既存ビジネスモデルを変える!選択肢の幅との戦い

人と違うことは怖いですか?ビジネスモデルを全て変えよ

❚Adobe社PDF事業のビジネスモデル(3:05~)

もう1つ事例をご紹介しましょう。皆さん、PDFをご存知だと思います。元々はパソコンとプリンタを繋ぐ技術です。
故スティーブ・ジョブズが作らせたのですが、彼はとても綺麗なフォントにこだわりました。パソコンの画面上で綺麗なフォントを使いたいと同時に、プリントアウトもしたかった。ですからパソコンとプリンタを結ぶ「言語」が必要でした。そこで出てきたのが、PostScript言語です。この言語を介することで表示された物が綺麗に印刷されるようになります。ではどうやって儲けたのでしょうか。
PDFではターゲットを2つに分解しました。1つは読み手、もう1つは作り手です。読み手には無料でReaderを配り、ユーザーを獲得しました。作り手は読み手に比べて少数です。作り手にはAcrobatという有料ソフトを提供しました。
俗に言う、フリーミアムモデルです。2サイド・プラットフォーム型ビジネスモデルで売上1500億円、利益500億円を上げている超高収益な事業を創り出すことに成功しました。
従来の収益化の考え方では、どういうお客様に対して、どういう価値を提供し、どれくらいの値段にし、どれくらいのコストでやるのかが中心でした。バリューチェーンという言葉もあります。研究開発から販売に至るプロセスの中で、企業はどういう機能を揃えないといけないのかを考えることがこれまでの経営戦略でした。
一方、現代の収益化の考え方は、それがどんどん拡がっています。現代ではユーザーだけでなく、クリエイター(制作者)、ディストリビュータ(運び屋)も含め、全員が得しなければいけません。
バリューチェーンではなく、バリューネットワーク(社内・社外・競合他社)をうまく構築しなければならないのです。そこから収益を上げるには、「フリーミアムモデル」や「替え刃モデル」や「広告」が有効です。ビジネスモデルのサービス化とオープン化と言えるでしょう。すなわち、選択肢の幅広さとの戦いです。
ビジネスモデル全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)

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