日本のモノヅクリを支える中小企業

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日本がモノズクリ大国として世界でも確固たる地位を築いている今日ですが、その原動力は町工場などの中小企業に支えられていると言われています。
一般的に中小企業とは、資本金3億円以下で正社員が300人以下の会社と定義されています。全国には385万社もの中小企業が存在し、日本にある会社の99.7%が中小企業と言われています(平成24年度経済センサスー活動調査より)。
 
中小企業の中でも製造業の技術力が高いと言われてきましたが、新興国の成長で製造業の中小企業が苦境に立たされる場面も年々増えて来ています。
 
独自の技術を持つ中小企業は今までの下請けから脱皮し、自社開発の製品を製造・販売する道を模索している企業もあります。しかし折角、高い品質の製品を開発しても、中小企業が一番苦労するのが、販路を見付けることです。
 
特に小売業者へ販路を新規開拓するノウハウが無く、逸品を作っても消費者に届かないケースが見受けられます。
この事例は日本に限らず、世界中の小規模メーカーに共通する問題点でした。この点に目を付けたスタートアップが、ミラノに本拠を置くIwaboo社です。
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出典:www.iwaboo.com/

B to Bを繋ぐプラットフォーム

Iwaboo社のサービスは簡単に言うと、小規模メーカーの商品の販路を開拓し、彼らの製品を消費者の目に届くようにすることです。小規模メーカーはIwaboo社と契約し、販路を開拓してもらいます。
 
Iwaboo社のキャッチフレーズは、”You make it, we sell it(あなたがモノを作り、我々がそれを売る)”です。このキャッチフレーズが、Iwaboo社の活動の全てを物語っています。
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出典:www.iwaboo.com/
扱う製品はIT製品からハードウェア製品まで多岐に渡っています。一見、風変わりな製品でも、消費者のニーズにマッチするものはあります。しかしこれらの製品の多くは、消費者の目に触れることなく市場から退場して行きます。
 
Iwaboo社の創業者Ivan Marandola CEOは、メーカーが製造する75%の製品は、お店の棚に飾られることないと言います。消費者のニーズを捉え、且つ高品質の製品が日の目を見ずにいることに、Marandola CEOはビジネス・チャンスを見出します。
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出典:www.linkedin.com
 

数々のスタートアップを立ち上げたMarandola CEO

イタリアのトリエステ大学を卒業したMarandola CEOは、1999年にJ.P.Morgan社でアナリストとしてキャリアをスタートします。
その後、ハーバード・ビジネススクールで学んだMarandola CEOは、企業のトップを歴任し、さらにスタートアップを次々と立ち上げます。活躍の場は幅広く、メディカルビジネスからホテル運営まで経験します。
 
そして2012年にIwaboo社を立ち上げます。その際、共同創業者にPatMossarizia 氏迎えます。マーケティングのプロであるMossa氏と組むのは、Iwaboo社で4社目です。Marandola CEOの発想力とMossa氏のマーケッティング力が相乗効果を生み、Iwaboo社は大きく発展します。
 
現在では、オンラインとオフラインに数々の販路を開拓し、小規模メーカーの製品を消費者に届きやすくしています。AmazonやLAZADAなどのオンラインショップは勿論、ハロッズやバーニーズ・ニューヨークなどの実店舗にも商品棚を確保しています。販路の数は92まで増えており、様々な製品に対応出来るようになっています。
 
サンフランシスコにも拠点を新設したIwaboo社は、小規模メーカーへ提供するサービスを増やていきます。販価戦略の提案やアカウント管理、さらには在庫管理までサービスの幅を広げています。

消費者に受け入れられる高品質ニッチ製品

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出典:www.woodd.it
Iwaboo社と契約をして販売を拡大した例を1つ紹介します。ミラノにあるWOOD’D社は、木製のケースを製造する会社です。
創業者のAndreaとStefanoは高い技術を持った職人でしたが、自分達の製品をどう売れば良いかわかりませんでした。Iwaboo社のことを知った2人は、Iwaboo社に販売を任せ、自分達は質の良い製品を作ることに専念します。
 
ハンドメイドでカスタマイズされたWOOD’D社のスマートフォンケースは、次第に注目されます。Iwaboo社が販路を開拓し、マーケティングを行った結果です。
 
2012年に創業したWOOD’D社は、当初年間4万ユーロ(約460万円)の売上しかありませんでしたが、2015年には70万ユーロ(約8,000万円)の売上を記録するまでに成長します。
このように小規模メーカーが、モノズクリに集中出来る環境を提供するのが、Iwaboo社の一番の特徴です。
 
取引先を順調に増やすIwaboo社は、世界で最もアクティブなシード投資ファンドでもある“500 stratup”からも出資を受けました。小規模ながらも活動地域を5大陸に拡大しているIwaboo社の今後の一手に注目です。
 

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