ベンチャーキャピタルが出資したくなる会社とは?
将来有望なスタートアップには自然と資金が集まってきます。ベンチャーキャピタルの目利き達が自分達のネットワークを駆使して、大きなリターンが期待できるスタートアップを日々探しています。
もちろん、ベンチャーキャピタルが目をつけたスタートアップの全てが成功する訳ではありません。しかし、ベンチャーキャピタル業界が大きくなっている現状を見ると、彼らの投資は成功していると言えるでしょう。
出典:googmediagroup.com
魅力的なスタートアップは、彼らが必要とする以上の資金提供の話がさまざまなベンチャーキャピタルからオファーされます。ですが、そうでないスタートアップには資金はなかなか提供されません。
そんな優勝劣敗の世界で、望む以上のオファーを受けている企業の1つがGitHub社です。
そこで今回は、同社が手がける「GitHub」というソフトウェア開発プロジェクトのための共有ウェブサービスの魅力に迫ります。
Githubとは?
出典:github.com
GitHubを語るには、まずは「Git」を理解する必要があります。Gitとはプログラムのソースコードなどの変更履歴を記録・追跡するための分散型のバージョン管理システムです。
もともとは、Linuxというオペレーティングシステムのソースコードを効果的に管理するために開発されたものです。
とは言っても少し難しいので、簡単に言い換えてみると、PCファイルの状態を更新履歴として残しておく機能です。編集後のファイルを過去の状態に戻したり、編集箇所を表示したりすることが出来ます。
特にプログラミングの世界で威力を発揮するGitですが、この可能性を更に広げたのが「GitHub」なのです。GitHubはその名前の通り”Gitのハブ”です。
GitHubでは、ファイルやコードをウェブ上で共有し、開発を進める機能がメインです。またプログラマーのソーシャルネットワーキングの場としても活用することができるのです。
4人の開発者がサイドビジネスとしてスタート
出典:www.mocchiblog.com
2008年、サンフランシスコでGitHub社は設立されました。現在のCEO Chris Wanstrath氏やScott Chacon氏ら4人の開発者によってスタートします。
自分達が欲しいツールを作る目的で集まった4人でしたが、当初はそれぞれが本職を持っており、GitHubはサイドビジネスの位置づけでした。
GitHubが誕生した後、様々な企業からGitHubを使いたいとの要請があり、4人は勤務していた会社を辞めてGitHub社に専念することになりました。
スタートアップとして出発した同社でしたが、自由度の高いサービスを目指し、自己資金での運営を選択します。
GitHubは瞬く間に普及し、会社も拡大。社員数が150名を超えた2012年には、初めて大型の資金調達を行いました。
シリコンバレーを代表するベンチャーキャピタルのAndreessen Horowitzから1億米ドル(約115億円)の出資を受けました。
Scott Chacon氏はこの時を振り返って、”当時欲しかったのは資金ではなく、投資家の経験だった”とコメントしています。このコメントを見ても、GitHubの製品としての自信と余裕を感じます。
文系が立ち上げた日本支社
Githubのユーザーは、米国についで日本が2番目に多いと言われています。これを受けてGitHub社は、海外初の支社を2015年に日本に構えました。
日本支社の役割は、GitHub導入企業へのサポートやオープンソースコミュニティー活動の参加等です。
出典:careerhack.en-japan.com
日本支社立ち上げ時に活躍したのが、堀江大輔氏です。その堀江氏、一見変わった経歴を持っているのです。
GitHubのユーザーはプログラマーが多くを占めますが、堀江氏は文系出身者。大学卒業後、AmzonやYahoo Japan等で勤務した堀江氏が本格的にプログラミングを始めたのは37歳の時でした。
プログラミングを習得した堀江氏は、テクニカルサポート職として2014年にGitHub社へ入社します。その当時、日本国内のユーザーが急激に増えているにも関わらず、サポートは英語のみでした。
社内で日本支社立ち上げの構想が上がり、堀江氏に白羽の矢が立ったのです。
堀江氏らの奮闘により日本支社が無事設立され、日本国内ユーザーの利便性は格段に上がりました。しかし、堀江氏は日本支社運営が軌道に乗った後は、テクニカルサポートに戻るつもりのようです。
最後に
スタートアップとしては理想的な発展を続けるGitHub社ですが、その秘密は共同創業者のScott Chacon氏のコメントにあるように思えます。
Chacon氏は、「起業時にどのようなサービスを作れば良いか?」と良く聞かれるそうです。そんな時、彼は決まって”他の人よりも、自分がお金を払ってでも欲しいモノを作るべき”だと答えます。
これは、シンプルで当たり前のことのように聞こえますが、なかなか実現することは難しいことです。また、サービスや製品を作る過程で、妥協せずに完成品を作ることも多くの苦労があります。
このシンプルな考えを実現することができるスタートアップこそが、さまざまなベンチャーキャピタルからオファーを受ける企業となるのでしょう。