リオ・オリンピックでは至る所に億万長者
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リオ・オリンピックでの日本選手たちの活躍に日本中が湧きかえった今年の夏でしたが、世界から集まるトップアスリート達の顔ぶれも錚々たるものでした。
世界的に著名なアスリートたちは、巨額の年収を得ています。ある調査では、リオ・オリンピックに参加した選手の年棒ランキングが発表されています。
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1位はテニスのロジャー・フェデラーで、推定年収は50億円を超えています。10位の李ナ(中国・テニス)でも20億円に迫る勢いです。金額を見てお気づきの方も多いと思いますが、トップアスリートの年収の大部分は本業である大会で勝ち取る賞金ではありません。彼らの年収の大部分は、スポンサーとの契約金です。
大会賞金が高額ではないイメージがある陸上のウサイン・ボルトの例を挙げます。今年のボルトの年収は推定約35億円と言われていますが、陸上の賞金は約3億円に留まり、残りの32億円はスポンサーからの収入です。
トップアスリート達のスポンサー料は年々高騰を続けています。では、それほど契約金の高くないスポーツアスリートと契約するにはどうすれば良いでしょうか?エージェントを通じた契約交渉は時間も労力も掛かります。もっと簡単に、身近なスポーツアスリートと契約する方法は無いのでしょうか?それを可能にした人物がいます。ニューヨークに拠点を構えるOpenSponsorship社を起業したIshveen Anand氏をご紹介します。
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インドでスポーツエージェントとして活躍
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インド系イギリス人のAnand氏は、イギリス・マンチェスターで生まれ育ちます。オックスフォード大学で経済学とマネジメント学を学んだAnand氏は、ロンドンにある小売業界を専門とする小さなコンサルタント会社で、社会人としての第一歩を踏み出します。その会社で2年半を過ごしたAnand氏は、自分のルーツであるインドへ向います。
インドへ渡ったAnand氏は、デリーを本拠地とするスポーツエイジェンシー・Commune社に転職します。そしてインドの有名なクリケットチームや、F1に参加したForce Indiaなどのエージェントを勤めます。Anand氏の活躍の場は、国境を跨ぐスポンサーシップ、特にインドとイギリス間のスポンサーシップ契約でした。
ニューヨークで仕事の非効率さを実感
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2国間でバリバリと活躍していたAnand氏に転機が訪れます。ニューヨーク在住の男性と結婚をします。ニューヨークに移り住んだAnand氏のもとには、スポーツエージェントの補助的な仕事が舞い込みます。例えばトルコのサッカーチームの情報を集めたり、コロンビアのサッカー選手の個人的な趣味を見つけ出したりするような内容でした。
このような仕事をAnand氏は、非常に非効率だと考えます。特にニューヨークに住むと、様々な専門的な職業の人間が、その領域に特化した仕事をしているのと比較して、自分の行っていることが何でも屋的な前近代的なものと感じます。
そこでAnand氏が考えたのが、ITの力を借りて自分の得意分野であるスポーツエージェントの仕事が出来ないかということです。そしてもっと手軽に小規模の企業でも、スポーツアスリートをスポンサードする仕組みを考えたいと思います。例えば、その地域でバーを何件か経営しているオーナーが、事業拡大のための“おらが街のスター”とスポンサー契約を結べないかというコンセプトです。
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このアイデアを実現させるために、Anand氏はOpenSponsorship社を2014年に立ち上げます。OpenSponsorship社は、スポーツアスリートやチームが自分達のスポンサーを集うウェブサイトを提供します。有名無名かは関係なく、スポンサーが欲しい人やチームは自由に登録することが出来ます。
OpenSponsorship社はマッチメークの場を提供するだけで、契約や交渉は当事者同士が行うシステムになっています。この気軽さがウケて、利用者は次々の増加します。
Forbes社30 under 30に選出される
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現在では、2,000以上ものスポーツアスリートとチームが登録するまでに成長します。Anand氏の経歴にも影響されていると思いますが、40か国以上からの参加者、スポーツの種類も50競技を超えるダイバーシティな内容のものとなりました。スポンサー料も設定も幅広く、US$5000(約50万円)からUS$1000万(約10億円)までとなり、より多くの人々がスポンサー契約を結べる敷居の低いものです。
OpenSponsorship社はマッチメークの場を提供するだけというスタンスから、コミッションも契約金額の3%と低率に抑えられている点も特徴の1つです。
このような斬新な仕組を生み出したAnand氏は個人として評価も高く、Forbes 社30 under 30 (30歳以下の注目の30人)に、スポーツ部門で選出されます。
無限大の可能性を持ったOpenSponsorship社とAnand氏の今後の飛躍に注目です。