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目標にコミットしきれない苦しみ
出典:gahag.net
「目標を定める」という経験は誰にでもあるものです。
ビジネス、スタートアップ、勉強、部活など、さまざまな文脈で私たちは目標を設定します。
チームや部署、全社で目標を定めていることもあるでしょう。
このように私たちは生きていくうえで多くの目標を定めることになります。
しかし、「目標にコミットする」というのはとても難しいことです。
例えば、「A地区での売り上げを30%アップする」という目標を会社で定めていたとします。
しかしながら日々の業務は依然として存在していて、また急に飛び込む案件もあるでしょう。
あるいは、別の事業機会を得てそちらにリソースを割いてしまうかもしれません。
結果、目標に十分コミットすることができず、達成も成長もできずに終わってしまうことになります。
そんな「目標にコミットしきれない苦しみ」を解消する目標管理フレームワークがOKR(Objective & Key Result)です。
OKRは1つの目標とその目標の3つの指標にフォーカスできる手法になります。
シリコンバレーでIntelによって開発され、GoogleやLinkedIn、日本ではメルカリなどでも実施されているOKR。
今回はOKRの意義とその使い方について学んでいきましょう。
OKR(Objectives & Key Results)とは?
OKRはObjectives & Key Results、目標と主な結果を表したものです。
成し遂げたい1つの目標(O・定性的)に対して、その目標が実現できたかを測る3つ程度の結果(KR・定量的)を設定するのがOKRの基本となっています。
目標を設定しても、あまり目標に繋がっていない行動をとってしまうのが人の性。
また企業では、どうしても目標に直接的影響のない業務も出てきてしまうでしょう。
このような目標達成の障害に対して上手く対策できているのがOKRというシステムです。
まずはOKRの基本的な使い方を見ていきましょう。
OKR設定の3ステップ
OKRの準備は以下の3ステップで完了します。
ステップ① OとKRを設定する
まずはOKRの根幹をなすOとKRの設定です。
O:成し遂げたい目標
Oにはあなた(のチーム・会社)が達成したい目標を入れます。
ここでは最も達成したい目標を1つだけ設定します。
<Oの条件>
・1文で表現する
・定性的な(具体的な数字を用いない)目標にする
・野心的で人を鼓舞するような内容にする(→ ワクワク感)
・1ヶ月、四半期(3ヶ月)などの短期間で設定する
・チームが独立して達成できるようにする(達成不可を他者のせいにできない)
まとめると、
「四半期で達成を目指す、ワクワクするような、定性的な目標」
となります。
<Oにできる例>
・素晴らしいMVPを立ち上げる
・A地区での法人向け文房具市場を勝ち取る
KR:主な結果
Oでは定性的で抽象的な目標を定めました。
KRでは「どのようになればこのOを達成できたとわかるのか」を定量的に表したものを定義します。
数は3つ程度、あまり多すぎるとリソースが分散してしまいます。
<条件>
・定量的(測定可能)な目標を設定する
・Oを満たしているか、を測定できるものにする
・ストレッチ・ゴール|自信度10分の5を目指して設定する
ストレッチ・ゴールというのは、「達成できるレベルより少し上の目標」のことです。
これを設定することで、より良い成果とより速く高い成長が期待できます。
50m走の時に、50mラインではなくその先の55mラインをゴールとして考えたほうが、いいタイムが出るのと似たロジックです。
自信度というのは、そのまま自身の度合いのことです。
10分の1なら「達成は絶望的」、10分の10なら「確実に達成できる」、そしてOKRの理想である10分の5は「難しいが、ベストを尽くせば達成できる」レベルのものを指します。
継続的なOKRの調整はこの自信度を指標に行っていきます。
<KRにできる例>
・成長率
・エンゲージメント
・売上
・性能
・品質
ステップ② “4つの四角形”をつくる
ステップ②と③はOKRを習慣化するための準備です。
ここで導入する“4つの四角形”は、『OKR シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法』で紹介されているもので、以下の4項目からなります。
・今週の優先事項
目標に向けてやるべき、特に重要な仕事を3~4つ挙げます。今週すべきことを全て書くわけではありません。
この項目のチェックが、OKRで目標にコミットできているかの確認になります。
・今後4週間
チームが知っておくべき今後の予定を書きます。
あらかじめ知っておくことで、それに対する準備や貢献を促します。
