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世界中で拡大する華僑・華人コミュニティ
歴史的に中国人は世界中の至るところへ行き、その地で根を下ろし定住します。海外を旅していると、こんな辺境までに中国系の方々が経営しているチャイニーズレストランがあるのかと感心することもあります。
出典:mery.jp
海外に定住する中国系の人々にはいくつかの傾向があります。まず中国に帰国するという選択肢は、初めから持っていない人が多い点。次に比較的迷うことなく定住先の国籍を取得する点。そしてある程度、同胞が集まると同じ地域に固まって住むことです。
日本では中国にルーツを持ち海外に定住する人々を華僑と言いますが、中華圏ではその認識は少し違います。華僑とは中国国籍を持ったまま海外で生活する人間。一方、中国にルーツを持つが、他国の国籍を取得した人は華人と呼ばれます。
海外で至る所に点在する華僑・華人達ですが、その人口が多いのは東南アジアとアメリカです。中国から遠く離れたアメリカには多くの中国系住民がいますが、その中でもカルフォルニア州には100万人以上もの中国系住民がいます。その次に多いのがニューヨーク州で55万人を数えます。
ニューヨーク市の一部の小学校は、旧正月をチャイニーズ・ニューイヤーとして休みになる学校もあります。華僑・華人コミュニティの規模も大きく、その中から祖国中国に貢献したいと考える若者も出てきています。
中国の農村地域や発展途上国で、教育を受けられない子供に支援を行う活動をしているJennifer Chen氏を紹介したいと思います。
出典:www.drjenniferchen.com
3歳で渡米、ニューヨークの中華・華人社会で育つ
Chen氏は中国・南京で誕生します。3歳の時に渡米し、ニューヨーク周辺で幼少期を過ごします。ニューヨークやその隣接するニュージャージーには、大規模な華僑・華人コミュニティがあり、Chen氏はこの中で頭角を現します。
アイビーリーグの名門ペンシルベニア大学ウォートン・スクールに進学したChen氏は、社会学者・Emily Hannum教授の下で学びます。Hannum教授の研究の1つに、中国農村部の教育についてというものがありました。
Chen氏はHannum教授のもと、中国北西部の農村地域でどのような教育が施されているか、フィールドワークを行います。その過程で、子供達が望んでも教育を受けられない現状を目の当たりにします。祖国での教育環境にショックを受けたChen氏は、この現状を何とかしなければならないと考えます。
Chen氏は上海でコンサルティング会社、北京で米国商工会議所の出先機関で経験を積みます。そして2008年、同じく中国系のJoyce Meng氏とGivology社を起業します。
出典:twitter.com
自分が共感出来る活動や個人に寄付が出来るシステム
非営利団体であるGivology社のコンセプトは、中国の農村部を始め、発展途上国で教育を受ける機会に恵まれない子供達に寄付をして、教育の機会を創成することです。
Givology社ならではルールとして、寄付を行う人はGivology社が掲げるプロジェクトの中から、自分が賛同するプロジェクトに寄付が出来ることがあります。
中国農村部でのリーディングクラス、グアテマラでの給食プロジェクト、タンザニアに文具を届けるプロジェクトなど、様々なプロジェクトがラインナップされています。寄付を希望する人は、自分が好きなプロジェクトに直接寄付出来るので満足感が高い点が、参加者に好評を得ています。
出典:http://www.givology.org
また海の向こうにいる子供を特定して寄付をすることも出来ます。Givology社が発展途上国で頑張っている子供を紹介して、共感する人々はその子供を特定して寄付が出来る仕組みになっています。
100%ボランティアで運営される組織
すでにGivology社は3万6千人以上の人々から、US$50万(約5,250万円)以上の寄付金を集めています。
Givology社は中国系のスタッフが多く介在していますが、その活動の対象は世界の発展途上国に満遍なく広がっています。
無報酬の100%ボランティアで運営されているクリーンなイメージと、その独自な寄付の方法で、Givology社の活動はさらに拡大していくでしょう。