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アカウンタビリティが問われるタイミング
引用:gahag.net
「弊社にはアカウンタビリティが不足している」
「もっとアカウンタビリティを持つ必要があるのではないか」
「アカウンタビリティを果たさなければいけない」
日本ではよくアカウンタビリティのことを「説明責任」と訳されます。
では説明責任とは一体何のことでしょうか?
経営状況が悪化した時に公の場で事情を説明することでしょうか?
企業内で不祥事を起こしてしまった時に謝罪も含めた記者会見を開くことでしょうか?
失敗した時に社会に対して果たさないといけない償いのことだと思っている人がいれば、本当の意味でアカウンタビリティを理解しているとは言えないでしょう。
アカウンタビリティはネガティブな状況において果たさなければならないものではありません。
常に意識し、果たすべき事なのです。
次の章ではアカウンタビリティの定義についてご紹介します。
アカウンタビリティの本来の定義
アカウンタビリティ(accountability)とは、アカウンティング(accounting)とレスポンシビリティ(responsibility)を掛け合わせた言葉です。
冒頭でも紹介したように、アカウンタビリティは「説明責任」「会計責任」という意味で使われることがほとんどです。
しかし現代ではアカウンタビリティが少し異なる意味で使われることが多くなりました。
企業や行政などのあらゆる組織においていくつかの事例が挙げられます。
自らが生じた不祥事や勤務怠慢による問題について、利害関係者に合理的な説明を施す義務がある時に用いられるイメージではないでしょうか。
ただ単なる説明責任という解釈でアカウンタビリティを認識していれば、とりあえず説明をしておけばアカウンタビリティは満たされるということになります。
しかし本来のアカウンタビリティとは、上記のような「説明する責任」だけでなく「結果に対する責任」も兼ね備えたものです。
アカウンタビリティが本来発揮されるべき時は、全てが終わった事後ではなく、むしろ結果が出るまでの過程で常に行われていなければならないのです。
アカウンタビリティをきちんと果たせる人というのは、期待する結果になるように事中から行動を行うことが出来る人です。
説明責任を果たさなければいけない事後になってから、時間と労力を割くような人をアカウンタビリティを十分に満たしている人とはあまり言えないでしょう。
アカウンタビリティとはネガティブなことに使われるのではなく、成功するまでの過程に必ず必要となるものなのです。
企業がアカウンタビリティを全体で持つことは、失敗する危険性を減らし成功する確率を高めることが出来るでしょう。
ここからはアカウンタビリティを果たす際に必ず押さえておきたい重要な要素についてご紹介します。
アカウンタビリティを果たす際に押さえておくべき3ステップ
アカウンタビリティを正しく果たすためには、外してはいけない要素が存在します。
今回はその要素を流れに沿ってお伝えします。
ステップ1:現状把握を行う
まず初めに必要となることは現状の把握です。
成功し良い結果が出た時も、失敗し悪い結果が出た時も、必ず現状どうだったのかを明確に伝えなければいけません。
さらに二つの点を意識すれば、初めの滑り出しは問題なくいけるでしょう。
一つ目に行うことは、期待していた結果と現状の結果との差を伝えるということです。
そして二つ目に行うことは、差を伝える際には誰が見ても明確な判断を行うことが出来るように数値に落とし込んで話をするということです。
ステップ2:原因を説明する
第二段階として何故その結果に至ったのか、理由を明確にし説明しなければなりません。
悪い結果になってしまった時はもちろんのこと、良い結果になった時こそ行うことに価値があります。
失敗した時に正しく原因を理解することが出来れば、次回の成功確率は上がるでしょう。
成功した時にも同様に、何故成功したのか理由を深掘りすることが出来れば、再現性の高い結果が期待できます。
ステップ3:解決策・改善策を提示する
最終段階として、次回への解決策・改善策を提示することが必要となります。
これまでの現状分析や課題発見を通して、次なる段階への流れを示すこともアカウンタビリティにおける重要な要素の一つです。
現状を伝え、その原因を説明するだけではアカウンタビリティを正しく満たしているとは決して言えません。
自ら最後まで責任を持つということは、改善するまでの手順を考え提示するということなのです。
ここまでで、アカウンタビリティを果たすために必要な要素を見ていきました。
この3ステップを守りさえすれば最低限必要なアカウンタビリティを満たすことはできます。
ここからは実際に、アカウンタビリティが問われる主なシチュエーションについて考えていきましょう。
アカウンタビリティが求められる主な事例
企業の中で実際に、アカウンタビリティが必要となってくる状況とはどのような時でしょうか?