・OKR自信度状況
定めたOKRとそれぞれのKRに対する自信度を書きます。
1週間ごとにその自信度の上下を確かめ、その理由を分析しましょう。
・健康, 健全性指標
最後の項目はOKRの補填システムともいえるもので、「OKRに定められてはいないが重要である要素」について書きます。
新規顧客開拓をOKRとして設定していても、既存顧客との関係を放置するわけにはいきません。
しかしフォーカスすべき要素ではないので、計測は簡単に(例えば、赤・黄・青の3段階で)行います。
この4つの四角形をベースにして、次のステップで設定するミーティングを実施しましょう。
ステップ③ ミーティングを設定する
OKRのためのミーティングは最低でも1週間に1回実施しましょう。
『OKR シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法』では、毎週月曜日に1時間のチェックイン・ミーティングが提案されています。
このミーティングで「今週の優先事項」や自信度評価を更新したりしましょう。ただし、OKRでは期間中にOの部分を修正することはしないよう推奨されています。
実施フロー
準備ができたら、あとはOKRに沿って進んでいきます。
以下に簡単なフローを示しました。参考にしてみてください。
OKRの魅力-「生きた目標との対話」
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OKRの基本的な使い方について説明してきました。
OKRには「部門ごとに階層化」「Googleでのアレンジ」など、より応用的な使い方も存在しますが、これらに関しては一度おいておきましょう。
これまでの内容をあなたのチームや会社でアレンジして用いればいいのです。
というわけで、ここからはOKRの持つ魅力について考えていきましょう。
OKRが他の目標管理手法と際立って違っているのは、「達成度100%を求めない」点です。
これはKRをストレッチ・ゴールにしている、Oが定性的で感情的な目標である、などの特徴に由来しています。
OKRは1つの目標を定め、それに集中してコミットするという考え方ですが、実はこの目標は比較的柔らかいものです。
そもそもOは期限設定のあるミッション・ステートメントのようなもので、客観的に一意に定まるものではありません。
Oの達成結果を測定するためのKRは定量目標ですが、自信度評価によって修正することができます。
これらの特徴から、「OKRにおける目標とは生き物である」と考えることができます。
そして、OKRを実施するということは「目標と対話する」ことなのです。
他のフレームワークでは、目標は初めに設定された後、置物のように存在し、毎週毎週その目標自体について話し合うことはありません。
しかしOKRでは、毎週のミーティングで目標について考え、そのための行動を吟味します。
これが「目標との対話」です。
目標は対話の中で、主観的に定義されていくことになります。
人間が他者との関係の中で定義されるように、OKRはチーム・人との関係で定義されるのです。
OKRは目標を「より活動的に」「より身近に」「より成長を促進する」ものに変えるフレームワークです。
少し詩的に表現すると「目標に血を通わせる」フレームワークなのです。
OKR-目標に寄り添い、成長する
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抽象的なお話をしてきましたが、そろそろ風呂敷を畳んでいきましょう。
OKRとは、1つのO(目標/定性的)と3つくらいのKR(Oを計測する主な結果/定量的)を定めることで、1つの目標にコミットできるようにする手法でした。
多くの場合、この目標は四半期で達成できる、野心的で難しいがベストを尽くせば手が届くような目標です。
OKRではこの目標を管理するために「自信度」や「4つの四角形」「毎週のミーティング」を導入します。
OKRは高頻度の話し合いによって、その対処法や指標が変化していきます。
この取り組みによって目標をより身近なものにしているのです。
「目標」とは本来、私たちを鼓舞し、成長させてくれるもの。
OKRはこのような目標のもつ本来の性質に着目したフレームワークなのです。
さっそくOKRを設定してみよう
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OKRは組織やチームだけでなく、個人でも使うことができます。
日々、時間がないと悩んでいるあなた。
1時間くらいを確保して、カフェや川辺、公園などに繰り出してみましょう。
次々と舞い降りる「すべきこと」からほんの少しだけ目を逸らし、「成し遂げたいこと」が何なのか、自分の中に眠っている目標とは何なのかを考えてみてください。
きっとOKRがあなたの眠っていたやる気を引き出してくれます。