アジア系女性の活躍
アメリカでもアジア系アメリカ人の活躍が、以前と比べても目立つようになってきました。以前は、学者や芸能関係者にアジア系アメリカ人の姿を見かけることはありましたが、最近ではその活動を幅広い分野で見かけるようになりました。
どこまでをアジア系と呼ぶかという線引きは難しいですが、例えば人気俳優のキアヌ・リーブスのように、アジア系の血が少し入っている方まで含めると相当の数になります。
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活躍が目覚ましいアジア系の中でも、近年は女性の活躍が目立ちます。台北生まれで、アジア系で初の米国閣僚になったイレーン・チャオ元労働長官や、インド系の父親を持つ宇宙飛行士スニータ・ウィリアムズ氏などが、多岐にわたる分野で活躍をしています。
一方、実業界では男性の活躍が目立ちますが、フォーブス誌が“The Most Powerful Woman in Startup ( スタートアップ界で最強の女性)”と評したアジア系女性がいるのをご存知でしょうか?シード期のスタートアップに投資するFloodgate社の共同創業者Ann Miura-Koがその人物です。
Twitterにも投資、スタートアップ界では著名なFloodgate社
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共同創業者:Mike Maples氏
Miura-Ko氏が共同で創業したFloodgate社は、Twitter社、Digg社など著名な企業に投資した実績のある会社です。
もう1人の共同創業者であるMike Maples氏は、メディアでの露出も多く有名かもしれませんが、Miura-Ko氏はそれほど露出はありません。
Miura-Ko氏はFloodgate社運営の他に、母親という顔を持ちます。ライフワークバランスを重視するMiura-Ko氏は、母親としての時間を確保するため、意図的にメディアへの露出を控えていると言えます。
母、会社運営、講演、1人で何役もこなすエネルギー
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イェール大学で電気工学を学んだMiura-Ko氏は、McKinsey社に入社。その後、Charles River Ventures社でベンチャーキャピタルに出会います。さらにスタンフォード大学で博士号を取得しています。
スタンフォード大学で学んでいたMiura-Ko氏は、スタートアップへの投資家として起業することを考えましたが、この時期はまさに最悪のタイミングだったのです。
Miura-Ko氏が準備を始めていたのは2008年で、リーマンショックに重なる時期でした。また博士号取得に向けて多忙な時期であったと同時に、妊娠が発覚します。
普通の人間ならば、何かを諦める選択肢を選ぶでしょうが、Miura-Ko氏は全て実現させようと考えたのです。
のちに“全てをやりきった場合のリターンを考えると、やらないという選択肢は全くなかった”とコメントしています。
当時を振り返り、Maples氏は“彼女がどうやって全てを完璧にやりきったのか、今でもわからない”とMiura-Ko氏の実行力に驚嘆しています。
その後、育児を続けながら会社を順調に成長させたMiura-Ko氏は、母校スタンフォード大学でも教壇に立った時期もありました。このようなエピソードから、フォーブス誌が“スタートアップ界の最強の女性”とMiura-Ko氏を称するのも納得できます。
現在も変わらず、母親と仕事を両立させているMiura-Ko氏は、精力的に新たなスタートアップの発掘・支援に余念がありません。Miura-Ko氏が出資したスタートアップは、Lyft社、Ayasdi社、Xamarin社など、成長著しい企業が並んでいます。
最後に
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アジア系の強さは粘り強さや勤勉性だと、アメリカでは言われています。まさにMiura-Ko氏はその特性を持って、みなが驚くようなことを実現してきました。
彼女にはさらに、パワフルな実行力や、窮地に陥ってもポジティブに物事を考える思考が備わっています。それは私たち日本人に足りない点であり、ぜひ見習わなければならないことです。
Miura-Ko氏のインタビューの中で頻繁に目にするコメント、それは、“リターンを考えると、やらないという選択肢はない”です。
一見難しく見えることも、その先にある成功やリターンについて考え、天秤にかけてみると、「やらない」という選択肢は消えていくかもしれません。
Miura-Ko氏のマインドセットを参考に、みなさんが現在難しいと感じている課題や状況について一度考えてみてはいかがでしょうか?