今回のインタビューは、株式会社ピアズ 代表取締役社長の桑野 隆司氏に、「従業員が付いてくる理由」と「組織マネジメントのポイント」「IPOできる会社の特徴」についてお話を伺いました。

(インタビュアー:株式会社アントレプレナーファクトリー代表 嶋内秀之)

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【2本目(8分49秒)】

善悪の価値観が合っている人が集まっている

ー従業員がついてくる理由について教えてください。

 

桑野氏:離職の多い業界の中で、特に僕らみたいな現場で動くような会社って非常に多くて、それでも従業員がついてこられたのは、やっぱりベースに価値観だと思います。なぜしんどい事についていくのか?しんどい事を乗り越えていくのが良い事だって思ってる人達がいるからですよね。しんどい事は嫌、悪い、良くない事だと。自分にとって嫌な事だって思ってる人が多分会社にたくさんいたら、ついてこないって事だと思うので。

 

それ以外のこともありますけど、人の為に自分が犠牲になる事は良いことだとか。やっぱりこういう善悪の価値観みたいな物をしっかりと明確にして、そこに会う人材で組織を作ってきてる。これが多分大事だと思うんです。多くはそういうのをあんまりこだわらないまま組織を大きくして、大きくしてから価値観のズレがある、さあどうしようっていうのが大きかったと思うんですけど。

 

私はそれがやっぱり最初の創業2年目3年ぐらい経つタイミングで、価値観が合わない人を招き入れて大きくしようとして失敗して、3人ぐらいに社員が組織崩壊を起こした事があって、そこで初めてちゃんとそういう価値観、理念の経営をしていかなきゃいけないと思って、組織作りやってきたので、そこがベースにあるからだと思うんです。それでもやっぱりしんどい事は皆本能的には嫌ですから、それをやっていくのは、正直金銭報酬だけじゃもう難しいと思います。

 

色んな意味での満足感、僕らはそこにさらに満足の先に幸福があるということで、社員の幸福感を増やしてあげるかということが必要だと思ってる。一言で言うと、社員重視の経営をしていくというのも、1つのパブリックの第一歩だと思うんです。オーナーの為の会社と言えば人はついてこないと思いますけど、社員の皆さんの為の会社だという経営をトップ自らがすれば、当然それは伝わりますんで、ついてくるというか一緒にやっていこうという気持ちになってくれるんじゃないかなと思っています。

コミュニケーションをデザインすれば、人のマインドは高まる

―組織マネジメントで重要なことを教えてください。

 

桑野氏:結構これはコアな組織マネジメントの部分なんですけど、実際コンサルティングでやってる事もそういうことで、そう意味で採用の入り口大事っていうのは皆さん分かってらっしゃる所なんですけど、ここでやっぱり大事なのは基準をブラしちゃいけないというとこです。

 

人が採れないからといって採用基準下げたところで、お客さんに提供する価値基準が下がる事は無いですし、下がってしまったら人の採用基準が下がって、提供する価値基準が下がってしまっても競争に勝てないわけなので。ここはやっぱり質を求めていかなきゃいけない。

 

特に今の時代難しくなってると思うんですよね。人材不足であるが故に。そこが多分入り口として大事だと思うんです。あとはしっかりと組織の中でのコミュニケーションとかの仕組みを作っていくっていうこと。ここにもうちの会社よく見学とか色んな方に来て頂くんですけど、朝礼ひとつ取ってもそうですし、ビジョンについて皆が共有するような思いの共有化みたいな物もあれば、縦軸の事業別の組織もあれば、横軸のチーム型の組織みたいな物もあって。

 

いくつか織りなされた物が、今はこの14年の中で作ってきた物があるんで、一口には言えないんですけど、簡単に言うとコミュニケーションのデザインをして、良いコミュニケーションを社員内の中で増やせば、人のマインドというのは高まっていきますし。

 

