今回のインタビューでは、株式会社VOYAGE GROUPの代表取締役CEOである宇佐美進典さんに「起業の経緯」「事業拡大のタイミング」などについて伺いました。
(インタビュアー:菅野雄太、撮影者:高田梨菜)

経歴

1972年愛知県生まれ。早稲田大学商学部出身。大学卒業後デロイト トーマツコンサルティング合同会社に入社し、大手金融機関の業務改善プロジェクトやシステム化プロジェクトにコンサルタントとして携わる。
1999年、アクシブドットコム(現VOYAGE GROUP)を創業。以来、メディア事業やアドテクノロジー事業など、インターネット領域において幅広く事業を展開。
2005年から2010年まではサイバーエージェントの取締役も務める。また、中国や韓国、インドネシア、アメリカなど、グローバル事業も積極的に展開している。
2012年5月にサイバーエージェントからMBOでの独立を発表し、2014年7月2日、東京証券取引所マザーズ市場へ上場。

「自分で道を切り開いていく」ことがやりたかった


私自身、今が2回目の起業です。もともと社会人になる時から将来起業しようと考えていて、それに一番役立つだろうと思って最初はコンサルティングファームに入社しました。そこで2年間システムコンサルティングや業務改善のコンサルティングをしていて、先輩や仲間にも恵まれていましたし、非常に学ぶことも多かったです。
ですが、私としては0から1を作って、1を10にしていくといったように、自分で道を切り開いていくということをやりたかったのに対して、コンサルティングファームの仕事というのは100をどう110にするかであったり、1000をどう1100にするかといった部分が多いと感じていました。
そこで、一旦、3,4人のソフトウェアのベンチャー企業に転職しました。転職して思ったのは、「ベンチャーも色々あるな」ということです。そこでは、営業とマーケティングを担当しており、色々試行錯誤はしましたがなかなか上手くいかず、会社としても結構厳しい状態になっていました。
当初は30歳を過ぎてから起業をしようと思っていたのが、25,6歳の時にそのような状況になったので、「少し前倒しして1回やってみよう」と思ったのが最初の起業の経緯です。

「みんなが違う船に乗って寄り合っていたとしても、なかなか上手くいかない」


最初の起業では、政府の助成金に申請をしたところ1億円ほどの助成金が出たので、起業後すぐにそれを使ってサービス開発に取り掛かっていきました。
私自身が生粋のエンジニアではなかったということもあり、開発ができる色んな会社とコンソーシアム(団体)を組んで助成金の事業を行う形を取りました。当初は役割分担含めて上手く進みましたが、実際に進めていくと、どこの会社がどの部分をいくらで担い、出来上がったものの権利は誰が保有するのかといったような問題が出てきました。
トータルとして事業をどう上手く進めるかということが大事だと思っていたのに対して、違う会社が集まっていると価値観を共有していなかったりして、それぞれの会社の視点で動いてしまうことがありました。ベンチャーというのはみんなが同じ船に乗って、ひとつの目標に向かってやっていくものだと思っていましたが、「みんなが違う船に乗って寄り合っていたとしてもなかなか上手くいかない」ということが最初の起業で感じたことです。

今の会社を設立した背景


日本とアメリカのネット市場を比べるとやはりアメリカの方が進んでいるという中で、アメリカでインターネット市場が盛り上がってくると、当然その中で物を売る会社も増えてくるだろうと考えました。
ゴールドラッシュのようにどんどんやってくる色んな企業に対して、マーケティングをサポートする事業をやったらいいいんじゃないかということで生まれたのがメディア事業でした。金を掘りに行くのではなくジーンズを作るような事業に回るためには、マーケティングやキャンペーンを支援するメディアを作っていくとビジネスが上手くいくんじゃないかと思い、始めました。 

創業当初は、夜中まで仕事をして、そのまま倒れこむように寝袋で寝て、また朝起きて仕事をしていた


このオフィス自体は創業してから5,6箇所目になるんですけども、起業して3ヶ月、半年ごとにどんどん組織も大きくなっていくので、引越しを繰り返していました。
2箇所目のワンルームマンションのようなところでは、みんな夜中の2時,3時くらいまで仕事をして、そのまま倒れこむように寝袋で寝て、また朝起きて仕事をするという状況でした。
当然みんな家に帰れないので、臭いんですね。なので、会社のシャワールームでシャワーを浴びて仕事をしていたのですが、みんながシャワーを浴びるので非常に水道料金が掛かってしまって、大家さんに怒られたのが初期の頃のエピソードとして印象に残っています(笑)
 
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