日本最初のホテル予約サイトは意外にも造船会社の子会社が運営

同じホテルの同じタイプの部屋に泊まっても、他の宿泊客と同じ料金ではありません。つまり、ホテル予約サイトをいかに上手く使いこなすかが、お得な旅行ができるかどうかの分岐点です。
 
現在では数多くのホテル予約サイトが乱立していて、どのサイトを使えば良いのか迷ってしまいます。その中でも、日本で最初にホテル予約サイトを開設した企業をご存知ですか?
 
黎明期のIT企業などを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は造船会社の関連会社でした。諸説はあるものの1996年に日立造船コンピュータが“ホテルの窓口”を立ち上げたのが、日本発の本格的なホテル予約サイトと言われています。
 
今日ではホテルチェーンも自社のネット予約に力を入れており、ホテル予約サイト業界の競争は激化しています。今回はホテル予約サイトが乱立する中、存在感が増しているトリバゴについてご紹介いたします。

話題のトリバゴのCMに登場する金髪美女

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出典:www.youtube.com
“ネットでホテルを探した事がありますか?”と、金髪の外国人女性が流暢な日本語で問いかけているテレビCMを見た方もいらっしゃるかもしれません。トリバゴのCMです。
 
一瞬吹き替えかと思いますが、この女性はナタリー・エモンズというアメリカ人で、日本語が非常に堪能です。トリバゴはドイツの会社で、この撮影もドイツ人を中心に撮影されたので、エモンズが日本人に受け入れやすい演技をアドバイスしたそうです。

最初の社員採用はスカイプ面接のみ

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出典:www.skype.com
2004年、4人のドイツ人大学生がトリバゴのサービスを思いつき、2005年にトリバゴはスタートアップとして活動を開始します。その直後、1名が会社を去り、ロルフ・シュルウムゲンツ、マルテ・シーウァート、ピーター・ヴィネマイヤーの3名で会社を運営しています。
 
シュルウムゲンツ氏は過去にIT系企業を立ち上げた経験から、ウェブサイト上のコンテンツを管理することが、いかにコストがかかるかを実感していました。その経験からトリバゴでは、ユーザーにコンテンツ管理をしてもらおうと考えます。それが現在のトリバゴのコンテンツに辿り着く最初のアイデアでした。
 
初期のトリバゴは、いかにもスタートアップらしい逸話を残しています。創業者3人が最初に雇用した社員は、スカイプを使用して面接を行い、ドイツから遠く離れたイタリア、スペイン、カナダ在住の人たちでした。
 
大手企業になった現在でもトリバゴ社員の90%は海外でリクルートされた社員で、デュッセルドルフ本社はグローバルオペレーションを取り仕切る機能に特化しています。
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出典:company.trivago.jp
2007年には現在のサービスであるホテル料金の比較サービスを本格的に開始し、会社は急成長します。このサービスは2008年から収益を毎年倍にする原動力となります。
 
この急成長に目を付けたのが、ホテル予約サイト大手のエクスペディアです。2012年、エクスペディアはトリバゴの61%の株式を買収します。買収額4.77億ユーロ(約570億円)は、ドイツのスタートアップでは最大級のバイアウトであるとメディアは報じました。
 
トリバゴが他のスタートアップと違う点は、創業者3人が残りの株式39%を保有し続け、現在でも会社経営を行っている点です。

欧州以外の地域に重点投資

欧州が主戦場であったトリバゴでしたが、エクスペディアの知名度や資金力を活用し、アジア・太平洋を含む全世界での活動に力を入れます。
 
2015年にはエクスペディアの方針もあり、エクスペディアを上回るテレビCMを投入します。この方針が、前述した金髪の女性が流暢な日本語でトリバゴを説明するテレビCMに繋がります。
 
比較サイトの重要性を再認識したエクスペディアが、「トリップアドバイザーなどとの競争にトリバゴが対抗出来るように」と重点投資をした結果でした。
 
2015年、欧州以外での売上が前年比69%伸び、トリバゴはしっかりと結果を出します。国・地域別に55つのウェブサイトを保有するトリバゴの今後の発展に注目です。

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