背中で部下を鼓舞する、ペースセッター型リーダーシップ

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前回はリーダーとしては異質にも思える「サーバント・リーダーシップ」について学習しました。リーダーのイメージとはかけ離れた、奉仕の精神を持つリーダー像でしたね。
 
リーダー」と言われたとき、最も思い浮かぶイメージはどのようなものでしょうか?
 
時代が進むにつれて、さまざまなリーダーの在り方が現れてきましたが、私がイメージするのは、自らの背中で部下を鼓舞し、引っ張っていくリーダーです。サーバント・リーダーシップとは打って変わって典型的なリーダーの姿の1つだと思います。
 
今回紹介するのは自ら高いパフォーマンスをみせる「ペースセッター型リーダーシップ」です。
 

ペースセッター型リーダーシップとは?

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出典:gahag.net
ペースセッター型リーダーシップはEQで有名なダニエル・ゴールマンが示した6つのリーダーのスタイルの1つです。その特徴は、高い目標設定と自ら率先してパフォーマンスを発揮することです。
 
難しい目標を提示し、まずリーダー自身がハイ・パフォーマンスで部下の見本となり、彼らのモチベーションを上げる、というのがペースセッター型リーダーシップの作る流れとなります。結果として、チーム全体の業績向上につながります。
 
成功すれば格段に高い業績を上げてくれるのが、ペースセッター型リーダーシップです。しかしながら、ペースセッター型リーダーシップはリスクも伴います。
 
強者たるリーダーによってチーム全体の能力を向上させていくペースセッター型リーダーシップは、古くから存在していたリーダー像の1つですが、すべての状況に適応できるようなスタイルではありません。
 
というわけで、次はペースセッター型リーダーシップのメリット・デメリットを見ていきましょう。
 

ペースセッター型リーダーシップのメリット・デメリット

メリット

ペースセッター型リーダーシップの主なメリットは、リーダー自身が見本をみせることで、口で言うよりも効率よくメンバーを奮起させることができることです。結果的に、チーム全体のパフォーマンスが向上し、業績向上へと繋がります。
 
また、リーダー自身が高いパフォーマンスを見せているので、メンバーの尊敬が集まりやすいです。尊敬できるリーダーの下で働くことは、それ自体がモチベーションとなります。
 
優秀であるが、くすぶっている社員がいる場合にはぜひ活用していきましょう。
 

デメリット

一方で、ペースセッター型リーダーシップには、リーダーと部下の能力差による軋轢を生んでしまうという危険性があります。リーダーの高いパフォーマンスが、逆にメンバーを苦しめてしまう場合です。
 
リーダーがあまりに無謀な目標ばかりを部下に提示していれば、待っているのはチームの崩壊です。以上の様に、ペースセッター型リーダーシップは、状況によって大きなメリット・デメリットを持っているリーダーシップの種類となっています。
 

ペースセッター型リーダーシップは使えるのか?

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「ペースセッター型リーダーシッが使えるのはすでに優秀な社員がいるときのみ」
「さらには、自分自身の高い能力が必要」
「使いにくいリーダーシップだな…」
 
そんな考えも浮かんできてしまいます。
 
ここで、「ペースセッター」の意味を考えてみましょう。
 

ペースセッター(ペースランナー)とは?

ペースセッターはもともと、マラソン大会などで、出場者がタイムの目安とできるように配属されているランナーを指して使われる言葉です。「このランナーについていけば、4時間で完走できる」などということを可能にする存在ですね。
 
ペースセッターには、それぞれに設定されたタイムをクリアするための高度なペース配分能力が求められます。また、大規模なマラソン大会だと、あまりの人の多さに上手く走れないこともあるでしょうが、そのような状況でもペースは守らなければなりません。
 
また、給水所などでは、参加ランナーが十分に給水できるように配慮する必要もあります。高いパフォーマンス能力と、他者への配慮を持った人のみが、ペースセッターとしてランナーたちの活躍を支えることができるのです。
 

ビジネスにおけるペースセッター

さて、ペースセッター型リーダーシップの話に戻りましょう。
 
ペースセッター型リーダーシップもマラソン大会におけるペースセッターと同じなのです。その目標は「部下(参加ランナー)の成功を助けること」です。
 
そのためには、高いパフォーマンスのみに頼って部下をついてこさせるのではなく、時には、部下の能力・性格に配慮した目標設定を提示することが大切になってきます。
 
部下の能力をよく考えることが、ペースセッター型リーダーシップの肝要であり、ペースセッター型リーダーシップが様々な状況・チームで有効に使われるために欠かせないことなのです。
 
しかしながら、リーダーのポジションもペースセッター型リーダーシップの活用に関わってきます。ペースセッター型のリーダーは「司令官」というよりは「現場指揮官」よりのリーダーです。
 
例えば、CEOがバリバリのペースセッター型リーダーシップを発揮するのはあまり好ましくないでしょう。ペースセッターはメンバーと同じ視点でパフォーマンスを発揮するのに対して、CEOの役割はより高い視点から全社的な意思決定を行う事だからです。
 
一方で、プロジェクトマネージャーなどにはペースセッター型リーダーシップを発揮してもらいたいですね。プロジェクトチームに勢いが出てくるはずです。
 
起業家の場合は、創業時はペースセッター型リーダーで、組織が大きくなっていくにつれて他のリーダーシップに切り替えていくというのが理想的な流れでしょう。その過程で、他の人にペースセッター型リーダーシップを受け継ぐことができれば文句なしです。
 

背中で引っ張るリーダーも必要

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様々なリスクも伴うペースセッター型リーダーシップですが、やはり時には背中で引っ張っていってくれるリーダーもいてほしいと思います。特に、状況が停滞していたり、チーム全体の雰囲気が落ちこんでいたりしている時などには救世主にもなり得るリーダーの形です。
 
状況次第では、絶大な効果を発揮するペースセッター型リーダーシップ、是非身につけてみてください。
 
【リーダーシップ・シリーズ】
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