”上場”が与えてくれるもの
”上場”が与えてくれるもの
苦労はたくさんしていて、今振り返ると良い思い出です。起業したばかりの時は、いろんなことをやっていて、例えばWeb制作やデザイン、SEOなどをやっていて、納期のあるものが結構あり、納期に間に合いそうにない時に突然人が休んでしまうことがありました。
そこから3日間寝ないで自分自身がプログラミングをして、なんとか納めたという経験は非常にいっぱいあって、身体中じんましんになったこともあります。
ターニングポイントは、いくつかあって、1つ目はビジネスをスタートした時に、自転車操業的なビジネスモデルでは厳しいというのがありました。初めの数人の小さい会社は、誰かが休んでしまい間に合わなかったら、最終的に自分がそれをカバーするしかないです。
そうなった場合に、結果的には自分自身が営業に出られなくなってしまいます。そこからSEOという座布団型のビジネスモデルに切り替えた点が大きかったと思っています。もちろんSEO自体も瞬時に切り替えるのは難しく、ちょっとずつ案件を積み上げながら自転車操業もやりながら徐々にシフトしていくことを試みたというのがあります。
2つ目はGMOインターネットグループに2009年にジョインしたということがあります。このタイミングでは、会社をより大きくしたいという気持ちがあり、当時の売上を10倍にしていくためにはどうしたらいいかと考えたとき、やはり大きな優位性を持つことが必要だと思いました。
GMOグループが保有している資産は、例えばサーバードメインやIP等、当時SEOに非常に効いたものを多数保有していたので、そういったものが日本で一番強いグループの中で会社を大きくするのが一つの選択肢かなと思ってジョインしたのが2点目の転機だと思っています。
社内は一瞬動揺がありましたが、「こういったメリットがある」とか、「雇用も安定するし、みんなもっと大きなビジネスやろうよ」というところをみんなに共有したことで、賛同を得たという感じです。
3点目は、SEOのビジネスないしPCモバイル集客支援事業から、新しい自社専用の商材を作ろうというところで「GMO SmaAD」に2億円くらい制作につぎ込み、貯めたお金を一気に使ったというのが大きな転機かなと思います。
それが今大きく成長していて、結果的に4つ目の転機である2014年の上場に結びついているのだと思っています。上場については、一番労力を使ったのが、業績ではなくて、管理体制です。例えば内部監査や、資料作りみたいなところです。
上場して大きく変わったかというと、正直「そこまでは…」という感じではありますが、一番大きく変わったのはやはり採用です。上場会社ということで入ってくる方の安心を得たことや、上場したことによってキャッシュフローが非常に回りやすくなっているので、経営が非常に安定的なものになっています。
社内のメンバーの意識という意味で言うと、急激に大きく変わったのかと言われるとあまりそうじゃないのかなと思います。みなさん上場したということで安心感や、場合によっては誇らしさみたいなものも出たのかなとは思っていますね。
1年後、2年後にアツくなるビジネスを
弊社は、自社で開発するというところを重視していて、もともと私自身がメーカーにいたということもあり、製販を併せ持ちながらやりたいなと思っています。やり方に関しては、グループも含めての販売力と考えていますが、基本的には中で開発することをまずテーマにしています。
その中でも開発に関しては、今流行っているものを今開発してもやっぱりちょっと遅いと思います。作るものにもよりますが、当社が今開発しているのは大体1年がかりのものです。企画から最終的な開発まで1年くらいかかるので、今一番アツいものを開発するのではなくて、1年後や2年後にアツくなると予想されるものをテーマにしながらビジネスをするようにしているところがポイントかなと思っています。
先ほどご説明した「GMO SmaAD」に関しては、開発しているタイミングでは市場がありませんでした。まだそういった商品というものが世の中にない状態で開発をしましたし、GMO App Capsuleに関しても、国内でそういう商材がありませんでした。先見の銘を持って手を打っていくということをポリシーにしています。
結果的に、新しい技術や今までやったことのないような経験ができる場がエンジニアやディレクターに対してあり、場合によっては各事業の担当者がP/Lを作成します。P/Lとか事業計画はあまり担当の方が作ることはないのかもしれませんが、当社はチームのメンバーが完全に作るという形を担っています。
経営者としてのセンス
自分にセンスがあるというのも変な話なのですけれども、1つは「情報が多い」というのがあると思います。情報とは何かというと、もちろん個人がネット上で調べることもありますが、やはり人脈とか、場合によっては日本だけでなくて海外の人々や海外の製品を見に行く機会を増やすということが、結果的には情報を収集できると思います。
もう1つが、「好きかどうか」ということなのですよね。結局そういった原動力で新しいアイディアや情報を引き出し、引き出しの数が多くないと最終的に形にはならないと思いますね。
1日1日を一生懸命に生きる
いくつか自分の中で考えて実践していることがあり、その中で大きいと思うのが、対ビジネスにおいて「1日1日を一生懸命に生きる」ということです。これは今風じゃないかもしれません。
今の若い方にとってはちょっと古臭いおじさんの言っていることかもしれませんが、1日1日寝る間を惜しんで前を見て、自分のやりたいことや世の中に受け入れられることを考えながら情報収集したり、開発などをやっていくということを、優先順位を決めながら日々コンスタントに進めていくことが大事です。
継続する力が僕の中では大事だと思っています。結局どこかで諦めたり、どこかで歩くのをやめたりすると、結果的には何かを得られない人生だと思っています。
稲盛さんの言葉で「継続して毎日がむしゃらに働く人間というのは、いつかはおいしい果実を得られる」というのは、正直僕もそう思っています。私自身、明治大学だったのですが、もっといい大学の人っていくらでもいると思います。
そこで遊んでしまわず、一生懸命毎日生きていると、その点と点が全て線につながると言うか、一生懸命やっていること自体、全てが点として、非常に大きなポイントになると思っています。それが全て線につながるタイミングがいつか来ると思いますので、そういった頑張れる生き方をすると、将来いいことがあるのかなと思っています。ぜひご一緒に頑張りましょう。
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