動車メーカーの反応を見てみましょう。
自動車メーカーとしては「自動車を買ってほしい」と思っているのは言わずもがなです。
ライドシェアが普及すれば、自動車の販売台数は減ることは容易に予想できます。メーカーとしては「できれば普及して欲しくない」というのが本音でしょう。
しかし、シェアリングエコノミーの成長に手をこまねいてはいられません。
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トヨタは、子会社のトヨタフィナンシャルサービス(TFS)を通じて、Uberドライバー向けに車両のリースを開始すると発表しました。
このビジネスモデルは、ドライバーとトヨタ双方にメリットをもたらします。ドライバーは高品質な車両を少ない出費で手に入れることができる一方で、トヨタとしても、ドライバーの売上金の一部をリース料として回収できるのです。
事実、トヨタ車は世界のUber営業車でも最も多く使われているブランドの1つであり、あらゆるユーザーが乗車するUberでトヨタ車の存在感を高めることは、トヨタの認知度やブランド価値の向上に大きく貢献する可能性を秘めています。
出典:mindthismagazine.com
また、ゼネラル・モーターズ(GM)は、Uberの競合サービス・リフト(Lyft)のドライバーに、実質無料で車両をレンタルする取り組みを行っています。
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これらの事実から見て、自動車メーカーは自動車を"保有"する時代から"共有"する時代への変化に対応すべく動き出していることが伺えます。
ウーバーと業界の未来
ウーバーは今後ますます拡大していき、アジアなどでも一般化するでしょう。
また、各自動車メーカーは、将来的にUber営業車への自動運転車の導入を目論んでいます。
事実、先述のトヨタやGMの取り組みに関しても、「自動運転車の導入に向けた土台づくり」という意味があることをメーカー自ら発表しています。
一説には60兆円規模とも言われる自動車業界のあり方が変化することは、世界の経済・雇用・文化に大きな変動をもたらすことは間違いありません。
それほどに、ウーバーを始めとするシェアリングビジネスがもたらす影響力は莫大なものとなりつつあります。
今後の動向に注目です。