今回のインタビューでは、Beatrobo,Inc.(ビートロボ) CEOの浅枝大志氏に「資金調達」や「今後の事業展開」、「経営者としての在り方」について菅野(起業tvディレクター)が伺いました。
【おすすめポイント】
世界初のガジェットを生み出したビートロボ、「PlugAirにかける想い」や浅枝氏が考える「世界に向けた戦い方」とは!?


【経歴】
1983年生まれ。青山学院大学卒。デジタルハリウッド大学院修了。2005年に美容室を創業、2006年に仮想空間を専業とした株式会社メルティングドッツを創業。2011年12月、友達同士で音楽を聴かせ合うソーシャル音楽サービス「Beatrobo」をリリース、CEOに就任。2014年3月にローソンHMVエンタテイメントと業務提携を行い、110万ドルの資金調達を実施。現在はイヤホンプラグガジェット「PlugAir」事業に注力し、LINKIN PARK、TMNETWORKなどのアーティストにデジタルハードウェアを提供中。著書にウェブ仮想社会「セカンドライフ:ネットビジネスの新大陸」など。
【事業内容】
2012年に設立されたビートロボ社は、音楽やデジタルコンテンツをグローバルに提供する新しい方法を常に模索し続けています。ソーシャルプレイリストサービス Beatroboでは音楽がロボットに変身して交流できたり、挿すだけでコンテンツがスマートフォンに入ってくる画期的なデバイスPlugAirの開発を行っています。
(0:10~)
菅野:
今年の4月に110万ドルの資金調達と、ローソンHMVエンタテインメント(LHE)との事業提携が話題になったと思うのですが、その後の活動はどうなったのでしょうか。
浅枝氏:
2012年に最初の調達をしまして、それから2年がたち、WEBサービスからハードウェアへの事業転換を行いました。PlugAirという製品の中にはICチップなどが入っており、これを製造するには資金調達が必要です。LHEさんと製造の提携も同時に行いました。LHEさんとの今回の提携で、100万個作れるような量産体制にもっていくことができました。
(1:30~)
菅野:
複数回大型の資金調達に成功されたとのことですが、周囲から支援を受けるために意識していることはありますか?
浅枝氏:
きちんと進行していることを見せることだと思います。例えば製造には時間がかかるので、計画通り進んでいるか、イノベーションが起こせているか、話題になるのかという点を意識しています。
(2:16~)
菅野:
製品を開発する上でCTOの役割は大事かと思うのですが。
浅枝氏:
えぇ、チームは非常に重要です。(製品を)作れるメンバーがいるということ、今回に限ればプロトタイプを作れて量産までやりきれるメンバーが居てくれたことが非常に大きいです。開発したのはCTOなのですが、彼がいなければ会社は存続していないです。
(3:05~)
菅野:
続いて、事業の世界展開についてお聞きしたいです。先日、ルクセンブルグのテックイベントに参加されたと思うのですが、これは今後の世界展開を見越しての出展だったのですか?
浅枝氏:
当然、世界展開が念頭にあるのですが、僕らのサービスの特徴は、アメリカ製品の日本版というわけではないのです。僕らが作ったPlugAirは世界初の仕組みなのです。日本で流行った後に、他の企業が大型の資金調達をして一気に塗り替えてしまうかもしれない危険性を感じました。それに対抗するには、最初から世界に出していこうということで、ヨーロッパに出展したりアメリカのバンドと提携しています。
(4:25~)
菅野:
日本には世界を意識したベンチャー企業はまだまだ少ないと思うのですが、浅枝さんが日本のベンチャーやそれを取り巻く環境について感じることはありますか?
浅枝氏:
世界に向けた戦い方は日本国内を抑えて世界進出するか、最初から世界進出するかの二択があると思っています。やはり勇気がいるんですよね。英語ができないと。苦手なところで勝負しても負ける原因になるので。今回は僕が、英語ができることもあり最初から英語ベースで(仕掛けて)やっていきました。シリコンバレーで日本人がやっていくことには文化を相当理解しないとキツイよ、と地元の人は思っています。ただ、そういう壁を乗り越える人が出てくると思うので僕が、そのきっかけの1つになれたらなと思います。
(5:59~)
菅野:
特許に関して苦労したことはありますか?
浅枝氏:
特許に関しては早めに手を打ったことが良かったと思います。最初の調達で60万ドルという額を調達できたので、思い切って必要か不必要か分からない特許申請をしました。元々、WEBサービスの会社なのにハードの特許申請をしていました。お金がある時にしかけたお陰で今があるということです。
特許を出す場所も日本だけでなく、中国とアメリカで特許を申請したのでパクられる心配もありません。これが今いい形で歯車が回り始めています。
(7:30~)
菅野:
今後の事業展開はどういったものを考えていますか?
浅枝氏:
毎日身に付けて歩くモノの1つにしたいな、と思っています。会社のビジョンに近いですが、家の鍵や車の鍵のように毎日持ち運ぶようなジャンルにPlugAirが入り込めればいいなと思っています。人と人とがデジタルコンテンツで繋がるキッカケになるものを僕らのサービスでできたらなと考えています。
(9:03~)
菅野:
そもそも起業しようと思ったキッカケは何だったのですか?
浅枝氏:
働きたくなかったからです(笑)解釈は違いますが、好きなことだけしたいなと思っていました。就職をすることで、自分で決められる範囲が減ると思いました。転勤のタイミングと結婚のタイミングと家を買うタイミングが全部被ったらどうする?のかと。その意思決定権を自分で持っておきたいと思ったので、結果的に自分で会社をやるのが一番楽というオチですね。楽するために1日10時間働くという皮肉な結果になったのですが、毎日楽しんでいるので嫌だと思ったことは全くないですね。
(11:12~)
菅野:
最初の起業から8年近く経つと思うのですけど、経営者として時間の使い方は変わりましたか?
浅枝氏:
当時は我武者羅でした。寝る時間がもったいない。僕自身が営業して、僕自身が手を動かして、僕自身が走るという状況から、他の人に自分以上の仕事をしてもらおうと意識していますね。僕が我武者羅にやっていく時期から、今は任せ始める時期に入り始めました。
(13:11~)
菅野:
Beatroboの代表として浅枝さんが大事にしていることはありますか?
浅枝氏:
ほう〜!人ですね。ベタで嫌ですけどね。会社のオフィスが大事だとか、環境が大事とか言いますけど、多分それって全部おまけであり、イケてる人と会社で会えるから楽しいと思うのです。イケてる人とお酒を飲みながら、議論するから楽しいのであって、イケてる人と集中してやるから楽しいのだと僕は思います。この会社ではそれを目指しています。なので、イケてる人だったら全員ウェルカムです。人が一番重要な要素だと思います。
(14:46~)
菅野:
起業を考えている人に何かメッセージをいただきたいと思います。
浅枝氏:
タイミングを見るくらいならやらない方がいいです。今すぐやりたくて仕方ないことをやった方がいいです。そうじゃなかったら起業する心がもたないです。会社を一度始めたら、潰れるか死ぬまでやめられないので。起業をしたいと思っているなら紙に書けばいいのです。それが一歩目です。「待つ」という行為は社長業では一切許されないので。「待つ」という考えを持つタイプの人間なら起業しない方がいいです。ビジネスコンテストに、(すでに自分が)やり始めているものを出す人にはオススメです。「起業したいんですけど」という相談は多分他の起業家も困ると思います。「これをやっているんですけど、どうやったら拡大できますか」という相談だとみんな会ってくれると思いますね。学生の特権を使って色々やってしまえばいいと思います。

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