今回は企業が活動していく中で生じる事中の実例と事後の実例を紹介していきます。
事中利用:人事目線のアカウンタビリティ
企業では人材育成の中でアカウンタビリティを応用した管理システムを採用している事例があります。
基本的な流れとしては先ほどご紹介した3ステップを押さえていれば管理システムを運用することは可能です。
➀現状を把握し、②原因・要因を分析して、③解決策・改善策を提示する。それだけです。
実際に、アカウンタビリティを応用した管理システムの実例をご紹介しましょう。
まず、社員一人一人にそれぞれの職種に基づいた目標があったとします。
営業職ならば月あたりの契約数を目標値にするでしょうし、技術職であるならば〆切期限までに納品することでしょう。
その時に、各々の社員を束ねるマネジャーに対してアカウンタビリティを果たすことで、会社全体としてのパフォーマンスを向上させるだけでなく、リスクヘッジも行うことが可能となります。
具体的な行動として、営業職の実例を考えましょう。
➀まずは、設定した目標に対しての現状位置を数値に落とし込んで共有を行います。
「〇〇部長、今月の契約件数目標20と設定したのですが、現在半分以下の8でして、残り半月では目標達成出来そうにないです。」
②第二段階として、何故その結果になったの要因を事前に考え、報告しなければなりません。
「先輩方にもアドバイスを頂いて私なりに考えたのですが、営業を行う際にまず守らなければいけない基本的な型がまだ身に付いていないままに営業を実践していたことが悪かったと思いました。」
③最後にどのような行動をすれば解決改善することが出来るのか連絡します。
「来月こそは営業目標を達成することが出来るように、まず明日からの残り半月で先輩方とロールプレイを行って型を守れているか欠点を炙り出したいと思います。」
このように上司に対して要点を押さえたアカウンタビリティを果たすことによって、マネジャーが社員を管理しやすくなるだけでなく、社員自身のパフォーマンスも上がります。
まさに成功するプロセスの中ではアカウンタビリティを常に意識して行動することが鍵となってくるのです。
事後利用:経営者が果たすべきアカウンタビリティ
企業がアカウンタビリティを果たさなければいけない状況の一例として、財務報告、決済報告を行う時が挙げられます。
おそらく多くの方がアカウンタビリティと聞いて一番連想しやすい状況でしょう。
利害関係者であるステークホルダーに対して、自社のこれまでの活動の経緯を説明しなければいけない責任ある行為です。
では、なぜ企業は利害関係者に説明責任を果たさなければいけないのでしょうか?
それは株主などの利害関係者と企業との間に情報の非対称性が必ず生じてしまうからです。
情報の非対称性があることでエージェンシー問題が生まれてしまうことにもなりかねません。
アカウンタビリティは企業と企業に関係する利害関係者とを繋ぐ信頼関係の構築に大きく役に立っているのです。
総評:アカウンタビリティとは
アカウンタビリティの意味を考えた時に、正しい解釈で捉えられていたでしょうか?
現代で使われているような意味を真っ先に思い浮かべた人の方が多いかもしれません。
誰のために、何のために、アカウンタビリティという言葉が生まれたのか。
ただ単に説明を行う義務があるからではありません。
アカウンタビリティの本質とは本当に責任ある人が持っている意識の問題を突いているのではないでしょうか
今一度自らの行動を改めて考え直してみてください。
アカウンタビリティは果たせていますか?