業務委託契約と請負契約の違いとは?
業務委託契約と請負契約での大きな違い
出典:http://www.ask.com/food/differences-between-lemons-limes-9631b01beef8b311
ここまでは、業務委託契約と請負契約両方に共通する注意点を記載しました。しかし、両契約で大きく違ってくるのは、「業務の完成」「解除条項」の2点です。
請負契約は原則として、請け負った業務が「完成」し、その結果に対して報酬が支払われる契約です(民法第632条参照)。
一方で、業務委託契約は、業務の「完成」自体は法律上の義務ではなく、「事務の委託」を受託したことの対価として報酬を受け取ることが可能な契約です。もしくは、「完成」という概念が想定しにくいサービスや業務の場合に利用する契約です。
例えば、みなさんが大工で「家を建てて欲しい」と言われたら、きちんと家を完成させて施主に引き渡すまで報酬全額は受け取れません。しかし、業務受託の場合であれば、20万/人月といったような工数ベースで報酬を定め、家が建つまで月額で報酬を支払う契約でも構いませんし、土台を立てたら○○円、内装は○○円など、家自体の完成を目的としなくてもさまざまな契約を結ぶことができます。
また、施設内のレストラン・食堂等の運営受託、コールセンター業務の受託などは、そもそも「完成」という概念がないので、請負契約という形態はそぐわないでしょう。
参考条文
(請負)
第六百三十二条 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
(準委任)
第六百五十六条 この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。
出典:http://www.the-broad-side.com/insurance-cancelled-under-obamacare-blame-your-insurance-company
解除条項について、業務委託契約の場合、法律上の原則からすれば、委託者であるお客さまと受託者であるみなさんはいつでも、どちらからでも契約を解除できます。
請負契約の場合、発注者であるお客さま側は、請負人であるみなさんが業務(仕事)を完成させるまでの間は、いつでも損害を賠償して契約を解除できる(民法第641条)一方で、請負人であるみなさんは業務(仕事)の完成を約束した以上、契約を途中で解除することは許されません。
簡単に言えば、業務委託契約より請負契約の方が、いったん請け負った以上、責任が重く請け負った側からの解除がしづらいと考えてください。
また、実務上の契約では、仮に解除がなされたとして、その後の返金や返品、原状回復などの処理がどうなるのか?費用負担はどうなるのか?といったあたりが一番のポイントになります。これらが定めてない契約も多いのですが、本来定めておくべきですし、定めてあればきちんと契約書から読み取るようにしてください。
まとめ
ここでは、簡単に業務委託契約と請負契約に共通する注意点と違いのポイントについて、解説しました。
ただし、実際の実務では、その契約が業務委託契約なのか請負契約なのか標題だけではわからないこともあり、その場合は、実際に行う業務の実態や契約書の個別の条項を確認して判断することになります。
もし、これからみなさんが締結する契約書について、心配があったり、不明な点がある場合は、法律の専門家に早めに相談することをおすすめします。
次のページでは、業務委託基本契約書のひな型と、見ていく際に注意すべきポイントを挙げています。そちらもぜひ参考にしてみてください。