近年、多くの企業が「イノベーション」という言葉を口にしています。
では、イノベーションを起こすためには、どういったことが必要なのでしょうか?
実際のイノベーション事例をもとに、イノベーションに必要なポイントを探っていこうと思います。
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イノベーションとは?
出典:www.forbes.com
イノベーション(innovation)とは、本来「革新」を意味する言葉です。
オーストリアの経済学者であるヨーゼフ・シュンペーター氏が、1912年に発表した著書の中で「イノベーション」という言葉を使ったことをきっかけに、社会科学の分野における用語として認識されるようになりました。
イノベーションは「技術革新」と訳されることが多いため、新しい技術の発明だけを指すと思われがちです。
実際には、市場や資源、生産方法やものの考え方など、ありとあらゆる場面において今までになかった新しいものが取り入れられることをイノベーションと呼びます。
イノベーションとは、こうして世の中に新しい価値を提供し、私たちの暮らしに大きな変化をもたらします。
イノベーション事例
出典:ww.apple.com
イノベーションの例として、イメージしやすいのはApple社の製品だと言えます。
「既存のものから引き算をする」という考えのもと、故スティーブ・ジョブス氏を筆頭に、世界があっと驚く製品を次々と発表してきました。
とくにiPhoneは、キーボードがなく、画面を指でタッチして操作するという従来の携帯電話らしからぬ特徴を持ちながら、今やスマートフォンの代表格として世界中の人々に愛用されています。
アイディアひとつでイノベーションを起こしている例もあります。最近よく見られる成果報酬型の広告もその一例です。
従来の求人広告媒体は、広告を掲載する際に料金を支払うのが基本でした。しかし、それで求人効果が得られなければ、掲載料は水の泡となってしまいます。こうしたリスクを解消し、広告掲載へのハードルを低くしたのです。
出典:girlschannel.net
アイドルグループであるAKB48も、ある種のイノベーションを起こしたと言えます。「会いに行けるアイドル」というコンセプトのもと、従来であれば手の届かない存在だったアイドルをより身近に感じられるような形で売り出しています。
さらに、ファンによる人気投票の結果次第で活躍できるメンバーが決まるというのも、今までになかった手法です。自分が応援することでお気に入りのメンバーの将来が変わるため、追いかけ甲斐があるという点も魅力的なのでしょう。
こうしたイノベーションを起こすには特別な才能が必要だと思われがちです。しかし、実際のイノベーション事例を並べてみると、いくつかの着眼点があることが見えてきます。ここでは、そのうち3つのポイントをご紹介します。
イノベーションの3つの着眼点
⒈予想外のできごとをものにする
ある目的に向かって進んでいても、予想外のできごとに直面することは多々あります。
そんな予想外のできごとをいかに観察し、分析した上で対応できるかが、イノベーションを起こせるか否かのカギとなります。
例えば、情報システム製品を扱うIBMは、科学計算用として売り出していたコンピュータを給与の計算用に使っているケースがあることを知り、企業会計用のコンピュータとして設計し直したことで業界トップの座につきました。
予想外のできごとに悲嘆せず、そこから何かヒントを得ようとする姿勢がイノベーションに繋がるのです。
⒉理想と現実のギャップを埋める
「こうだったらいいのにな」と思い描く理想があっても、現実には理想とは程遠いということも少なくありません。
この「こうだったらいいのにな」という想いこそが、イノベーションを起こすきっかけになるのです。
先ほどご紹介したジョブセンスも、企業の「無駄な広告費は支払いたくないな」という考えを上手く解決しています。
⒊ものの捉え方が変わる瞬間を見極める
仕事の締切まで残り1時間となったとき、「まだ1時間ある」と思っても「もう1時間しかない」と思っても、残されている時間そのものは変わりません。
たとえ目の前にあるのが同じものであっても、とらえ方が変わった瞬間にイノベーションのチャンスを掴むことができるのです。
例えば、最近では「安いものを大量に」という消費スタイルの陰に「少し値が張っても良いものを」という価値観が芽生えつつあります。
ここに目を付けたのが、コンビニ各社です。こだわりの食材を使ったスイーツなどがお手軽に楽しめるとあって、「自分へのご褒美」を求める客層に受けています。
日本企業のイノベーションに必要な3つのこと
出典:www.nesta.org.uk
日本企業ではイノベーションが起こりにくいと言われています。
その原因として、技術は生み出せても新しいビジネスの仕組みづくりが上手にできていないこと、新しいアイディアを潰す傾向があることが挙げられます。
日本企業は「リスクを取ったほうが損をする」という発想になりがちで、失敗をせずに過ごしていたほうが順調に昇進できる傾向があります。
そのため、既存ビジネスにマイナスの影響が出てしまうことを極端に恐れ、新しい発想を導入しないことあります。会社の制約などにばかり気を揉んでしまい、十分に力を発揮できていない人材が山ほどいるのが現状です。
出典:ja.y8.com
日本企業がイノベーションを起こすためには、まず、こうした目に見えない制約を取り払うことが重要です。
新しいビジネスの仕組みを取り入れるためには、従来の価値観にとらわれず、柔軟で自由な発想を持たなければなりません。
その上で、社内制度として変えるべき点には、改革に向けた意見出しをすることが必要になってきます。
企業の中で凝り固まった制度を変えてみることで、新しい体制がつくられていくことでしょう。
そして、新しいビジネスの仕組みによって、ユーザーのニーズだけでなく潜在意識(ウォンツ)を見つけ出していくことが最終的な課題となります。
イノベーションは、そもそもユーザーにとって必要なものでなければ受け入れられません。
さらに、ユーザーが心のどこかで「ほしい」と願っているものを見つけて提供できれば、それは何ものにも負けない強力なイノベーションを起こすカギとなります。
イノベーションまとめ
いかがでしたか?
「イノベーションを起こすのは難しそうだ」と感じた方は、もしかすると既存の価値観に縛られてしまっているのかもしれません。
身近なところで「もっとこうなればいいな」と感じることがあれば、チャンスです。
ぜひ、日常の些細なことにも目を向け、イノベーションを起こせないだろうかと考えてみてください。世界を変える意外な発想が生まれるかもしれません。