このコミュニケーションデザインをどう設計していくのかっていうのは、非常に重要なポイントかなと。あとはそれの記録というか、実際僕たちは社員満足度っていうものとは別に、社員幸福度というものを個別に調査して、簡単にいうと利己が社員満足です。働きやすい、休みが多いとか給料が多いとか、福利厚生って言われるものの多くは、自分の為のもので利己的なものなんです。

 

だけどやっぱり仕事をしている中で、人に喜ばれたから嬉しいとか、仲間から必要とされてるから良いとか、こういう利他的な満足っていうのがES(社員満足度)、EH(社員幸福度)っていう考え方で分けて。ESはそこそこで良いんです、正直。欲求の中でも低い次元の欲求なんで、ある程度休みもあって、ある程度お給料も高くて。

 

このある程度の福利厚生があれば今度は何が必要かっていったら、社内の人間関係とか、どれだけ周りから感謝されるような仕事をしているかとか、どれだけ自分が成長できてるかとか、こっちに目がいく。そこそこのESに対して、今度は目が向いたEHをいかに高めていくかっていうことを、経営層で考えていきますし、もっとそこを会社全体で考えていく。仕組みは変わり続けているんです。

 

それはやっぱりそうで人間マンネリ化していくので、同じことやり続けていくと効果は絶対落ちていくんで。やっぱり成果が何かを定義しながら、変え続けていくと。ただこの変えていくことってストレスじゃないですか。現状維持したいって考えがあるわけですけど、それ自体を美徳としていくような価値観を作っていくって感じです。

 

これでも年月かかりますよ、正直。色んな会社さんがそこは「教えてください」っていう風に言われるんですけど。じゃあ3ヶ月とか半年取り組んだからって急激に変わるかっていうと、そうは変わらないので。やっぱりこれをどうトップ自らが、旗を振ってやり続けていくのかっていうのは非常に重要な所だと思います。

コミュニケーションをデザインすれば、人のマインドは高まる

―IPOできる会社の特徴を教えてください。

 

桑野氏:今非常にIPOも人気というか、非常に申請する会社も増えてきている。厳しくなってきてるというのは日経新聞にも出てるぐらいですから、私達も実際にそれをすごい体感したんです。止まるとか先に進めないっていう企業も多数あると思うんです。

 

よく業績って言われるんですけど、やっぱりこの業績は出してて当然。赤字の徐々もあるんですけど、将来的には業績改善が見込めるっていう所はやっぱり証券会社の審査も受けますので、しっかりとした予定通りの業績を出せるっていうことは大前提としてあります。

 

ただその背景には、結局それができるということは結構高い基準でやってるってことは、僕は組織の調和みたいな物も見られている部分はあるんじゃないかなと思う。人がポンって辞めちゃったりすると、やっぱり計画狂うんで。そういうマネジメントの基準が高いと、計画通りの業績推移を出すことができる。これ2年間やることは結構大変なんですよね。

 

ただそれでいけますか?っていうと、それは多分一昔前の話で。やっぱりビジネスモデルの社会性、これからどれだけ社会に、この会社が資金を調達した後に、社会に貢献できるような会社になっていくのかっていう事は見られているでしょうし、そういう意味では非常にトップの資質も大事で、我々もここはですけど、どういう考えの人間がトップでいるのかという所なんかも見られますから。そういう所っていうのは、非常に感じたと。

 

やっぱりコーポレートガバナンスで、権限が集中していないという、そういう会社の仕組みを作れているかと。よく今で言う、持続可能性って言われるとこだと思いますけど、1人のカリスマが居てもその人が居なくなったらっていう所もありますし、その人が変わってしまったらリスクもありますし。それをしっかりとして会社全体のコーポレートガバナンスで、経営自体を保全できているのか。こういう体制面はすごく厳しく見られたんじゃないかなっていう感覚はあります。

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2017年6月より1年間をかけて企画・撮影した105本。今後も、毎月2-3本新しいコンテンツをリリースし、学びを深めていくことをサポートします。
コンテンツを学習することで、「試行錯誤で時間を浪費する」「チーム内で噛み合わないコミュニケーションを続ける」などの無駄を省き、チームが本来の目的や使命に向かってより効果的に進むことができます。

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