「会話」があるから面白い。
「会話」というものは、人間の重要なコミュニケーション手段のひとつです。
会話はスポーツにおいても重要ですが、スキーやスノーボードなど、スポーツの特性上それが実行できないことも少なくありません。
そのため、仲間に興奮をすぐに伝えられないなどの不満によってスポーツを心から楽しめないことがあります。
こういった問題を解決するのが、株式会社BONXが開発したウェアラブルトランシーバー「BONX」です。
このトランシーバーは専用のアプリでBluetooth接続し、BONXの独自サーバーを通して、競技中も仲間と楽しくコミュニケーションを図ることができます。
「BONX」を使えば、「今の俺のプレイ見た⁉︎」「それどうやってやるの?」をリアルタイムで行うことができるわけです。
そこで今回はBONXの誕生秘話を取り上げ、イノベーションの本質とは何なのかを考えてみます。
ウェアラブルトランシーバー「BONX」
スポーツイヤホンにも見えるこのウェアラブルトランシーバー「BONX」。2015年末にクラウドファンディングを開始し、開始直後に、目標額であった1000万円を大幅に上回る2500万円を集めることに成功しました。多くの人が「BONX」を欲していることが十分わかりますね。
「BONX」をただの連絡手段と捉える人もいると思いますが、実際に使用してみると、今まで自分はこんなにも孤独にスポーツをしてきたのかと驚くそうです。
またスキーやスノーボードなど本来の使用目的以外にも、「サバイバルゲームで使用した」「ドローン操縦で違う地点にいても話せた」等、ユーザーがそれぞれ独自の視点を持つことにより様々な用途が生まれています。
このように多様性を備えた「BONX」は、今後多くのレジャーシーンで使用されることになるでしょう。
CEO宮坂貴大氏の自分の深堀り
出典:http://careerhack.en-japan.com/
「BONX」を手がける株式会社BONXを創業したのが、宮坂貴大氏です。宮坂氏は東大を卒業し、ボストンコンサルティンググループに入社するというエリートですが、ある時GoProに出会います。
GoProは、サーファーだったニック・ウッドマンが、自分が波に乗っている様子を撮影したいという想いから生まれたものです。
根っからのスノーボーダーだった宮坂氏はこのGoPro誕生のストーリーに共感し、自分自身のニーズを深掘りしていくうちに、自分が仲間とスノーボードをした時に仲間とはぐれることが多いと気づきます。宮坂氏は当時のことを、次のように語っています。
それから宮坂氏は、全く専門知識がない状態で調査や研究を行い、アイデアを形にしていきます。そしてハッカソンやアイデアソンで多くのプロに自身のアイデアをぶつけてフィードバックを得るということを繰り返していき、CTO楢崎雄太氏(BCG時代の先輩)とともにBONXを設立します。
宮坂氏曰く、次のプロダクトはすでに仕込んである、とのことです。「そう、こんなのが欲しかった!」と言いたくなる、クリエイティブな商品にますます期待がかかりますね。
BONXの事例から考えるイノベーションの本質とは?
BONXはありそうでなかった商品を生み出しましたが、この「ありそうでなかった」ものを作るというのはとても難しいことですよね。
しかし、新しい価値を創造する上で、「ありそうでなかった」という視点を探ることは重要なポイントです。
イノベーションの本質とは、このような「ありそうでなかった」を形にすること、言い換えれば、私たち自身の中にある私たちが気づいていない「潜在的欲求」を見い出し、満たすことなのではないでしょうか。
そして、「潜在的欲求」は実体験、原体験がある人だけが気づけるものです。
自分が歩んできた人生を振り返って、不満や欲求を感じた経験を思い出してみましょう。あなたにしか起こせないイノベーションがあるかもしれません。