楽天の三木谷社長が代表を務める新経済連盟のイベント新経済サミット。
今回は、2014年のサミットで ゲストスピーカーとして招かれた1人、エナジーソフトウェア企業であるOPOWERの創業者、Alex Lusky氏についてご紹介します。
フォーブス40にランクイン、オバマ大統領も視察にくるほどの「エナジーソフトウェア企業」を作り上げたLusky氏。
エナジートラッキング(公共料金の 利用状況を記録、分析する) を行うOpower社とはどんな会社で、Luskey氏はどのようなきっかけで起業したのでしょうか、以下で説明していきます。
Win-Winを創るユニークなサービス
OPOWER社は、一般家庭に送られるガス、電気、水道などの公共料金に使用状況を分析したデータを添付し節約を促すためのソフトウェアを提供しています。
節エネを促す目的は、顧客である一般家庭の出費を抑え家計を助けることだけでなく、地球環境の側面からもグリーン化を促せます。しかし、一番の恩恵は、消費者でも地球でもなく顧客であるエネルギー会社そのものです。
増え続ける需要に追いつくのは供給を増やすしかありませんが、そのためには桁違いの巨額設備投資を必要とします。消費者に節約してもらう方が企業にとってもメリットが大きいのです。
様々な経歴を持つエリートキャリア
Co-founderであり社長を務めるLaskey氏はハーバード大学卒。OPOWER(創業時はPositie Energy Inc。2011年に社名変更)を創業する前は、環境問題に取り組むコンサルタントとして活躍していました。
コンサルタントの前はカリフォルニア州などで大物政治家の政治運動のマネジメント、戦略立案を担当していました。
大学卒業後、映画プロデューサーとして賞を受賞するというユニークな経歴も持っています。その経験を生かし、広告代理店で営業企画ディレクターを務めるなど、エリートながらも様々な分野で活躍していたようです。
アイディアと心理学を組み合わせ見事に差別化を図る
Luskey氏のOPOWERの起業のきっかけは、あるアイディアからでした。
「所有する車の燃費については我々はよくわかっている。
家庭で使用するエネルギーの効率もわかるよう方法があれば面白いと思った」(blog.ted.com抜粋)
というように、家庭で使用する光熱費のデータ管理ビジネスに早くも着目していました。
しかし、それはあくまでも節約を促す「一般的な」アイディアにすぎず、すでに何社もある同業他社 との差別化を図るようなものではありませんでした。
しかし、あるきっかけから Behavioral Science(行動科学)に出会い、強い可能性を見出したことから友人とPositive Energy社を2007年に立ち上げます。
「電気やガスなどの光熱費をデータにする企業は他にもありますが、OPOWERのユニークなところは、顧客の心理に基づき、提供されたデータを効果的な方法で節約の動機づけをしている点です。
具体的には、人はただ「これをしなさい」と言われても、なかなか行動を起こしません。しかし「他の人はあなたよりもこれだけできている」と言われることで、 驚くほど行動するのです。
例えば「あなたは今月○○kwの電気を消費しました」という代わりに「あなたの家庭は、近隣の家庭と比べ、20%も多く消費しています」というような形でコメントを付けることで、消費者の目を引き実際に節約行動へとつなげていきます。
そしてこのアイディアが大きな成果をあげています。
まとめ
素晴らしい着目点と優秀な経営陣・スタッフを持ち、OPOWER社は現在90社を超える公共エネルギーを提供する企業と契約しています。
15年度の売上見通しは1180万ドルを超え、毎年50%超える成長率を維持する超成長企業です。
既存のサービスでも着目点一つで差別化が可能です。OPOWER社を良い例としてぜひ参考にしてください。