> > > 「社員の心情も含めて継続していく」2年で赤字経営を脱却、その背景にあった2代目社長の葛藤:マスコール・境順子代表
後継者の事業革新

後継者の事業革新

「社員の心情も含めて継続していく」2年で赤字経営を脱却、その背景にあった2代目社長の葛藤:マスコール・境順子代表

今回のインタビューは、株式会社マスコールの代表取締役である境順子さんに、「どのような経緯で家業を継ぎ、どのように事業革新を行っているか」について伺いました。

(インタビュアー:菅野雄太、撮影者:須澤壮太)

経歴

女子高、女子大、アパレルを経て、2003年父が創立した高圧ガス製造販売会社へ。 3兄弟の末娘ながら2007年に事業承継し代表取締役に就任する。男性中心の業界で 数少ない女性社長 して、また2人の男の子の母親として、日々奮闘中。 2015年度よりWLBC関西(ワークライフバランス推進チーム)に所属。

事業内容

1958年に父である宮崎順平が、溶解アセチレン用のマス詰めの木炭をもとに始めたのがきっかけです。

創業から4年ほど前に父が終戦後に疎開生活を終えて大阪に帰ってきたときに、祖父が木炭の問屋をしていました。そこでは木炭を集積して、それを卸すという仕事をしていましたが、経営がうまくいかなくなり、倒産してしまいました。

その中で、再起をかけて父が後を継いだという流れです。その木炭をヒントに、アセチレンというガス燃料につながるような商売を始め、そこからガスのエネルギー産業に入っていきました。

現在では、ガスの酸素・窒素・アセチレン・炭酸といったガスを製造販売しています。ガスの関連製品などを一緒に扱って、ガスと一緒に提供しています。

後を継ぐとは全く想像していなかった

家業を継ぐまでは、そうなることを全く計画していませんでした。私は3兄弟の末娘で、兄が2人おり、父も私もよもや後継ぎが末娘の私になるとは考えていない状況でした。

私は女子校から女子大に進学し、その後父の誘いでガスメーカーに3年ほど勤めていました。そのきっかけとなったのは、当時営業の方が自宅に来られて、お酒の席で酌み交わす中で、父に「いい会社なんだよ」というお話をしていたことです。それがとても印象的で、「自分の会社をいい会社と言えるような会社って、どんなのだろう?」というところから、就職を決めました。

ところが、私の配属は業務部での経理担当になり、経理というものが何かも分からず知識もない中でやっていたのですが、興味を持てずに3年足らずで辞めてしまいました。

そこから好きなことを仕事にしたいと思い、学生時代にやっていたゴルフで好きなウェアのお店があったので、ゴルフウェアの販売をやっていました。

そこでは楽しく充実した毎日を送っていたのですが、ある時「うちも物を売っている仕事をしているんだ」という父の一言がありました。あてにされていなかった私が、父からそういう一言をもらった段階で、「私を頼るということはよほど困っているのかな」と思い、1年だけのつもりで家業を手伝うために職を変えました。

困っている父を助けたかった

単純に、「父が困っている」というところなんじゃないかなと思います。

少し綺麗事のようになってしまうのが残念なんですけれども、その当時も「父が困っていることだったら…」と素直に思っていた気がします。

入社前に準備した3つのこと

家業を継ぐと決めてから半年くらいの間に、すぐに3つのことをやり始めました。

1つ目は、30名あまりの社員と定期的に面談の場を設け、想いや意見を聞き始めました。2つ目は、当時は経営というものが全くわからなかったので、経営者の方がどういう想いを持ち、どういうことを考えているのかを学ぶために、異業種交流会に入りました。3つ目は、経営の基本知識をつけるために、学校に通い、勉強を始めました

代表になる直前には、社員を集めて「所信表明」をさせていただきました。この業界の知識があるわけでもなく、経営者として何かを学んできたということもなく、社員とも人間関係ができていない中で、「果たして受け入れてもらえるのだろうか」という不安が大きかったんです。

集まった際に、率直に、今会社が置かれている状況と、私が継がなければいけないと思った理由の上で、「何も持っていないけれども受け入れてくれますか?」というお話をさせていただきました。

 

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