ポスドク問題-優秀な人材の飼い殺し-
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ポスドク問題とは何か、知っていますか?
ポスドクというのはポストドクター、博士課程修了後、大学や研究機関で期限付きの研究に従事している人々のことをいいます。
この期限付きの仕事は、いつ無職になるかもわからず、非常に不安定です。
正式な研究職や就職先を見つけられる人も少ないようです。
現在、日本には1万6000人のポスドクがいると言われています。
彼らは、多くのお金と時間をかけて育てられた優秀な未来の研究者たちです。日本のポスドクのためのキャリアパスの不整備は、多く優秀な人材の飼い殺しに繫がっているのです。
今回紹介する株式会社POLの「LabBase」はこのポスドク問題の解決の糸口になるかもしれません。
LabBase、理系学生をダイレクトリクルーティング
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LabBaseは東大生の加茂倫明氏が設立した株式会社POLによって運営されるデータベースです。
このデータベースを利用することで、大学の研究室で行われている研究を幅広く知ることができます。
そこから、学生のダイレクトリクルーティングや共同研究の提案に発展させることも可能です。
2017年4月時点では、東大生などを中心に700人以上の学生が登録されています。
このサービスの背景には理系学生の就活の困難さがありました。
理系の学生の多くは、長時間研究室に拘束されます。
研究室によっては、月曜から土曜の朝10時から終電まで拘束されることもあるそうです。
さらには、インターンを禁止している教授までいます。
この理系学生の就活の困難さ、ひいては、採用市場における理系学生の供給の低さに目をつけたのが「LabBase」です。
彼らは、企業に理系学生採用の新たな窓口を創ろうとしているのです。
さらに、LabBaseは新たな展開も考えています。その対象こそがポスドクなのです。
彼らは、ポスドクのスキルや実績の可視化し、企業からの採用窓口を拡大しようと考えています。
博士の企業における有用性
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しかし、博士人材は企業にとって本当に有用なのでしょうか?
学問の世界では優秀かもしれないが、企業の中でも同じように優秀なのかという疑問はあると思います。
博士という地位にいることのプライド、専門的過ぎて話がわからない、常識に欠ける、頭が固い、などなど。
博士に対するネガティブなイメージはさまざまです。
実際には、多くの博士人材が優秀であると判断されています。
文部科学省が博士を採用した企業に対して行った調査では、採用後の博士の印象について
「期待通り」「期待を上回った」という回答の割合が高いことがわかりました。
博士人材にはその経験に基づく強みがあるということです。
研究生活の中で、仮説設定と検証を繰り返しながら自身の研究成果を論文にまとめるという成功体験を持っています。
つまりは「知識を生み出すプロセス」を獲得しているのです。
これは博士課程以外の人物では体験しにくいものです。
専門性を得られる知的理解力、論理思考や事象の体系化の能力にも優れています。
また、研究者は海外の研究者・論文などとかかわる機会が多いため、国際感覚、語学力の優れた人も多いです。
このように、博士人材は企業のイノベーション、グローバル化の促進に役立つ人材であるのです。
LabBaseでまだ見ぬ人財を発掘しよう
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優秀な人財は簡単には見つかりません。
その人財が大量に埋まっているのが「日本のポスドク問題」です。
近年、政府による卓越研究員制度も始まり、いくつかの企業では「ポスドク枠」が設けられています。
埋もれた人財獲得の流れに乗り遅れてはいけません。
ポスドクや学生研究者の情報を積極的に集めていきましょう。