パワーナップ? 職場で昼寝するの?
出典:www.photo-ac.com
「昼寝」を導入している企業がある。
そんなウワサを耳にしたこと、ないでしょうか?
マインドフルネス、瞑想など、最近のビジネスは身体と精神の健康に気を使うようになってきましたね。
「従業員の健康を守る!」という立派な理由も当然あるでしょうが、その背景には「生産性の向上」があります。
健康メソッドのいくつかに、科学的に生産性向上の効果を認められてきているのです。
今回紹介する昼寝、「パワーナップ」もそのうちの1つです。
従業員の生産性向上に真剣なGoogleはすぐさま導入しました。パワーナップのための設備すら入れたほどです。
いきなり企業レベルで導入できなくても、個人レベルでは取り組んでいきたいパワーナップ。
この記事ではパワーナップ導入のメリット、やり方、導入事例を紹介していきます。
パワーナップとは
パワーナップとは、15~20分程度の昼寝のことです。
「パワーアップ」と「ナップ(昼寝)」を組み合わせた造語となっています。
この造語をつくった、コーネル大学の心理学者ジェームス・マース氏によると、パワーナップをとることで集中力や記憶力がアップするそうです。
「え、20分程度寝たくらいで変わる?」
という方のために先にメカニズムを軽く解説しておきます。
キーワードは2つ。
「サーカセミディアンリズム」と「レム睡眠/ノンレム睡眠」です。
パワーナップとサーカセミディアンリズム
まず「サーカセミディアンリズム」から解説しましょう。
サーカディアンリズムはご存知でしょうか?
人間の身体に備わっている体内時計みたいなもので、大体24時間周期くらいにセットされてます。
このサーカディアンリズムによって、寝るべき時間に眠気がやってくるのです。
さらにこのサーカディアンリズムに加えて、12時間周期のサーカセミディアンリズムと呼ばれるものがあります。
これは大体昼食後、午後2-4時あたりに眠気が来るとしているものです。
パワーナップはこのタイミングで睡眠をとることで、一度脳をリセットしよう、という試みなわけですね。
パワーナップとノンレム睡眠
次に「レム睡眠/ノンレム睡眠」。
端的に述べると、レム睡眠は「身体を休ませる睡眠」、ノンレム睡眠は「脳を休ませる睡眠」です。
このレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しながら、人は睡眠を続けます。
ノンレム睡眠の方が比較的浅い睡眠なので、ノンレム睡眠の時の方がスッキリ起きることができます。
「90分周期で起きると良い」という言説はレム睡眠とノンレム睡眠がセットで90分くらいであることから来ているのです(個人差あり)。
パワーナップはこのうちノンレム睡眠の時、さらに言えばノンレム睡眠の中でも軽い睡眠の段階で起きる手法です。目的は「脳を回復させること」なのでレム睡眠まで行かなくてもいいわけです。
その時間が大体15-20分くらいになります。
30分で起きようとすれば、非常に苦しみながら起きることになってしまいますので、注意しましょう。
パワーナップ導入のメリット
パワーナップ導入のメリットについても紹介しておきましょう。
パワーナップのメリット① 脳が活性化し、集中力や記憶力がアップする
パワーナップを導入すれば、午後からも集中力や記憶力を高く保つことができます。
作業効率が下がるのを防ぐことができるのです。
脳が活性化しているので、クリエイティブな能力も向上します。
脳を休憩させたわけなので、当然といえば当然です。
疲労した脳のまま、あと4、5時間も働くくらいなら、20分の昼寝時間をとってリフレッシュした脳で働きたいですよね。
ちなみにパワーナップのこの効果はNASAのレポートでも証明されています。
パワーナップのメリット② ストレスを軽減できる(精神的な健康)
疲労したまま脳を使い続けるとストレスが溜まっていきます。
成果も思うように上がらないので、さらなるストレス源になっていくでしょう。
パワーナップを導入することで、このようなストレスを軽減できます。
精神的な健康にもパワーナップは有効なのです。
パワーナップのメリット③ 病気の予防になる(身体的な健康)
パワーナップ導入のメリットは精神面だけにとどまりません。
睡眠による効果として高血圧予防ができるとされています。
その日の仕事を効率的に進められるだけでなく、人生も健康に過ごせるメソッドがパワーナップなのです。
パワーナップのやり方
パワーナップの基本はカンタンです。
昼寝の時間(午後1時-午後3時くらい)に15-20分ほどの睡眠をとる。
ただこれだけです。
「もっとコツとかないの?」という人向けにいくつかパワーナップ・テクニックもまとめておきます。
参考にできる部分はどんどん取り入れてみてください。
① できれば姿勢はヨコで!ムリならデスクに顔を伏せて
パワーナップでもヨコになって眠ったほうが最大の効果を得られるとされています。
後に紹介しますが、Googleではそのための設備を導入するほどです。
一方で、オフィスでヨコになれるスペースを作るのは難しいという意見もわかります。
そんな人は、デスクで顔を伏せてパワーナップです。
できる限り音と光が邪魔してこないようにしましょう。
② 寝る前にコーヒーを飲む(カフェイン摂取)
カフェインが効いてくるのは摂取後、約20分。
なんとパワーナップと同じくらいの時間です。
そのためパワーナップの前にコーヒーなどでカフェインを摂取しておくと、スッキリ起きられるとされています。
③ スケジュールに組み込んで同じ時間・同じ環境で実行
パワーナップはできる限り毎日同じ環境・時間で習慣的に実行した方がいいです。
特に企業において実行する場合は、スケジューリングして仕組み化しておいたほうが感情面での軋轢も避けられるでしょう。
④ 起きた後は軽いストレッチ・顔洗いを!
パワーナップの後は、軽いストレッチで身体をほぐすと身体的にもリフレッシュして仕事にのぞめます。
冷たい水で顔を洗うのもありでしょう。
パワーナップ導入の事例
最後にパワーナップに導入事例を3つ紹介しておきましょう。
生産性を高める取り組みで名高いGoogleがパワーナップを導入しないはずがありません。
Googleでは「EnergyPod」というパワーナップ用のポッドが用意され、そこで眠ることができます。
また、バリスタのいるコーヒーバーなども用意されています。
憧れの職場環境ですね。1ヶ月位行ってみたいものです。
Uber
カーシェアで世界に名を轟かせたUberでもパワーナップが導入されています。
Uberでは本社にナップルームとよばれるパワーナップ用の部屋が用意されています。
オフィスを作る段階からデザインされていたようです。
これからオフィスを持つスタートアップや移転を考えている方たちはナップルームの導入を考えてみてはどうでしょうか?
GMOインターネット
最後は日本の企業からも1つ。
GMOインターネットグループでは、「おひるねスペース GMO Siesta」を提供しています。
GMOインターネットグループでは2011年からマッサージ・おひるねスペース「GMO BALI Relax」を開設しており、それをさらに拡げる形でGMO Siestaを設けました。
日本にも早い段階からパワーナップに気づき、導入していた企業があったのですね。
「どうせアメリカの文化だろ」という言い訳はできません。
パワーナップで午後からもスッキリした頭!
「仕事中に昼寝? けしからん!」
結局は「生産性の向上」か「伝統的なプライド」、どっちをとるかです。
業務形式によっては、一律にパワーナップを導入するのは難しいかもしれませんが、やり方はいくらでもあるはずです。
Googleはすぐさま取り入れました。
スペインでは長くシエスタが行われています。
パワーナップは「できる」もので、「効果的」なものなのです。
導入すれば午後からもスッキリした頭で仕事できます。
さあ、どうしますか?