今回のインタビューは、ソーシャルワイヤー株式会社・代表取締役社長である矢田峰之さんに「学生時代」「人材採用」「組織の構築」などについて伺いました。
2015年12月上場、ソーシャルワイヤー・矢田峰之代表が語る成長戦略「会社にとっての前を示すことが社長の責任」【前編】はこちら
【経歴】
1974年静岡県出身。1997年関西大学工学部卒業後、ソフトバンク株式会社に入社。イーバンク銀行(現:楽天銀行)、IT系ベンチャー企業を経て、2006年ソーシャルワイヤー株式会社設立、同社代表取締役就任。2011年に海外進出し、現在は日本も含めアジア7か国11拠点でビジネスを展開。創業以来9期連続増収、会社を継続的に拡大させている。2015年、東京証券取引所マザーズ市場に株式公開。
「ベンチャー企業の経営者とは何か」を知るために
今振り返ると、価値観に影響を受けたり、何か考え方が変わったのは大学時代です。
大学時代に喫茶店でアルバイトをしていました。そこのオーナーが大阪の方で、“ド”がつくような商売人で、ものすごく情熱を注いで事業を多角経営されている方でした。それを見て「かっこいい」と思いましたね。
そう思ってインターネットや雑誌で調べてみると、起業家は沢山いるわけです。そういう人の本を読んでいるうちに、そっちばかり見るようになりました。
当時の私は、「いずれそうなりたい」と思っても、実行する勇気はありませんでした。結局「そういう人がやっている会社に入ろう」となり、ソフトバンクに入社しました。
私は工学部の情報学科で、プログラムを勉強していました。関西にいましたが、SEの職種だと、就職活動で引く手あまたの状態でした。
ですが、私はなぜかソフトバンクを選びました。いわゆる「文転就職」で、「親が理系の学部に通わせてくれたのに」と言われましたね。
私は別に流通がやりたかったわけではありません。単純に、ベンチャー企業の経営者の下で1回仕事をしてみたかったというのが率直なところです。
管理部門のスキルや経験、ノウハウを使って会社を大きくしてきたキャリア
入社した頃、「日本では流行っていないが海外で流行っているソフト」というのがありました。
今ではブラウザーで「Chrome」等を使っていると思いますが、当時は有料で『Netscape』を売っていた時代で、そういうものの直販やeコマースのような仕事をさせてもらい、初期のインターネットに関わることができました。
当時はネットバブルの少し前で、株式上場を目指す会社が増えていました。
その中で、上場準備のプロセスに触れる機会が増えまして。その後転職した会社がイーバンク銀行(現在の楽天銀行)で、ネット専業銀行の先駆けでした。
銀行なので、認可を取るために資本やシステムを増強しないといけない。そうしないと当時、金融庁から銀行免許をもらえなかったのです。どちらかというと、会社のエンジニア以外全員が、会社の経営企画スタッフの仕事をしていましたね。
そういうプロセスから、「僕のキャリアは最終的に何だったのか」と考えると、結局は管理部門のスキルや経験、ノウハウを使って会社を大きくするものを見聞き・経験してきたことに気付きました。
なので、そういう経営企画とか財務といった間接部門のスキルを用いて起業したという感じです。