大企業のイメージが強い韓国経済界

アジアのスタートアップが徐々に注目を集め始めていますが、日本にいると韓国のスタートアップのことはあまり聞こえてこないように思えます。
 
スタートアップ以前に、韓国経済界には有力な中小企業が育たない風土があると言われており、韓国の戦後経済を引っ張ってきたのは有力財閥です。
サムソンや現代のように世界的に名前が知れ渡っている財閥から中規模の財閥まで、韓国の経済の隅々まで財閥系企業が根を下ろしています。
 
逆の言い方をすると、独立系の企業が成長するスペースが相対的に少ないことになります。韓国経済を日本と比較すると、韓国には日本にある有力な中小企業群がない点が、経済全体の力の差になっていると言われています。
このような韓国経済ですが、現在、政府がスタートアップを支援する計画が拡大しています。

スタートアップの為に126億米ドルを予算化

韓国系のスタートアップというと、これまでは韓国系の方々が多く住むアメリカ西海岸と密接な関係があったように思えます。
例えば、ソーシャルコマ―スのCoupang社はシリコンバレーのベンチャーキャピタルから資金調達をしています。マーケティング自動化企業の5 Rocks社は、シリコンバレーのTapjoyに買収されています。
 
一方、韓国国内でも政府に支援体制が整いつつあります。朴政権は、経営主力戦略 “クリエイティブ・エコノミー”を掲げ、スタートアップ支援のために126億米ドルを割り当てました。政府の本気度が伝わってきます。
そんな国内の時流に乗ったスタートアップアクセラレーターの、Future Play社を紹介したいと思います。

CEOは起業経験豊富なJung-hee RYU氏

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出典:home.futureplay.co
今年1月の終わりに韓国のスタートアップアクセラレーターFuture Play社が、30億ウォン(約3億円)の資金調達に成功したというニュースが流れました。
世間の注目が集まったのは、韓国国内の財閥企業や有力企業から出資を得た点です。なんと、LG電子やSK Plantの財閥系企業と有力企業NAVERから出資を受けたのです。
今回の出資は、財閥、有力企業とスタートアップが密接に繋がる役割を担っています。
大企業とスタートアップのシナジー効果を狙って、スタートアップの発掘、投資、買収や研究開発協力を実現させることを目標に、スタートアップアクセラレーターに白羽の矢が立ったのです。
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出典:home.futureplay.co
Future Play社は、Jung-hee RYU氏が設立したスタートアップ支援会社です。”Tech-Centricスタートアップをサポートする”という目標を掲げ、主に技術、IT関連のスタートアップを支援しています。
Jung-hee RYU氏はもともと開発者としてIconlab社を設立し、”Intercode”という携帯電話向け2Dバーコードスキャンシステムを開発しました。それからいくつかの会社を設立したのち、Future Play社を誕生させました。
 
Future Play社は“TechUp Program”という6ヶ月間の教育プログラムで、スタートアップを支援しています。もちろん、資金提供も行っています。
ここからは、そんなFuture Play社が出資している企業を2社ほど紹介致します。

Future Play社の出資先

Keukey

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出典:www.keukey.com
MINCHUL KIM氏が率いるKeukeyは、スマホやPCで誤タイプした文字を簡単に修正できるシステムを開発、販売している会社です。
スマホで誤タイプに気が付いた時、修正箇所まで戻って、入力し直すのは非常にストレスフルです。
Keukeyは、誤タイプに気が付いたその箇所で正しい文字をタイプすれば、誤タイプ箇所を自動判別して修正してくれます。バックスペースで戻る必要が無い優れモノです。
 

Podo社

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出典:www.podolabs.com
Podo社は世界初の Stick & Shoot Camera “podo”を開発した会社です。
2X2X1インチの小型カメラをどこにでも固定でき、非常に便利です。もちろん、ワイヤレスで映像を送ることも可能です。
 
例えば、バスケのゴールの上に設置したり、海で自分がサーフィンをしている姿を自動撮影できたりと、どこにでも持ち運び、固定できる点が多くの人に評価されています。

最後に

アメリカの西海岸では、韓国系のスタートアップを良く見かけます。その一方で、韓国国内ではあまり目立つスタートアップを見聞きする機会はありませんでした。
しかし、Future Play社が出資しているスタートアップを見ると、魅力的な商品を開発する企業が多々あることに驚きます。
サムソンやLGを初め、韓国には世界的に見ても技術力の高い大企業があります。
これから韓国で有力なスタートアップが出てくれば、日本にとっても大きな脅威になることでしょう。

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