インタビュー書き起こし〜ブロックチェーンと暗号通貨の違いとは?

➖ブロックチェーンと暗号通貨の違いとは?
長谷川:たしかに暗号通貨・仮想通貨というのは、ブロックチェーン技術を使ったものの1つです。今、ブロックチェーン技術のテクノロジーのプラットフォームの中で、デジタル資産化が起こっています。そのデジタル資産の決済に使われる1つが、暗号通貨・仮想通貨です。ですから、暗号通貨・仮想通貨はブロックチェーンの一部に過ぎないということです。

 

日本では、「ブロックチェーン=暗号通貨・仮想通貨」になってしまっているので、少々誤解がある、と感じています。

➖ブロックチェーンが金融に及ぼす影響とは?
長谷川:ブロックチェーン技術は、金融の流れの中で今後資産がデジタル化していく、その中で非常に重要な技術の1つです。例えば決済の場合、かつての貨幣や紙幣から、クレジットカードや、日本でいうFeliCa(フェリカ)などのカードが使用されるようになりました。中国であれば、QRコード決済が盛んになっています。

 

このような形で進化していますが、今後はさらに、デジタル資産化していきます。そこで安全性が非常に大事になってくるので、その安全性を担保するときに、非常に重要な鍵になるのが、このブロックチェーン技術です。

ブロックチェーンを実用化することで、大量のマニュアル作業が減る

➖香港ではどのような場面でブロックチェーンが活用されている?
長谷川:実は「ブロックチェーン技術を使って、金融のサービスを変えていこう」という動きがあります。たとえば、貿易決済の領域で、Hong Kong Monetary Authorityとシンガポール中央銀行が手を結んでいます。香港の主要港も参加し、貿易決済の仕組みにブロックチェーンを取り入れることが、もう既に実用化してきているということです。

 

貿易決済では、例えば信用状を出し、実際に物が届いたらそういう書類をもらい、お金を決済するという流れが何段階もあります。そこでブロックチェーン技術を使うことで、スマートコントラクトの流れに合ったことが出来ます。それが大量のマニュアル作業を減らすことに繋がっていて、すでに実用化されてきています。

ブロックチェーンで「デジタルだけど安全」な世界へ

➖金融業界における今後の可能性とは?
長谷川:例えば今だと、銀行に行って口座を作るとき、パスポートや運転免許証を持って行かないといけない。そのコピーを銀行が取り、全て保管しているという状況です。つまり、「データが自分のもののようで、自分のものではなくなってしまう」ことがあります。ところが、「こういう証明書をデジタル化し、どこかに保管され、それがあることを、デジタルキーで証明できれば、それでいい」と考えることもできます。

 

そうすると、例えば銀行に行って口座を開けたいというときに、その鍵だけを銀行に渡すだけで済みます。今までならコピーを出し、現物も見せていたものが、劇的に変わるんです。デジタル資産をきちんと管理することができるようになると「デジタルだけど安全」という世界ができるようになります。

 

同じように、例えば今では、個人に関する様々なデータを銀行が持っていますが、今後は自分で色々な形で管理していく、一元管理していく、ということができるようになると思っています。

 

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