ビデオカメラ業界は驚異的なスピードで縮小している
ビデオカメラ業界にとって、スマートフォンに内蔵されている高性能カメラは脅威の存在です。年々、高画質、高性能化するスマートフォン内臓カメラは、ビデオカメラの販売・出荷に大きな影響を与えています。
特にその影響を受けているのがデジタルカメラを含むカメラ市場です。以前より出荷台数は減少傾向にあったカメラ市場ですが、2013年の総出荷台数は前年比36%減と急激な減少を記録します。総出荷台数の大きな落ち込みは2014年も続き、前年比31%の減少となりました(カメラ映像機器工業会-CIPA調べ)。
ネガティブな側面がクローズアップされがちなビデオカメラ業界ですが、今後、伸びる可能性を秘めた商品があります。それはウエラブルカメラです。既にメディア等では頻繁に見かけるようになったウエラブルカメラですが、日常的に使用するまでには至っていないのが現状ではないでしょうか?
そんな中、ウエラブルカメラに画期的な機能を取り付けた製品が話題になっています。ウエラブルカメラをより普及させる可能性を秘めたブリンカムを製造・販売する株式会社ブリンカムをご紹介いたします。
撮影者と同じ視界で写真が撮れる!
出典:www.makuake.com
株式会社ブリンカム社は2015年に設立されました。ウエラブルカメラ・ブリンカムの最大の特徴は、使用者がウインクをするとシャッターが切られ、写真を撮影できる機能があることです。
メガネのフレームにブリンカムを装着して、撮影者が取りたいと思った瞬間にウインクをすることにより、撮影者の視界とほぼ同じ写真が撮れる優れものがブリンカムです。
ブリンカムにはウインク検知センサーという機能が内蔵され、通常の瞬きと意図的に行うウインクを判別する仕組みになっています。
出典:picjumbo.com
ブリンカムを開発した高瀬昇太CEOは、子供の写真を撮る時に、子供にカメラを向けると子供が身構えてしまい、不自然な表情になってしまうことからブリンカムのヒントを得たと言います。
さらに製品にコンセプトを考えた際に、“実際の目で見ている瞬間をそのままの状態で写真に収めたい。瞬きするような感覚で“というところに行きつきます。
ウエラブルカメラの専門的な技術を持たない高瀬CEOは、商品試作を行う段階では技術的な面で苦労したそうです。しかしエンジニアの協力を得て、製品は完成します。
出資目標額の26倍以上もの資金を集めた男
出典:industry-co-creation.com
エンジニアのバックグラウンドを持たずに、ブリンカムという画期的な製品を開発した高瀬CEOとはどのような人物でしょうか?
滋賀県出身の高瀬CEOは関西大学を卒業後、システムエンジニアリング会社の株式会社アイティーオーに入社します。その後、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社等を経て、株式会社ブリンカムを起業します。
会社員時代から、漠然とスタートアップを始めてみたいと考えていた高瀬CEOは、起業を目指す人のためのイベント、スタートアップウィークエンド等に積極的に参加します。
その傍らでボンド大学大学院でMBAのクラスを受講します。MBAのクラスメイトを見て、優秀ではあるが余り活動的ではないと感じた高瀬CEOは、スタートアップウィークエンドとのコラボ企画を立案します。
その企画は採用され、スタートアップウィークエンドの運営者の一員として活動をした高瀬CEOは、起業に対する気持ちが高まります。
スタートアップウィークエンドのイベントに参加した高瀬CEOは、その場でブリンカムを披露します。しかし試作品は思うように作動せず、苦い思い出となりましたが、その経験をバネにブリンカムを商品化して、起業を果たします。
出典:www.makuake.com
ブリンカムの製品は、ユーザーに支持される結果となります。ブリンカムを製品化した高瀬CEOは、クラウドファンディングサイトのMakuakeで出資者を募ります。
100万円の出資金を目標とした高瀬CEOでしたが、ブリンカムの商品性の高さから2600万円を超える出資が集まります。クラウドファンディング自体は終了していますが、ホームページから購入することも可能です(2017年4月見込み)。ブリンカムが今後どうなっていくのか、要チェックです。