元箱根ランナーの起業
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初心者にも始めやすいスポーツとして、老若男女問わず人気のランニング。
道具が要らず、いつでもどこでもできる手軽さが魅力的ですよね。
市民マラソンとして有名な東京マラソン2017では、その人気の高さから、参加倍率は約12倍だったそうです。
このような中で、ランニングの新しいあり方を提案する元箱根ランナーがいます。
大森英一郎氏は、箱根駅伝出場の経験を経て、後に起業。
ランニングと観光を結び付けたサービス「Runtrip」を立ち上げ、2017年3月24日、iOSアプリを公開しました。
駅伝は1分1秒の差が問われ、ストイックな競技というイメージがありますが、大森氏が提案するのは、「ランニングコースを求めて旅する形」です。
走ることへの価値観を全く別のものに変え、起業の道を選んだ大森英一郎氏ですが、この背景にはどのようなものがあるのでしょうか。
そこで今回は、「Runtrip」とそれを運営する株式会社ラントリップについてご紹介したいと思います。
「いい道を求めて旅をする」Runtripとは?
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近年、いかに速く走るかではなく、人との繋がりを求め楽しむことを目的に走る「ファンランナー」と呼ばれる層が増加しています。
株式会社ラントリップが提供するサービス「Runtrip」では、ファンランナーの増加に着目し、
いい道を求めて旅をする「ラントリップ」という新しい文化を発信しています。
潮風を浴びながら走るシーサイドコース
桜や紅葉など四季折々の景色を楽しむコース
仕事帰り仲間たちとリフレッシュしながら走るコース
など、魅力的に感じるランニングコースは人それぞれです。
Runtripでは、このようにランナーそれぞれが良いと思ったランニングコースを共有し、自分の目的に合ったコースを見つけることができます。
いわば、ランニングコースをシェアするランナーのためのSNSです。
元箱根駅伝出場選手が立ち上げたサービスということもあり、
コースのおすすめの時間帯や信号の配置や数、コースの起伏、街灯の様子なども確認できるなどランナーへの気遣いは万全です。
魅力的な道を求めて旅する形は、地域創生にも大きく貢献してくれそうですよね。
箱根ランナーから起業 その理由とは
出典:runtrip.jp
Runtripの代表である大森英一郎氏は、かつて法政大学陸上部の駅伝選手でした。
箱根駅伝にも出場経験を持つアスリートランナーです。
卒業後はリクルートグループに入社、その後観光系事業会社を取り扱う企業に入社します。
大森英一郎氏は観光業に携わる中で、地域創生の取り組みはどれも単発的なもので、根本的な解決に繋がっていないことに問題を感じていました。
そこで、ファンランナーたちの「知らない街や道を走ってみたい」というニーズを満たすことが、観光業の課題解決に貢献できるのではないかと思い立ちます。
かつて、記録に追われ走ること本来の楽しさを見失っていた大森英一郎氏が、再びランニングに触れるきっかけを与えてくれたのは街を楽しそうに走る市民ランナーだったそうです。
元箱根ランナーといえば、ランナーから一目置かれる存在でありますが、
市民ランナーの純粋に走ることを楽しむ姿をヒントに起業する大森英一郎氏の柔軟性や行動力は見習いたいものです。
また、地域創生の取り組みは全国に広がりつつありますが、継続的な地域活性化を実現できているところはまだまだ少数派です。
ランナーたちがそれぞれにお気に入りのコースを発信することは、地域の人が改めて地元の魅力を知るきっかけを与えてくれるでしょう。
”道”という観光資源
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実は、道を観光資源に成功した事例が日本にはあります。
瀬戸内しまなみ街道では、 サイクリングの絶景スポットとして訪日客の誘致に成功しました。
訪日客誘致成功の背景には、環境整備や地元の人の理解、サイクリングイベントの開催など地道にアプローチを続けたことがありました。
Runtripでも、今後訪日外国人観光客に向けたアプローチを考えているそうです。
各地域の観光客への理解が必要にはなりますが、Runtripが訪日事業の盛り上げ役となり、日本の魅力を発信してくれることが期待できます。
自然、気候、文化、食事など魅力的な観光資源が日本には多く存在します。
今回ご紹介した”道”に限らず、なんでもない日常にあるものが観光資源になることも十分にあり得るのです。
あなたの身の回りにも多くの観光資源が眠っているかもしれません。