高齢者問題が抱える問題とは?
現在の日本の総人口の内、65歳以上の高齢者が占める割合が4分の1、平成47年には3人に1人が高齢者になると言われています。
それに伴い高齢者向けの市場規模は100兆円にも及ぶと予想されています。
この市場に注目し、高齢者向けに訪問美容を行っている企業があります。
今回は「ディチャーム株式会社」がどのような事業を行っているのかについてご紹介したいと思います。
高齢者に訪問美容を 「ディチャーム株式会社」
ビジネスの現場を引退すると、時間とお金はあっても、消費する場が減ってしまいます。年をとればとるほど、機会はなくなっていくでしょう。
あまり外出できなくなった高齢者のニーズをリサーチし、商品やサービスを提供してくれる企業が少ないのです。
ディチャーム株式会社代表取締役の大久保智明氏は「後期高齢者は市場経済から弾かれた存在」と語っています。
高齢者の困っていることを集め、"高齢者のAmazon"になるべく、ディチャームは事業展開しています。
ママさん美容師とのマッチング
訪問美容をするにあたり、美容師が必要となります。
美容師には女性が多いですが、出産にともない働けなくなったり、子供の世話が十分に出来ないという問題を抱えています。
出産が終わっても育児があり、ブランクの期間が長くなればなるほど、職場に戻れなくなってしまうのです。
そこで、登場するのが「ママさん美容師」です。
高齢者に向けた美容は平日の昼間の仕事が多く、無理なく働ける環境が整っています。
また、サービスを受ける側にとっても、年の離れた20代の若い美容師より、年齡の近いママさんの方が話しやすいと大久保氏は考えています。
高齢者に自尊心を
事業を始めた2000年頃に特別養護老人ホームや介護老人保健施設といった施設は、低所得者向けの施設で、サービスが十分ではありませんでした。
例えば髪がボサボサになったり、切れたとしてもボランティアの散髪なので、髪型が整っていなかったり。
外出が困難な高齢者(パッシブシニア)にとって、これまでの当たり前ができなくなってしまうことは、かなりの精神的負担がかかります。
「髪を切る」という行為1つが変わるだけで、自分に対して自信を失ったり、生きる気力も衰えてしまうという悪循環に陥ってしまうのです。
そこで大久保氏が取り組もうと思ったのが訪問美容です。
はじめは有料での訪問美容は受け入れられなかったのですが、有料老人ホームの増加や知人の紹介もあり、次第に事業が好転したそうです。
ディチャームから学ぶべきこと
「シニアのライフラインを担う企業」を目指すディチャーム。
事業としては、訪問美容のケアスタイリスト、シニアにとって必要なものを届けるリテールサービス、
訪問歯科や訪問看護などのメディカルサービスを展開しています。
ディチャームは、シニアのためのプラットフォームになるべく事業を拡大しているのです。
ディチャームの凄いところは「トリプルウィンのビジネスモデル」が築けている点です。
有料老人ホームにとっては、入居者の利用満足度が高まりますし、ママさん美容師にとっても働く場所が与えられています。
高齢化社会が急激に進んでいる日本において、今後の事業成長性は見込めますし、
女性の活躍する場所を増やすことは、周囲からのサポートも得られやすいのではないかと思います。
事業に関わる全ての人にとって、便益があるかどうかしっかり考えることが、重要だと思います。
すでに事業をされている方は、事業のあり方について再考してみたり、
これからビジネスモデルを考える方は、この視点を忘れずにモデルを構築してください。