曖昧な概念、コア・コンピタンスとは?


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コア・コンピタンスという言葉、聞いたことがありますか?経営・ビジネス用語としては比較的有名な言葉であるコア・コンピタンス。その意味を正確に説明できる人はどれぐらいいるのでしょうか。

経営・ビジネス用語の中には曖昧なイメージを持たれがちな言葉が多く存在します。ケイパビリティ、シナジー、KFS、マーケティングなどなど。なんとなく意味は把握しているけど、上手く説明できない、違いが説明できないという人もいるでしょう。

今回はそんな経営用語の1つ、「コア・コンピタンス」について考えていきます。

コア・コンピタンスのよくある定義


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まずはコア・コンピタンスの定義について見てみましょう。コア・コンピタンスはもともと、ゲイリー・ハメルプラハラードがハーバード・ビジネス・レビューに載せた「The Core Competence of the Corporation」の中で登場した言葉です。

ゲイリーとプラハラードは以下の3つの条件を満たす自社能力がコア・コンピタンスであるとしています。

  • 顧客に何らかの利益をもたらす
  • 競合相手に真似されにくい
  • 複数の商品・市場に推進できる

これら3つの条件、すなわち「価値提供」「模倣可能性の低さ」「応用性」を満たす自社能力がコア・コンピタンスということになります。

今回、コア・コンピタンスを考えるにあたって、さらに2つの言葉「ケイパビリティ」と「経営資源」についても見ていきたいと思います。


ケイパビリティとコア・コンピタンスの関係


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ケイパビリティとは、企業が持つ、または得意とする組織的な能力のことです。例としては、サプライチェーン・マネジメントや研究開発能力などがあります。企業はこのケイパビリティを駆使して戦っていくことになるのです。

ここでは、コア・コンピタンスとケイパビリティの間にある関係を考えてみます。

まず、ケイパビリティは自社能力と捉えることができます。そして、コア・コンピタンスは「価値提供」「模倣可能性の低さ」「応用性」の3条件を満たす自社能力であることを先ほど確認しました。

したがって、コア・コンピタンスとは、企業の持つ多くのケイパビリティ(能力)の中で、上記の3条件を満たし、企業の強みとなるケイパビリティのことを指すと考えられます。

コア・コンピタンスとケイパビリティの包含関係がわかったところで、次は比較的なじみのある概念である「経営資源」との関係を見ていきたいと思います。

ケイパビリティと経営資源の関係


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経営資源とは、人的資源(ヒト)、物的資源(モノ)、経済的資源(カネ)、そして情報資源(情報)の4つで構成される、企業が事業活動をしていくうえで使うことになる有形及び無形資源のことを言います。

どのような資源を持っているかによって経営戦略は変わります。どの資源をどの程度どこに投下するのかが企業経営であるともいえるのです。

そんな大事な概念である経営資源ですが、ケイパビリティとの違いはわかるでしょうか?つまりは「資源」と「能力」の区別です。

経営資源はあくまで資源でしかなく、それ自体では新たな価値を生むことはありません。たとえば、莫大な鉱山資源を所有していても、十分な発掘技術がなければ意味がないですよね。

また、経営資源には有形資源・無形資源があります。有形資源には形があり、数値化も容易です。これに対して、無形資源は形の見えにくいものですが、それゆえにケイパビリティ、コア・コンピタンスの源泉になり得るものです。

また、先ほど述べた通り、ケイパビリティは「組織」能力を指すため、個人の能力は無形資源扱いとなります。これら有形・無形の資源を組み合わせて構築されるのがケイパビリティ(能力)です。

企業の価値創造能力はケイパビリティによるものです。したがって、企業の経営活動はケイパビリティの造成・管理、さらにそこからコア・コンピタンスの条件を満たすものを見つけ、鍛え上げる一連の流れと捉えることができます。

「資源」は価値を生み出す材料となるもの、「(組織)能力」は価値を生み出す力となるもの。

以上が資源と能力の区別になります。

コア・コンピタンスの具体例

では具体例を見てみましょう。

富士フィルム-マイクロレベルの生産能力-
富士フィルムは主にカメラフィルムを取り扱っていた企業でしたが、デジタルカメラの発達により売上が減少していました。しかし、富士フィルムは薄さ20マイクロメートルのフィルムに100種類もの薬品を入れるという作業をこなすうちに、「マイクロレベルでの生産能力」というケイパビリティを得ました。

富士フィルムは、この生産能力を医療に応用し、業界をシフトしました。見事にコア・コンピタンスを見出したのです。

トヨタ-LEXUSの検査技術-
トヨタのLEXUSには官能検査と呼ばれる、人の五感に頼った検査ノウハウがあります。ミリ単位の段差、蛍光灯の光に対する反射の快・不快、ドアを開閉したときに響く音の感触。これらの機械では判断できない、要素を人の力で判断するノウハウを組織的に所有しています。

この結果として、あの高級車LEXUSが安定して供給されているのです。

コア・コンピタンスとは結局何なのか


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コア・コンピタンスについてまとめましょう。まず、コア・コンピタンスには3つの条件「価値提供」、「模倣可能性の低さ」「応用性」があります。この3つの条件を満たしたケイパビリティがコア・コンピタンスです。

ケイパビリティは企業の持つ組織能力のことで、経営資源を組み合わせることでつくられます。経営資源は、原材料や財務資源だけでなく、人の能力・アイデア、ブランド・エクイティなども含みます。

つまり、コア・コンピタンスは経営資源から始まり、ケイパビリティを経て、至るものなのです。

ここから、コア・コンピタンスを得るための方法がいくつか考えられます。

「見出す」

1つは、既存のケイパビリティの中から、3条件、または2条件を満たすものを「見出す」方法です。2条件を満たしているものも潜在的にコア・コンピタンスとなり得る可能性を秘めています。

この方法は、実はすでにその組織に潜んでいたコア・コンピタンスの認識ということになります。認識することで活用できるようになるのです。一般的にはこの1つ目の方法によるコア・コンピタンスの発見が多いと思います。

「創り出す」

2つ目は、今持っている経営資源の組み合わせで3条件を満たすケイパビリティを「創り出す」ことです。SWOT分析などが有効でしょう。この方法によるコア・コンピタンスの創造ができることは、企業の成長可能性の強化につながります。

「獲得(予測)する」

3つ目は、3条件を満たすようなケイパビリティの元になる経営資源を「獲得しにいく」ことです。上の2つに比べ、いくらか強引な方法にも思えますが、ビジネスの世界では当然で重要な戦略です。

とはいっても、石油などの既存のわかりやすい重要資源にはすでに手がついています。そのため、3つ目の方法はむしろ、次の時代に重要になる資源を予測し、確保しに行く戦略と捉えることができます。

どんなスキルを持った人、どんな技術、どんな企業文化が有効なのか。これらのことを考え続けた結果、生まれるコア・コンピタンスです。

1~3の方法で、1はすでに力のある大企業向け、3は次世代を支えるベンチャー向けの戦略です。もちろん、逆の場合もありえます。コア・コンピタンスは企業の強み、競争優位の源泉です。

今回は曖昧な概念、コア・コンピタンスの構造について考えてみました。
お役に立てたでしょうか?


コア・コンピタンスを育てよう

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出典:gahag.net
コア・コンピタンスは競争優位の源泉、すなわち企業の戦略の要となるものです。企業が成長する攻めの戦略には不可欠で、さらには他の業界に逃げる戦略にも使うことができます。

ぜひあなたの組織のコア・コンピタンスを見つけ出しましょう。

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