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最高品質を生み出すためのフレームワーク
今日本の製造業界はピンチに立たされています。世界的な不況、消費者意識の変化、外国の競合他社の巨大化など、様々な要因が複雑化する現代では大きな原因を絞ることは難しく、だからこそ困難を克服することが難しくもあります。
しかし、どんなに追い込まれたとしても、日本が作る製品の品質は今なお世界トップクラスであることは事実です。
今回はそんな日本の品質を世界一に導いた、製造業の現場では当たり前に使われているフレームワーク「フィッシュボーンチャート」についてご紹介します。
日本の品質管理「QC七つ道具」
出典:www.gratisography.com
「QC七つ道具」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。QC七つ道具とは、①フィッシュボーンチャート(特性要因図)、②チェックシート、③ヒストグラム、④散布図、⑤パレート図、⑥グラフ・管理図、⑦層別の7つの“品質管理(Quality Control)”の技法のことです。
これらの品質管理体系はウォルター・シューハート氏、エドワーズ・デミング氏、石川馨氏によって構築されました。
“不良品0”を目指して第二次世界大戦後に生まれたものですが、特に石川氏は“日本の品質管理の父”とも呼ばれ、QCサークル活動やフィッシュボーンチャートの考案者でもあります。
これらの品質管理活動は戦後日本に普及し、日本の高度経済成長期を支えると共に、世界の工業製品の品質向上に貢献してきたのです。
フィッシュボーンチャート(特性要因図)とは
出典:www.gridgit.com
フィッシュボーンチャートはその名前の通り、魚の骨のように見えることから名づけられました。
魚の頭に当たる箇所を課題として、背骨を中心に要因を「大骨」、それに関連する要因を「中骨」、具体的な要素を「小骨」に見立てて書き込むことで、要因を洗い出し解決策を考えていきます。
ブレインストーミングのように脈絡無く様々な要因をあげていくことは、思ってもみなかった第三の見方を得たいときには有効です。しかし、考えを整理したい時や深めたい時には原因の大小や重要度がブレてしまいます。
そのため、「大骨」にあたる大きな要因の検討から始め、それでも問題点や改善点が見つからなかった際にブレインストーミングを利用するといいでしょう。
実際に、フィッシュボーンチャートを考えてみよう!
では、“A家の夏休みの旅行先”という課題を「特性」として考えてみましょう。
フィッシュボーンチャートを利用して考えてみると、「大骨」には家族それぞれの行きたい候補先をあげることができます。バリ島、海、北海道、キャンプ、など、それぞれの候補先の下には「中骨」として、この場合はメリット・デメリットが当てはまります。
例えば、バリ島のデメリットとしては、費用の高さ、長期の有給休暇取得は難しいこと、メリットとしては、非日常体験ができる、とことんリラックスできることという具体的な要因が「小骨」として上げられます。フィッシュボーンチャートの良いところは、課題を具体的に可視化しながら考えられるところです。
このように、ついつい大人の都合で一方的に決められてしまいがちな家族の問題も、みんなで考えてそれぞれの重要度を落とし込んでいくことで、全員が出した答えに納得して問題解決に臨むことができるのです。
上手くいかない時こそ、基本に立ち返る
フィッシュボーンチャートは、例にも挙げたように品質管理に限らず、どんなシーンでも使える思考のフレームワークです。
時代は流れ、どんどん新しい現象が出てきます。しかし、どんなに流行が変わっても、モノゴトの本質は今も昔も変わらないはずです。
何かに躓いた時やスランプに陥った時こそ基本に立ち返って再考すること、そんなシンプルなことこそが求められているのではないでしょか?