新規事業が成功するかどうかは、事前の計画で決まると言っても過言ではありません。つまり、「どの市場のどのポジションを取りにいくのか」「それを実行するためのリソースはあるのか」「本当に儲かる仕組みが築けるのか」を考える必要があります。

今回は新たに事業を始めようとお考えの起業家のみなさんのために、新規事業を成功に導くためのポイントを紹介したいと思います。また、新規事業からどれほどの収益を得ることが出来るのかについてのシミュレーションの仕方についても解説したいと思います。

新規事業を成功に導くポイント

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出典:www.smallbusinessmoneymastery.com

①心構え

新規事業を立ち上げる際にやはり一番大事なのは、立ち上げに向けての心構えではないでしょうか。

はっきり言うと、新規事業が成功することは稀です。事業を立ち上げて社内の経営資源を整備し、ある程度の形が出来るのが2年程、それから安定的に収益を得られるようになるのに3年程、合計で5年くらいは事業立ち上げには必要ではないかと筆者自身は考えています。

この間に、借金の返済が困難になる場合や資金繰りが上手くいかない場合もあれば、経営者自身の気力が続かなくなる場合もあり、事業が回らなくなることが多いです。ですので、新規事業の立ち上げを考える際には、長い視点をもって臨むという心構えが必要になります。

②立ち上げる事業の成功の可能性について考える

続いて、立ち上げを行う事業についてですが、

「何を行って、どんなサービス・商品を提供して売上を上げようとしていますか?」

「事業の核となるサービス・商品は決まっていますか?」

「その市場のシェアはどういう状況ですか?」

「同じような事を行っている企業はありませんか?」

「その企業と競合することになった場合なぜ勝てるのですか?」

「そもそも同じような事をやって大丈夫か?」

このように、何故その事業を選んだのか、勝てる見込みがあるのかをしっかり分析する必要があります。その分析の結果をしっかりと戦略に落とし込んで下さい。

基本的に他の人がやっている事を行っても成功することは難しいです。中にはDMMのように他社が行っているサービスを更に高度なものに変えて、消費者に提供するということを行っている企業もありますが、これには相当な資本力が必要になることは避けられません。

まずは自社にしかない武器になるものを見つけ、その武器の活かし方を考えて下さい

簡単に見つかるものではないですが、日々の生活の中で自分が不便に感じたこと、一見全く関係が無いような仕事でも意外な共通点があるかもしれないこと等、常にアンテナを張って情報収集を続ければ、意外な発見があるかもしれません。

③事業シミュレーション

勝てる見込みがあるという判断に至った場合、次にやらなければならないことは、一体どれほどの収益が見込めるかを試算(シミュレート)することです。

シミュレートをした結果、その事業が投資するに値するかどうかを判別することが可能になります。また、融資が必要な場合はこのシミュレートの結果を基に金融機関から資金を引っ張ることにもなるので、非常に大事な部分となります。シミュレートのやり方については後ほど解説します。

④経営資源の確保

いざ事業を開始する際には経営資源の確保、とりわけ人材の確保が重要になります。人材は多少資金を積んだとしても、その事業や業界に詳しい人間を入れるべきだと思います。

どの業界でも必ずその業界特有の商慣習が存在します。全く知らなかったとしてもいずれは慣れてくるのだとは思いますが、やはり業界に詳しい人材がいないよりもいた方が事業展開のスピードが格段に上がるのは明白です。

⑤事業立ち上げ後

事業立ち上げを行った直後には収益はほとんど上がりません。この時期にとにかく大事なのは売上を伸ばすことです。これは非常に難しいですが、売上を伸ばすために何が障害になっているかをしっかり考えることが必要です。

また、経営者の方は自分の手持ちのカードをしっかりと認識して下さい。それは、人脈や従業員が持っている技術など様々なものがありますが、自分がどのようなカードを持っており、そのカードをどのように利用すれば売上増加に繋がるのか思考を深めることが重要だと思います。

以上が大きく考えられるポイントとなります。社内の管理体制を整備することも当然大事な事項ではありますが、事業立ち上げ直後は社内の管理体制の整備よりも、いかに売上を伸ばすかに注力するかが大事であることを十分理解しておきましょう。

事業シミュレーションのやり方

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出典:costofvision.preventblindness.org/

①情報収集

実際にシミュレーションを行う際に、まず何から手をつけるべきか?と言いますと、“情報収集”です。

「何によって売上を上げるのか?」

「対象とする顧客は誰なのか?」

「何を仕入なければならないのか?」

「そもそも自社では製造できないのか?」

「事業を行うためにどのような経費がかかるのか?」

といった情報を集めなければなりません。

情報収集は実際にその事業を行っている経営者の方に聞くのでもいいですし、業界ごとの協会や経済産業省、厚生労働省等がホームページ上で公表している場合もありますので調べてみるといいと思います。

②諸条件の設定

上記の情報収集により、事業で発生する経費等のイメージをつかむことができたらそれぞれの諸条件を設定する必要があります。

商品を1ついくらで年間いくつ売却できるのか、商品はいくらで仕入れるのか、人件費はいくらか、家賃はいくらなのか、水道光熱費や旅費はいくらかかるのかを1つずつ決めていく必要があります。

根気が必要な作業ですが、この部分を精緻に設定することでより信頼性の高いシミュレートが可能となります。

③実際にシミュレートを行う

諸条件の設定が完了したら、それぞれの項目を収益項目と費用項目に区分し、損益を算定します。基本的にシミュレートを行う場合は、事業開始後5年ほどを目安に作成することが一般的です。5年間でどれほどの収益が得られるのか、投資額の回収は可能なのか等の判断を行います。

ただし、この部分は減価償却費の計算や税金の計算等、外部の専門家を利用すればより精緻にシミュレートを行ってくれますので、諸条件の設定後は外部の専門家にシミュレートを依頼することをオススメします。

まとめ

いかがでしたでしょうか?この記事がこれから新たに事業を始めようとしている方々の助けになれば幸いです。

やはり成功させるためには事前の準備が非常に大事です。ただし、新規事業の立ち上げは上記のポイントをきちんと押さえたからと言って必ず成功するものではありません。経営者の方の勇気、リーダーシップそして経営力がやはり大きな鍵を握っています。

またこれだけは忘れないで欲しいのは、企業経営で最も大事なことは“販売”です。当たり前のことですが、モノを売るための販売力が最も大事だと筆者自身思っています。

立ち上げたからには“最後まで必ずやり遂げる”という思いを持って最後まで突っ走って下さい。

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